令和3年度 第1回高槻市自動車運送事業審議会

更新日 2021.12.13

会議の概要

会議の名称 高槻市自動車運送事業審議会
会議の開催日時 令和3年10月29日(金)午前10時から12時
会議の開催場所 高槻市役所本館3階 第2委員会室
出席委員 9名
議題
  1. 新型コロナウイルス感染拡大に伴う市営バス事業への影響
  2. 市営バス経営戦略の進捗報告
  3. その他報告事項
主な審議内容 別紙のとおり
資料名
  • 資料-1 令和3年度 第1回高槻市自動車運送事業審議会 議事次第
  • 資料-2 配席図
  • 資料-3 新型コロナウイルス感染拡大に伴う市営バス事業への影響
  • 資料-4 交通需要や市民生活に即した路線再編及びダイヤ適正化(山間3路線の再編について)
  • 資料-5 市営バス事業運営の効率化について
  • 資料-6 公的負担のあり方について
担当課 交通部 総務企画課

(別紙)

開会

<会長から挨拶>

令和3年度から、副会長、A委員と3人持ち回りで市営バスホームページに短いエッセーを書かせていただいていまして、それなりに読んでくださっているようで誠にありがたいと思っています。この場を借りて感謝を申し上げます。忘れそうなので冒頭でお伝えすることとしましたが、私も少しずつこの会議以外にも高槻市内でバスに乗っていろいろなところに行ってネタを探しているところでございます。引き続きご指導をいただければと思います。

新型コロナウイルスの感染拡大が、現在は小康状態にありますが、予断を許さない状況にあることには変わりはありません。高槻市営バスの収支状況も大変厳しい状態にあるものと思われます。昨年度策定されました市営バスの経営戦略も今年度からスタートしているということで、交通部の皆さんも山間部等の路線の再編や市営バス事業効率化の検討に着手されていると伺っております。

そういったことを踏まえまして、本日の審議会では、市営バスの収支状況や今後の収支見込などを報告いただき、それから今後の展開として山間部路線の再編や市営バス事業の効率化に関する検討状況についてもご説明をいただいて、委員の皆さんの意見をいただきたいと考えております。それではよろしくお願いいたします。
 

会議の公開と傍聴希望の確認について

<会議の公開について>

(高槻市公営企業審議会の会議の公開に関する要綱及び高槻市公営企業審議会傍聴要領等に基づき、公開することとなる。)

(傍聴希望者:2名入場)

<拡声装置取扱の確認>

 (事務局から更新された委員会室マイクロホンの取扱法について確認がなされた。)

<委員に配布のお茶について>

 (事務局から市の方針としてペットボトル飲料を配布せずマイボトル持参を推奨することになったことを説明し、次回以降は持参していただくように依頼がなされた。)

<配布資料の確認>

 (事務局より資料の確認がなされた。)

1.新型コロナウイルス感染拡大に伴う市営バス事業への影響について

事務局

(事務局より資料3及び阪急バス提供の参考資料に基づき、説明がなされた。)

会長

それでは質疑に入ってまいりたいと思います。ご意見・ご質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

副会長

「コロナで大変」というのは、飲食や医療現場については伝わっているのですが、公共交通が本当にヤバいということがあまり伝わっていないというのが現状です。ここで詳細な資料を作っていただいたことで、市民の方々には「今、高槻市バスがしんどい」ということが伝わっていければいいなと思います。こればかりは、これ以降どうなっていくのかということがわかりませんので、今回のように大学が休講になったときに学休ダイヤにして、少しでも運行コストを抑えていくというのは適切なやり方だと思います。

可能であれば高槻市バスだけではなく、よその公営交通とか他の民間事業者さんと同様に、何度も何度も国に声明を発してほしいのです。「本当に今交通業界は大変です」と。国はどこか1社が倒れるまで何もしないと思われます。どこか1社倒れてから対策ができて、その2~3年後に対策をやるだろうとなるので、そうなってからでは本当に遅いので、訴えるべきところは訴えて、あとは市長から総務省に対して「自治体が支援するのも非常に大変です」という声だけは発してほしいと思います。自助努力ではもうどうにもならないというのは、今回の阪急バスのデータも見ても高速バスがほぼ溶けているんです。京阪さんにしても阪急さんにしても、今まで高速バスの収益で何とか一般路線を維持してきたので、それが何ともならないというのは「北摂地域の公共交通が全般的に崩壊する恐れがある」という危機感を持って意見を発していただければと思います。

