令和元年度 第4回高槻市自動車運送事業審議会

更新日 2019.11.26

会議の概要

会議の名称 高槻市自動車運送事業審議会
会議の開催日時 令和元年11月1日(金)午前10時から12時
会議の開催場所 高槻市役所本館3階 第2委員会室
出席委員 9名
議題
  1. 市営バス路線等の今後の見直し方針(案)について
  2. 収支状況の現状分析について
  3. 将来収支予測について
  4. その他
主な審議内容 別紙のとおり
資料名
  • 資料-1 第4回高槻市自動車運送事業審議会 議事次第
  • 資料-2 市営バス路線等の今後の見直し方針(案)
  • 資料-3 収支状況の現状分析について
  • 資料-4 将来収支予測について
  • 資料-5 審議会全体スケジュール
担当課 交通部 総務企画課

(別紙)

会議の公開と傍聴希望の確認について

<会議の公開について>

 

(高槻市公営企業審議会の会議の公開に関する要綱及び高槻市公営企業審議会傍聴要領等に基づき、公開することとなる。)

(傍聴希望者:7名)

1.市営バス路線等の今後の見直し方針(案)について

○会長

議題の1について、事務局から資料の説明をお願いいたします。

事務局

(事務局より資料2の説明がなされた。)

会長

それでは、質疑応答に入ってまいります。ただ今の説明に対して、ご意見やご質問等があれば、よろしくお願いいたします。

H委員

今後の見直しの方向性(案)には、「小型モビリティやデマンド交通など、路線バスに代わる他の交通手段導入を検討する」と書いてありますが、例えば、交通部独自で自動車運送事業を請け負った場合、どういう経費が浮くか等、設定されていますか。

事務局

小型モビリティやデマンド交通を導入するのであれば、交通部だけの問題ではなくなるため、交通政策を所管する都市創造部と連携して進めていく必要があります。また、地域住民のニーズを確認する必要があると思っております。

費用を含めて、どういう効果があるかと言うと、大きくは市営バスの山間3路線という大きな赤字区間は運行の必要がなくなるため、その経費が浮くことになります。逆に、小型モビリティ等を運行する経費が必要になってきますが、浮いた費用で相殺できます。また、地域住民にも便利になって、かつ、オール高槻で取り組むことで経費を安く抑えることが重要になってくるので、今後、検討を進めていきたいと考えております。

H委員

地域公共交通協議会の中で、当該バス路線をどのように運行するかという方針があるなら、交通形態の種類を変えることはよいと思います。ただ、交通部だけで小型バスを走らせることはないと、今、回答を聞いたので、一応、安心はしました。方針をしっかりと定めないと、経費ばかりが増えるのではないかと心配していました。

車両数が増えれば増えるほど、修繕費や部品費も増えてくるので、その辺はきちんと整理されているということなので、安心しました。

A委員

かなり不採算な地域は、別の交通手段で運行するのがベターだと思います。黒字にはならないと思うのですが、費用としては人件費がほとんどです。より適切な交通手段に替えることは、地域でもう一度考える機会をつくるという意味でもいいと思います。

また、川久保等では、小型モビリティが入った場合には、弥生が丘町に延伸すれば、別の需要もカバーできるので、コストの圧縮以外にも、新たな需要にも対応できるという前向きな点も入れていければいいと感じます。

会長

ほかにいかがでしょうか。それでは、次の議題に進んでまいりますが、今の議題1に関して、改めてご意見等があれば、後ほど承りたいと思います。

2.収支状況の現状分析について

会長

それでは、議題の2について、事務局から資料の説明をお願いいたします。

事務局

(事務局より資料3の説明がなされた。)

会長

それでは、質疑応答に入りたいと思います。ただ今の説明に対して、ご意見やご質問等があれば、よろしくお願いいたします。

E委員

資料2「市営バス路線等の今後の見直し方針(案)」、資料3「収支状況の現状分析について」に書かれている、バス事業の現状はそのとおりだと認識しております。ただ、収支には直接関係ないのですが、阪急バスでは、バス路線の維持と安全性について検討しております。今後5年、10年では、自動運転の導入は難しいことに加え、各社、各地域で若干誤差はあるものの、この先、運転を支える乗務員を規模的に維持できないという意見が出ております。

また、安全性の面では、来年度から「ホワイト経営」という働く面での新たな基準がつくられる方向になるとも聞いております。安全性の確保に加え、路線を維持するには、車両と運転手が少なくとも必要になりますが、市営バスとしては、今後5年、10年の見込みは、どうなのでしょうか。

