公開日 2019.11.28
こんにちは。
高槻市自動車運送事業管理者の西岡です。
市営バスの経営に関する重要事項を審議する自動運送事業審議会ですが、本年7月26日の第1回から始まり、11月1日の第4回で折り返しを向かえ、審議事項も市営バスの収支均衡を踏まえた今後の路線の見直しの方向性についてなど、大変重要な議題となってきました。

そこで今回は、市営バスの将来の収支について、お話したいと思います。
皆さんは、鉄道やバスなどの公共交通が赤字の場合、誰がそれを負担すべきとお考えでしょうか。
わが国の事例を見ると、高槻市営バスのように黒字路線と赤字路線を合わせて、事業全体で黒字であれば良いというケースもありますが、自治体が負担して存続させているというケースも多いと思います。この自治体が赤字を負担するという方法は、欧米では当たり前ですが、日本では理解が得られない場合もあり、全国で、地域の交通手段を確保するのに四苦八苦しているという状況が起こっています。
そもそも、道路建設などのインフラ整備には潤沢な予算があるのに、公共交通というインフラには独立採算で経営しなさい、という考え方に疑問があるのですが、今後は、公共交通の確保が日本全体の大きな課題となることは明らかだと考えます。
このような中、高槻市営バスでは、数少ない黒字路線で赤字路線を維持しながら、長らく黒字決算を維持してきましたが、残念ながら平成30年度は様々な要因で赤字決算となってしまいました。
ただし、審議会でもお示ししたように、現時点では、企業の累積欠損金、簡単に言うと借金もなく、これまで積み上げてきた資産のストックにより、財務上の安全性は非常に高いということが言えます。
しかし、本業である乗合バスの収入が年々減少していることなどから、市からの補助金を除いた営業収支は危険水域にあります。また、今後は、バス車両の大量更新、バスロケーションシステムやICカードシステムなどの保守、バス停施設の維持管理などに多額の費用が必要となるため、補助金を含む全体の収支は悪化すると予想されます。
このような状況を打開するため、市営バスの職員一丸となって、収入の増加や支出の削減に取り組んでいますが、抜本的な解決策として、赤字路線の見直しや高齢者無料パス制度の見直しについても検討せざるを得ない状況となっています。
しかし、これらの見直しは市民生活に大きな影響を与えることから、市の関係部局とも連携しながら、慎重に検討する必要があると考えています。
見直しの過程では、皆さんにご不便をお掛けすることもあるかと思いますが、どうか、ご理解をお願いしたいと思います。
次回は、もう少し深堀りした「市営バスの将来収支予測」と、市営バスが取り組むべき「経営基盤強化について」お話したいと思います。
令和元年11月28日
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