公共交通を支援するための補助制度を作らない限り、かなりしんどいです。国交省自動車局の昨年度の計画案で、自動車利用者から公共交通を維持するための一定程度のユニバーサル税みたいなものは検討したいという意思は持っておられるので、公共交通に乗らない方も何とか乗るチャンスを維持するためには、一定の補助というか負担をやっていくという傾向になりつつあります。そうなったときに「私は乗らないから、バスはいらない」ではなくて、「乗るかもしれない」と思っている方が多いので、そのときに「ちゃんとバスが残っているようにしていきたいね」という雰囲気だけは作っていただきたいと思います。それはずっと訴えていくしかないと思いますので、よろしくお願いします。

周辺の市町でもバスが大変で、いろんなことを縮小していこうという雰囲気ですが、縮小だけでは未来が全く見えなくなりますので、可能な限りの予算で結構ですので「楽しくなる」、当然ハンドル握っておられる方もそうですし、お住まいの方々も「バス楽しいね!」という取組を少しでも発信していただきたいと思います。これからはしんどいですが、今回声優さんが車内放送をやるという「高槻市バス、どうしたんだ!」というぐらいの楽しい取組で、「今までのバスと違うね!」という取組を、予算の範囲内で構わないので今後も取り組んでいただきたいと思います。
 

E委員

コロナ対応ということで、速やかに対応されているということで安心をしております。例えば、これまでの議論の中でよくあったのは「不採算路線の対応をどのようにするのか」などで、ある意味対応がしやすいと思うのです。ところが、コロナになってからの利用客の減少、大体見ていると4分の1ぐらいは減っているわけですね。これが全体の路線で起こっているという中での対応というのは、すごく難しくなると思います。

対応できるのは、阪急バスさんでやられているような「便数」であるとか、「路線の再編」であるとかというようなことで、対応していかざるを得ない。そうすると、直接市民に影響してくるわけです。今まで5分ごとに走っていたところが、10分おきになるというようなことです。実際にダイヤを変えていかれると思うのですが、ダイヤを変えていくという段階でわかるよりも、決算委員会などで現状の予算・決算がわかったわけですから、これを市民の方へ早い段階で「速報」として広報していただきたいと思いました。
 

C委員

コロナの感染拡大の影響というところで、コロナがこれからどうなっていくかはわからないこともありますが、2ページの収支予測、令和12年度まで出されているわけです。それと3ページの経営状況分析ということで、非常に安定しているという数値を出されていると思います。この令和12年度の収支予測で赤字が出ていくものと、今現在は安定しているという経営状況がどう推移していくのか。その辺をしっかりとシミュレーションして経営に生かしていく必要があると思います。いろいろと改善していく根拠づけとして必要ではないかと思いましたので、よろしくお願いしたいと思います。

会長

ありがとうございました。いくつかご意見が出たところで、事務局から何かあれば、よろしくお願いいたします。

事務局

まず、減らすばかりでは将来がありませんので、今年度から小中学生向けの「おでかけパス」を新たに始めたり、妊婦の方への割引乗車制度を導入しておりますがこれを拡充できないかなど、市の政策と連携しながら市民の方により市営バスを使っていただけるようなサービスについては引き続き検討していきたいと考えているところです。

また、不採算路線の減便等も含めまして、この4月にもかなり大胆に減便をしたところですが、朝夕のラッシュ帯は極力さわらないようにしたとか、或いは1時間に1便しかないような路線、これはこれ以上減らすと市民生活が成り立たないということで、そういうところにはODデータを使いながら配慮をして取り組んでいるところです。

さらに、資料の3ページの収支予測で示していますように10年間で10億円の累積赤字、これを黙って手をこまねいているわけにはいきませんので、やはり利用実態に応じた事業規模にしていくことが第一かなと思うのですが、増収策というのはなかなか難しいのですが、国の補助等も含めて取り組んでまいりたいと考えております。

国への要望ですが、こちらにつきましても高槻市で取りまとめて国への予算の要望というのがございます。その際に私どもも今回のコロナ禍を受けまして、大阪府下で唯一の公営バスということもありまして、我々が声を上げなければどこが上げてくれるのだというところもございますので、中核市市長会を通じて国に要望を行っております。
 

会長

今の事務局の説明に対して、ご意見ご質問等ございますでしょうか。

(質問なし)。

それでは、議題1につきましてはここまでにいたします。続きまして議題の2、「市営バス経営戦略の進捗報告」に移りたいと思います。

まず、項目の①、「交通需要や市民生活に即した路線再編及びダイヤ適正化」について、事務局の方から、資料の説明をお願いします。

2.市営バス経営戦略の進捗報告

事務局

①交通需要や市民生活に即した路線再編及びダイヤ適正化

 (事務局より資料4に基づき、説明がなされた。)