事務局

今後の運転手の人数の見込みですが、市営バスの運転手の平均年齢が53、54歳くらいになっており、60歳で正規職員が退職したら、民間で言う再雇用と同様、再任用制度というかたちで65歳まで働くことができます。53、54歳がボリュームゾーンにあるため、今後5年、10年で退職者がさらに増えてくるので、再任用職員として65歳まで延びることになります。

再任用によって、60~65歳の乗務員がかなり増え、高齢化してくる中で、新規採用の運転手については、現段階では、何とか最低限の人数が確保できている状況ですが、求職者がだいぶ減ってきている状況です。今後7、8年は、運転手の人数を確保できるのですが、新規採用による若返りについては、今後10~15年を見越したときには、果たして路線を維持するために運転手を確保できるのか、危惧しているところです。

E委員

実は阪急バスでも、令和5年以降、求人に恵まれていた時代に採用した乗務員が大量に定年退職するので、市営バスと似たような状況かと思っております。高齢者の再雇用を65歳とは言わず、70歳まで延長して、いかに安全性を担保しながら維持していくのかが課題になっています。

路線バスには、自動ブレーキが付いていない状況ですが、安全面への投資として、乗務員や車両の管理費用がかさみ、国交省の方が言われていたように、ある程度、二重投資が必要になってくるため、先のことは見込みづらいのですが、弊社では早めに検討しているところです。

事務局

資料3でお示しした状況や、これから説明する資料4「将来収支予測について」には、正直に申し上げると、今、言われたように、運転手の高齢化によって、既存のバス車両に対する安全面への投資については、反映できていないのが現状です。

会長

運転手の高齢化による安全性についての話は、阪急バスもそうですが、今後、非常に重要になってくるので、答申書にもある程度、盛り込むと言うか、配慮する必要があると考えております。

D委員

資料3の2ページを見ると、流動比率が約900%となっており、これだけを見れば、非常によい数値なのですが、実際、現金が約50億円、利益剰余金が約30億円あると理解しておりますが、最近の収支を見ているとトントンになっています。そもそも利益剰余金が30億円もあるのは、どういった要因で累積してきたのか、教えていただきたいのですが。

事務局

利益剰余金については、20年近く連続黒字を計上してきた結果、積み上がってきたものです。現金については、有価証券の投資等を行っていて、平成24年度に流動比率が約2,000%に跳ね上がっているのは、購入年でバラツキがあったためで、その後、できる限り毎年、同じ金額で、同じ年限の銘柄を買うようにした結果、落ち着いてきている格好になります。

D委員

追加で質問します。そういう意味では、この5年くらいの決算書、財源のガイドラインを見せていただいておりますが、最近は収支がトントンで、投資額が平均化されているので、流動比率は変動がないという理解でよろしいでしょうか。

事務局

そのとおりです。

会長

もともと市営バスは公営企業なので、収支がトントンで毎年、経営するというのは、かえって難しいのではないかと、こういう会議に出ていると感じています。この流動比率を見ると、私も素人ですが、高槻市と佐世保市が突出していますが、ちょっと不思議な感じがします。ただ、佐世保市は平成30年度で市営バス事業を打ち切って、民間に路線ごと移譲をしているので、資料に載せて比較対象とすること自体、難しいのではないかという印象を持っております。

ほかにいかがでしょうか。それでは、今の議題2を踏まえて、議題3「将来収支予測について」に入ってまいります。こちらとの関連で、ご意見等があれば、後ほど承りたいと思います。

3.将来収支予測について

会長

議事の3につきまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。

事務局

(事務局より資料4の説明がなされた。)

会長

それでは、質疑応答に入りたいと思います。ただ今の説明に対して、ご意見やご質問等があれば、よろしくお願いいたします。

A委員

先ほど阪急バスから出たように、ドライバーの確保については、これからの10年が大変になるため、次回以降で結構なので、この数年でドライバーがどれくらい充足しているのか、データを出していただければと思います。

これから給料を上げていかないとドライバーを確保できないので、費用は増えていくと思われます。今、何とか確保できているのは、定年を60歳から65歳へと延長することで、数年間をもたせるという維持策です。もう1つ、今、ドライバーが応募してくるのは、競合他社からの転職組もいるからで、輩出する会社からの応募がなくなったら、転職者がいなくなるわけです。今、近畿圏では、経験を積まれて転職者を出してくれていた会社が新人を採用できない状況で、業界全体としてドライバーを確保できなくなる状況になってきています。

では、どうしたら確保できるのかと言うと、京都市営バスでは、二種免許を持っていなくても、市が取得費用を負担する条件でドライバーを募集したところ、新聞によると39人も確保できたそうです。ただ、そのうちの5人が1年以内に辞めたというのです。京都市内で大型バスを運転するのは厳しいからというのが理由だそうです。それなら、高槻市営バスのほうが運転しやすく、利用者も問題のある人はそれほどおられないので、他社で心が折れてしまった運転手にとって、応募しやすい環境にはあるわけです。

そこで、潜在的に眠っている応募者をどれだけ引っ張ってこられるかが重要になってきますが、広告費用等、そのための費用はかなりかかると思います。以前は30万円の広告宣伝費をかけて5人の応募があったところ、今では300万円をかけても3人しか応募が来ない状況で、一人当たりの費用が上がっています。

もう1つは、整備士の問題もあると思います。今のところ、大丈夫だと伺っていますが、整備士がどの会社も減少してきていて、中には他社に委託しないと回らないところもあります。それから、事務員も仕事が大変なので、応募がなくなってくる可能性もあります。全体的に現場で人材不足が出ていますが、今後、賃金を上げていかないと不足は解消しないと思うので、費用については悲観的な数字になる可能性が高いのではないでしょうか。たぶん2025年度以降くらいから厳しくなるのではないかと想像しています。

F委員

5ページ以降でシミュレーションパターンが提示されました。先ほど資料2「市営バス路線等の今後の見直し方針(案)」の中で、「小型モビリティやデマンド交通など、路線バスに代わる他の交通手段導入を検討する」という見直し案が出され、導入するには交通部だけでは無理だというお話でした。他の交通手段を検討するのであれば、その費用も入れて、シミュレーションパターンを提示すべきではないかと思いますが、その点、どうお考えなのでしょうか。

事務局

9ページをご覧ください。先ほどご説明した、「②-a.事業効率化(山間部3路線縮小)」のケースで、関西大学や上成合等まで路線を縮小した場合のシミュレーションになります。ただ、その地域を縮小した場合、何も交通手段がなくなるのは、市としてもよくないと思うので、それに代わる交通手段を導入する必要が出てきます。

黄色三角の2つ目に書いてあるように、「路線縮小により、生活交通路線維持事業費は年間約1億円削減の見込み」となるため、一般会計でそのまま投資できるかどうかはありますが、その1億円を小型モビリティやデマンド交通に振り向けられる可能性が高いと考えております。

F委員

そのまま投資できるかどうかというのであれば、資料2の「今後の見直しの方向性(案)」にある、「路線バスに代わる他の交通手段導入を検討する」という断定的な表現はいかがなものかと思います。というのも、生活交通路線維持事業費は、市が出している費用なので、市の判断に関わってきます。当然、市全体のまちづくりの中で位置づけられるべきだと基本的に思っています。見直し案として、断定的な表現でいいのかどうか、回答をお願いします。

事務局

今の表現では、交通部が取り組むという誤解を招きかねないので、答申書(案)を委員の皆様も含めてつくっていく上で、表現については、これからの審議会で議論させていただければと思います。

会長

正直に言って、少しわかりにくい個所があると思います。前回、今回と、山間部の路線はICカードを導入したところ、利用者が想像以上に少ないことがわかったので、それを踏まえて、縮小するパターンが挙げてあるわけですが、縮小した割に効果が出ていないようにも見えるので、不思議に思われた方も多いかと思います。

ただ、資料4の6ページを見ると、右下※5「生活交通路線維持事業」として、「平成29年度補助額:約2.1億円(6路線計)」が市長部局から出ているということなので、この補助金を別の使い方として、デマンド交通かどうかはわかりませんが、他の交通モードを導入して路線自体が短くなっても、交通モード同士を連携させれば、山間部についてはかえって利便性が上がる可能性もあろうかと思います。交通部の立場として、どこまで答申書に盛り込むか、いろいろと調整も必要ですが、市全体としては、補助金の費用対効果が上がる可能性も出てくるのではないでしょうか。

そうすると、資料3の説明にもあったように、営業損益と経常損益の違いは、補助金が入っているかどうかだと思うので、それを踏まえて、シミュレーション結果も示すべきではないかと思います。

交通部としては、これからますます公営企業として、交通部の経営をどうするのか、自動車運送事業の経営をどうするのかだけではなく、市長部局に対して連携を強化していく、むしろ、市営バスであること、公営事業であることの強みを活かすような経営方針を立てていく必要があると思います。次回以降、答申書に書く際にも、具体的な提案も含めて書いていき、データの整理も含め、シミュレーションが必要だと思いました。

事務局

会長が言われたように、営業損益と経常損益は、言葉的にもわかりにくい面があります。それぞれのケースをシミュレーションしないと、市営バスの収支も高槻市全体としての収支も見にくい部分があります。ケースを絞ったかたちになるかもしれませんが、次回の審議会で新たなシミュレーション結果を提示させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

会長

正直に申し上げて、市長部局がどう動くのか、わからないので、シミュレーションが完璧にできるわけではありません。ただ、様々なパターンを踏まえて、もう少しシミュレーションのバリエーションを増やして検討するのも必要かと思います。

H委員

高齢者の無料乗車証による収入の関係がすごく問題になっているというのは、委員の皆様も理解されていると思います。一般会計の施策として事業化されていて、高槻市の交通部は、それを請け負うかたちで事業を展開しているのだろうと思います。ところが実際には、220円の初乗り運賃に対して、市の補助金がどれだけ入っているのか、今までは計算しづらかったのですが、今は実際の乗車人数がカウントできるようになったので、6億円を1年間の乗車人数で割り戻してみると、99円しかもらえていない計算になっています。それに対して、市営バスが173円(後ほど121円に訂正)も負担しているのは、おかしいのではないでしょうか。その費用負担の関係を考えていかないと、この事業を維持していくにしても、補助金を投入することで維持されている福祉事業は、ちょっとおかしいのではないかと思っています。だから、市営バス事業は採算性も含めて、サービスの提供に対する収入をしっかりと上げていただきたいと思います。

他市ではどうしているのかを見ると、神戸や京都では、大体80%を超えるような補助金をもらっています。なぜかと言うと、民間事業者も参入できるほど、採算が取れる金額を補助してもらえているからです。なので、高槻市も、いくら補助金をもらって、交通部は自前でどれだけ出して、市営バス事業が成り立っているのか、もう少し整理して一般市民に示していかないといけないと思います。

この前、社会福祉審議会(高齢者福祉・専門部会)を見させていただきましたが、多少の運賃を払ってでも、この制度を維持していきたいというのが大方の意見でした。無料に越したことはないですが、例えば、障がい者の方の場合、収入に応じて負担をできるだけ小さくしてほしいという意見も出ていました。しかし、市営バス事業が多額の補助金で維持されていることをほとんどの方は知らないのです。受益者負担ということで料金を取るにしても、納得してもらえないので、もっとアピールしていく必要があると思います。

もう1つは、市の事業は、いろんな計画の中で動いていますが、第2回の審議会で、バスを取り巻く環境という意味合いで、市営バスの位置づけを質問したところ、前回(第3回)の審議会で、「市の交通政策や福祉政策等と連携してその役割を担っていく」という回答をいただきました。

実際には、高槻市みらい創生審議会の中では、「バス事業は民間事業者でも行えることから、公営企業においても、民間並みの経営効率の実現を目指し、民間事業者と比較して高い給与水準と低い生産性・効率性を見直す必要がある」という意見が出ていました。この意見を受けて、高槻市の計画として、「高槻市みらいのための経営革新」に向けた骨太方針の中で、「バス事業の民営化をすべきである」という言い方もされています。

しかし、民営化を検討するということは、市営バス事業は、言わば「火の車」なわけで、そんな赤字の事業に対して補助金を繰り出して存続していることをもっとアピールするために資料を出す等、議会においても理解を深めてほしいと思います。以前、議会で100円の料金を負担していただく条例改正をしようとしたときには、社会福祉審議会の中で負担金をもらうような話が出てきたため、認められなかったはずです。

事務局

高齢者無料乗車証については、これまでは6億円の固定で、市から補助金をもらっていました。市営バス事業者としては、高齢者の方の運賃補助という認識で収益計上をしていましたが、今回、ICカード化をしたことによって、実際に利用されている高齢者の人数が明確にわかってきました。その上、ちょうどこのタイミングで当審議会が開催されたことで、委員の皆様にいろんな内容をご審議いただきました。今後、高齢者無料乗車証について見直す必要があるとは感じております。

先ほど、民間で高齢者向けの自動車運送事業制度をするのであれば、採算が取れなければ請け負ってくれないというご意見もいただきました。民間ではなく、市の組織である市営バスとして、どの程度まで負担をしていくのか、さらに、ICカード化によって実際の利用人数が把握できたことで、補助額の6億円とは大幅に乖離していることがわかったため、どこまでを市の制度として負担していくのか、もしくは、利用者の方にも料金を一部負担していただくのか等を含めて、制度の中身をつくる前に、きちんと説明できる根拠を持たないといけないとは考えております。

事務局

補足します。総務省の次期経営計画に対する内容として、収支均衡を図りなさいという前提条件として書かれています。では、公営事業者の収支均衡がどこにあるのかと言うと、民営事業者と公営事業者では少し差があると考えております。収支均衡を図る部分で、高齢者無料乗車証の負担をどうするかという議論の落としどころが見えてくるのではないかと考えております。

13ページの「ケース別試算結果 ④ミックス(山間3路線縮小+利用者負担)」を見ていただくと、ご説明したとおり、経常収益を過去のトレンドで若干甘い目で見ていたり、高齢者を有料にした場合の逸走率を加味していなかったりしているため、2030年度で約1億5,000万円の黒字予測となっています。あくまでもシミュレーションなので、わからない部分もありますが、こういう結果が出ております。

では、いくらの黒字を出すべきなのかというのも、公営企業の場合は民間とは違ってくるので、次回に条件を変えた収支予測結果を出して、また議論していただければと思います。

I委員

第1回審議会のときにも、高齢者の外出と健康寿命の関連について教えてもらいたいと質問をしましたが、この話は補助金とも関係してきます。一般的な意識としては、高齢者がバスをたくさん利用して出掛けているという話は出ていますが、1区間だけ利用している方も随分とおられます。実際にバスを利用する方が増えることによって、医療費や健康づくりにかかる費用が減る効果が数値的に出てくると、「プラスの効果があるから、補助金を増やさないといけない」という話が具体的に出てくると思います。医療費だけでなくてもいいので、外出による効果を訴える資料を出すのが大事ではないでしょうか。

事務局

第1回の審議会にも、同じご意見をいただき、言葉として、「クロス・セクター・ベネフィット」という言い方をさせていただきました。つまり、お出掛けすることによって、医療費・介護費用が削減できる、あるいは、中心市街地にお出掛けいただくことで、高槻市の経済的な面でも効果があるというものです。

第1回のときに高橋会長からも出ていたように、なかなか定量的に根拠立てて説明できる研究や手法が確立されていないので、この審議会でお出しするのは、やはり難しいです。委員が言われることは、市民も行政も含め、みんなが何となく定性的には感じていることなので、今後の制度の見直しの中でどこまで議論できるかどうか、今は回答のしようがありませんが、念頭に置きながら考えていきたいとは思っております。

会長

私どもも、そういう研究を自分たちでできればしたいテーマではあります。ほかの先生方の研究を眺めていても、まだ始まったばかりで思案しているような状況です。ゆくゆくは研究したいとは思っております。

もう1つ、少し補則をします。この6億円の話は、もう30年くらい経つ話でしょうか。

事務局

平成10年からです。

会長

ということは20年間ということで、その間、高齢化が進んでいるのは確かで、赤字が増えているような状況です。それは他市も同様で、以前、神戸市で伺った事例を思い出しました。10年ほど前に、市営バスの無料をやめて、市営地下鉄も適用対象なので、運賃の半額を、ICカードでチャージをして、利用時に支払ってもらうことにしました。その経緯を見ていくと、最初は市営交通だけを無料にするつもりだったのが、神戸市は市域が広いため、もともと民営バスも走っている地域が広かったということで、民営バスも無料にしたわけですが、高齢化が進むにしたがって頭打ちになっていったので、民営バス事業者から「無料は勘弁してほしい」という声が上がったため、運賃の半額を徴収することになったと聞いております。

高槻市の場合は、ほかのバス事業者がないわけではないですが、自動車運送事業制度の対象外なので、正直に言って、外からの意見がなかなか入りづらかったというのがあろうかと思います。ただ、同じように高齢化が進んでいって、非常に厳しい状況になってきているのは、確かです。無料化以外の選択肢も、まずはシミュレーションというかたちで、手元にあるデータを活用して、状況判断の材料にするという意味では、重要ではないかと感じております。

先ほどから人件費の話等も出てきておりますが、むしろ状況が少し変わりつつあって、公営事業者のほうが乗務員として働く場合、いろいろと有利と言うか、働きやすいのではないかと思って応募してくださる方も多いそうです。なので、優秀な人材に応募してもらうためには、公営バスという経営形態を採っていることも重要な要素ではないかと、先ほど副会長から伺ったお話も踏まえて考えているところです。

H委員

訂正させてください。初乗り220円に対して、市の一般会計からは45%で99円が出ていて、市営バスのほうは173円ではなくて、差し引き分の121円を負担しています。どちらが主だった補助金を負担して事業をしているのか、疑問だということです。利用者負担の考え方からすれば、この自動車運送事業審議会ではなくて、社会福祉審議会のほうで、無料乗車証をどうするのか、負担を求めるのかどうか議論されるべきで、当審議会では、バス事業者として、バス事業を安定的に運営していく立場を忘れてはいけないと思っています。

会長

神戸市の民営バス事業者が言いたかったのは、そういったことだと思います。

H委員

神戸市には、民間事業者がたくさんいて、金額も大きいので、バス協議会が窓口になって、「今回も満額をください」という話になっています。その点も踏まえて、高槻市は特殊で、市営バスしか走っていないような感じになっていますが、京阪バスも走っているのに、大きな赤字になるから参入してこないわけです。なので、事業存続のためには、きちんと料金をもらわないといけないと思っています。

会長

市営バスが耐え忍んできて、われわれも謙虚すぎた面もあったかと思います。ICカード化されてデータが出てきたことをきっかけに、有料化を考えていく必要もあると思います。

G委員

市営バスの安定的な財政運営を考えていくと、高齢者無料乗車証は見直さなければいけないと思います。6ページの「シミュレーションパターンの設定について」を見ると、※4に「高齢者の無料乗車分13.4億円を市営バス、高槻市、利用者の3者で折半する」と書かれています。

例えば、1人当たりどれくらいの負担であれば、どのくらいの補助金になって、どれくらい財政が安定するのかを示せれば、もっとわかりやすくなると思います。その場合、交通部が勝手にはじき出した数字になるかもしれませんが、1人当たり100円とすると、100円という数字が一人歩きすると困る面もあるかもしれません。ただ、数字を出すことで、どれくらい改善されるかが見えると、もっと議論がしやすいのではないでしょうか。13.4億円の3分の1(約4.5億円)がどれだけの負担になるのかがわかりづらいと思います。

事務局

今のご意見は、今回のシミュレーションを出す際に、部内でも議論しました。例えば、50円、100円負担すると書いてしまうと、それが決まったかのように言葉が一人歩きしてしまう面が、こういう審議会の場ではよくあるので、次回にどういう提示の仕方がいいのかをより慎重に考えて、わかりやすく、より実態に近いシミュレーション結果を出して、ご議論いただきたいと考えております。

H委員

何回もすみません。バスを利用する際、回数券はなくなっているので、現金、定期券、ICカードと運賃の支払い方にもいろいろとあり、それぞれの支払い方によっていろいろな金額が出てくると思います。全体的に見たときに、1人当たりの支払運賃はいくらになるのかを計算して、高齢者には、初乗り運賃の220円までは求めないけれども、交通部として金額を設定していけばいいのではないでしょうか。

実際、9カ月の実績から12カ月に割り戻したところ、1人当たり約173円だったはずなので、高槻市、市営バス、利用者が3分の1ずつ(約58円)を負担するという出し方をしたら、わかりやすいのではないかと思います。

事務局

今、単純に乗車回数に初乗り運賃の220円をかけていますが、昼間の割引運賃等の設定もしており、おそらく高齢者の方のご利用が昼間に多いことがわかっているので、実態に近い金額を出して、先ほど出たとおり、利用者がいくら負担したら、補助がどうなるのかを出せるようであれば、検討したいと思います。

A委員

今回の資料4は、全利用者がきちんと運賃を払ったら、経営的には順調になるというデータだと思います。でも、今はそうではないので、その不足分をこれから誰が負担していけばいいのかという議論になると思います。高齢者無料乗車証の場合、高齢者自身が負担するのか等、いくつか例を提示して、それを市長部局がどう判断されるかです。

先ほどクロス・セクター・ベネフィット理論の根拠が提示しづらいという回答がありました。高齢者のICカード利用状況を見ると、バス停1つか2つの利用が多かったので、その場所にいろいろと行ってみました。すると、柱本商店街等、近隣への買い物での利用でした。ということは、今、高齢者無料乗車証を使っている人たちは、バスがタダという魅力ではなく、「行った先で買い物ができるから買い物難民にならなくて済む」という魅力がどの地域で出ているか、数字に表れたわけです。無料乗車証を利用してお客様が来られているなら、商店街に一部負担をお願いできないかと質問ができるはずです。

そして、商店街が負担するのが無理なら、利用者に負担してもらうという議論になるわけです。負担を誰がするのかについては、いきなり利用者に負担をお願いするのではなく、いくつかのシナリオをつくった上で検討していったほうがいいと思います。それも1案としていくつか提示をして、ベネフィットもあるわけなので、商店街に負担していただけるようお願いしていく出し方です。それが無理であれば、利用者にも負担してもらうという流れにしていけばいいと思います。

利用者負担にしても、利用者が減らなければ、ミックス案では、約1.5億円の経常黒字になります。その際、その黒字の資金をどうするのか、収支はトントンにすべきという意見が絶対に出てくると思います。でも、このシミュレーションに抜けているのは、高槻市全体のまちの値打ちを考えたとき、市営バスにはどんな意味があるのかということです。

今はバスだけの話ですが、高槻市内を公営バスが走っていることの値打ちは何だろうと考えたとき、将来、現状維持以上を目指していくには、何か投資をしなければならないので、「黒字分はその投資に回せる資金である」と答申書に書いていかなければならないと思います。その投資の仕方は、今日出てきた中で言えば、17ページの新たな経営基盤強化策の3「バス停留所施設の利便性・快適性向上」の「LED照明の設置」になります。これはバス停が便利になるメリット以外に、光がついていることで、地域の安全・安心に繋がるため、地域に対する還元にもなるという説明もできます。

また、16ページの継続する経営基盤強化策の3「幼児・小学生・保護者向けイベント拡充」の「こうのとりパス」は、市営バスが自腹でされていますが、そちらの補填にも使えます。もっと言えば、今、中学生は大人料金ですが、中学生を無料にしたり、高校生の通学定期の割引率を上げたり、それらに投資することで、高槻市の魅力にすることもできるわけです。将来の人口が減るということは、今以上に利用回数を増やさないといけません。だから今のうちに、若い人たちのために投資していくことで、現状維持を何とか目指していくための資金にするという説明をしていかないと、そんなに黒字化してどうするのかという異論が出てくると思っています。

先ほど高槻市みらい創生審議会の「民間事業者と比較して高い給与水準と低い生産性・効率性を見直す必要がある」という意見を挙げられましたが、体験会で大型バスの運転席に座ったら、そういう意見は絶対に出てこないと思います。また、子どもたちの乗車体験会で、ミラーの確認等、運転前点検を全部やっていると説明をすれば、一緒に参加している親御さんへの理解にも繋がります。運転手の方は毎日、これだけ大変な業務をしているわけなので、適切な給料でなければ働かないという理解を深めていくためのイベントや投資であることを積極的にアピールしていければと感じています。

事務局

黒字が大きく出た場合に、いろんな施策に投資していくのがいいという副会長のご意見は、目から鱗の話でした。確かに、使途が明確であれば、大きな黒字が出ても、市民の理解は得られると思うので、今後の経営計画の中にも盛り込んでいきたいと感じたところです。

D委員

まずは、資料の明瞭性と言うか、仮定条件を明確に書いたほうがいいのではないかということで、2点ほど申し上げます。まず1点目は7ページで、減価償却費がすごく増加すると書かれていますが、具体的に、年度ごとに、どういう更新投資が、どれくらいの両数で、いくら予定されているのか、もし出せるのであれば、減価償却費の発生具合がわかりやすいのではないでしょうか。

また、同じページで、「2021年度以降、車両更新開始」と書いてありますが、確か第1回審議会のときに、2008年度(平成20年度)に車両の大幅な買い替えがあって、一般的には、大体20年間くらいは車両を使うという説明があったと思います。私の理解では、おそらく2025~2028年度に更新投資が始まるのではないかというイメージを持っておりましたが、2021年度から更新投資が始まっていることに疑問を持ったので、理由がわかれば教えていただければと思います。

2つ目は、8ページで、2019年度の営業収益が35億400万円になっていますが、第1回の資料を頂いたときには、確か32億4,500万円になっていたはずです。推測ですが、おそらく不採算路線の補助金が今回の資料の中に入っていると思われます。もし公表されている数字の補助金が営業外収益なのであれば、仮定条件は書いたほうがいいのではないかと思います。

事務局

まず車両更新の件ですが、前回の車両更新が平成16~24年度までで、150両ほどを更新しています。更新理由は、大阪府のNOx-PM法による車両の排気ガス規制で、やむを得ず実施したからです。このときは年度によって、23両更新した年もあれば、10両程度の年もあり、かなりバラツキがあったのですが、今回の車両更新については、2021年度に8両、その後、2022年から毎年度13両もしくは14両と平均的な車両更新を計画しております。

D委員

第1回審議会の説明では、2020年度くらいからという説明でしたので、質問をした次第です。平均的に10年間くらいで更新していくという理解でよろしいでしょうか。

事務局

はい、そのとおりです。今後の計画としては、車両自体の更新は16年間を目途に、最大20年間使うようにしております。

もう1点、8ページの営業収益は、おっしゃるとおり、この数字は営業外収益も入った数字になっているようなので、内容を確認させていただきます。

D委員

仮定条件を書いていただけたら、問題ないと思います。数字の理解のために、お願いしたいと思います。

続いて2点ほど意見を述べます。8ページの続きになりますが、補助金が出ているから、これだけの効果が出ているという話が出ていました。2019年度の営業収益を見てみると、補助金と高齢者無料乗車証の市からの補助金があって、2億7,000万円の利益が出ています。市からの約8億円の補助金があってはじめて、トントンになっているわけで、単独で事業をしていれば赤字になっているのです。このことは、例えば、答申書ではっきりと明記したほうがいいのではないかと思います。

また、14ページの「ケース別試算結果まとめ」で、経常損益に与える影響へのシミュレーションが挙げられています。補助金を含めたシミュレーションとして、市営バス単独の決算でどうなるのかを予測されているかと思います。ただ、市全体としての損益を把握する意味では、正直に言うと、補助金は内部取引に当たります。そのため、市全体としては、補助金の収入と支出を相殺しなければならないので、その影響を排除した損益を出したほうがいいと思います。要するに、補助金の内部取引による影響を除いて考えたときに、プラス・マイナスがどうなるのか、意思決定の◎・〇・×をつける判断材料になると思うので、その数字が出せるかどうか、ご検討いただきたいと思います。

2点目は、15ページの「将来の収支均衡を踏まえた課題」の②で、「高齢者無料乗車制度を見直した場合、現状よりも利用者数が減少すると考えられる」ということですが、今のところ、このシミュレーションは減少することを見越した試算結果にはなっていません。結局、シミュレーションなので、何か仮定条件を置かざるを得ないのですが、他市の例とか、例えば、8割とか仮定の数字を置いて、減少するシミュレーションの結果も1、2例を示していただけないでしょうか。

事務局

1点目、補助金の有無を踏まえたシミュレーションについては、前半でご意見があったと思いますが、営業収益と経常収益を含めて、次回にシミュレーション結果をお出ししたいと思っております。

2点目、高齢者無料乗車証の逸走率の件は、実は当審議会が始まる前に、有料化された他市(大阪市・神戸市)に状況等のヒアリングをさせていただきました。地下鉄を持っておられる、バス単体ではない事業者等の数字なので、高槻市とはかなり事情が違う面があるため、どうしても感度分析的なことになってしまいます。例えば、20%逸走、10%逸走という予測では出せると思うので、また次回、提示させていただきます。

A委員

次回以降、18ページの「新たに取り組むことを検討する経営基盤強化策」として、話題提供の意味で情報共有をしたいと思います。ご存じかもしれませんが、昨日、大阪メトロが関西のJRを含め、鉄道会社でMaaS(Mobility as a Service)をやっていくというニュースが出ていました。大阪万博に向けて、自動運転等、新しいものをやろうというチャレンジが出てくると思います。大津市でも、今日(11月1日)から始まっています。

鉄道単独でMaaSをやっても全然意味がないので、2025年までにいろんな交通モードが連携してやらないといけない環境になると思います。そうすると、MaaSに対する取組みも入ってきますが、いつものように、初期費用には補助が出ても、維持費は自分で負担するパターンになるので、ますます費用が必要になってきます。夢のある話ではありますが、それなりに費用がかかることを踏まえた上で、次回以降に反映していただけたらと思います。

事務局

副会長からのご提案も十分に考慮して、さらにイニシャルコストだけでなく、ランニングコストも含めた、ライフサイクルコストを考えて、これからの投資について考えていきたいと思うので、よろしくお願いいたします。

会長

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議題3は終了としたいと思います。

4.その他

会長

議事の4につきまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。

事務局

(事務局より資料5の説明がなされた。)

会長

以上で、本日の案件はすべて終了いたしました。委員の皆様、あるいは、事務局から何か追加等、お伝えしたいこと等はございませんか。よろしいでしょうか。それでは、以上をもって、令和元年度 第4回 高槻市自動車運送事業審議会を閉会とさせていただきます。

配布資料

【資料-1】第4回審議会議事次第[PDF:46.2KB]

【資料-2】市営バス路線等の今後の見直し方針(案)[PDF:4.72MB]

【資料-3】収支状況の現状分析について[PDF:695KB]

【資料-4】将来収支予測について[PDF:899KB]

【資料-5】審議会全体スケジュール[PDF:45.9KB]

お問い合わせ

高槻市 交通部 総務企画課
住所:〒569-0823 大阪府高槻市芝生町四丁目3-1
TEL:072-677-3507
FAX:072-677-3516

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