会長

確認ですが、今日は都市づくり推進課の方はいらしてるのですか。

事務局

はい、事務局の方に出席しております。

会長

アンケートにつきまして、都市づくり推進課にお答えいただいた方がいい内容があるかもしれませんので、お願いすることもあろうかと思います。

それでは、ただ今の説明につきまして質疑に入ってまいりたいと思います。ご意見・ご質問等をよろしくお願いいたします。

B委員

アンケートの質問になるのですが、今の市営バス運行下でそれを前提にしたアンケートのように読めるのですが、最後の質問だけ「公共交通の改善」という言い方をされており、広域公共交通に関する考え方となっています。この質問だけを見ていますと、路線バス以外の選択肢ということも想定されている質問に思えます。このアンケートの前提として、選択肢にあった「オンデマンド型交通」とか「タクシー」とか「白ナンバー車による運行」であるとか、その辺りも踏まえた意見交換などをこの地域の方とはしておられるのでしょうか。今後検討するにあたって、恐らく市営バスなのか、あるいは他の手段なのかということに対して、どの程度この3地区の方が感じているのかなどを意見収集されているのかということに関してお伺いできればと思います。

事務局

都市づくり推進課です。この山間3路線、3地域のアンケートを取るときに、地域の方に実際に我々が出向いて、このアンケートを取る目的をまず説明させていただき、アンケートを住民の方に取らせていただいております。目的につきましては、人口減少という課題と交通部の運転手不足という課題が今後ますます増えてくるということを踏まえております。

地域の維持、活性化に向けては、公共交通が何よりも必要なものであるということを踏まえまして、大型バスによる移動だけではなく、さまざまな手法を検討したいということでアンケートを取らせていただいております。地域の方々につきましてはそのようなことを踏まえてお答えいただいていると考えております。

会長

この種のアンケートにしてはかなり回収率が高いと思います。いろいろ回収の工夫をされたと思いますし、住民の方々のご関心も高い話題であるということが推測できるところであります。

A委員

私も交通に関するアンケートは取ってきましたが、このアンケート結果を見て一点気になることは、今回このアンケートを取るに当たって実際にバスに乗った人と乗っていない人が分けて分析ができているのかということと、公共交通というイメージ自体がどこまで住民の方がわかって回答をしているのかということです。公共交通と聞いたときに、今あるバスしかイメージせずに回答している可能性もあるのかなと少し思ったりします。そうすると「運行本数を多くする」とか「乗りたい時間に利用できる」というのが、「今のイメージ」で回答しているとすれば、回答者が地域の交通にどのようなことを求めているのかというところが、うまくとれていないのではないかと感じます。元々の趣旨が、需要規模が少ない所に対して、適切な交通手段を提供する。それを検討するための一つの基礎資料とするに当たって、どこまでイメージが具体的に住民の方たちができているのかというところがわからないと、ただ回答結果だけを見て意思決定をするのはちょっと早いのかなと思います。もちろん、このアンケートだけで判断されるとは思いませんが、特に回答者の「地域交通が改善した時の利用意向」というところは、基本的にどのようなアンケートでも高くなる結果が出ています。そのイメージするものがどのようなものであるのかということによって、結果が変わるのかなと思っていて、調査する側と回答する側のズレというものを意識したほうがよいのではないかと思います。

それから、樫田地域の方では人口が他の地域よりも若干多い。その中で、例えば10代以下の方、あと20~50代以下の方がある程度回答していただいていて、もし今回のアンケートで分かっているのであれば、お聞かせいただきたいと思います。例えば10代以下の回答者全体に占める割合が10%とはいえ、普段どのように行動されているのか。今後の利用者になる可能性もありますし、例えばバスや公共交通を使っていなくて、家族内での車の送迎という利用実態があるのであれば、そこに住民の方の不便が発生しているとも思われます。こういう検討をするときは、高齢者の方は無理に車に乗らずになるべく緩やかに移動手段を確保しようという意図があると思いますが、もう少し使っていない方々を含めて検討する必要があるのかなと思っていて、その辺を今回の調査でどこまで取れているのかということがもしあれば、教えていただきたいと思います。
 

事務局

今回のアンケートにつきましては、年齢別にそれぞれ出していただいております。職業であったり、学生であったり、外出の手段につきましても、自分で運転されるのか、近所の人に運転してもらうのか、家族の人に運転してもらって動いているのかというようなところまでアンケートで取らせていただいています。今後、将来運転免許を返納した時にどうなるのかとかなどということも考えられますので、そういった点も含めまして十分に検討していきたいと考えております。
また一定説明したうえでアンケートに回答していただいておりますが、今後代替の交通手段を検討していく中で、引き続き地域と対話を重ねながら丁寧に進めていきたいと思っております。

会長

今回まずアンケートを取られたということは、画期的というか、今までこういう資料がなかったものですから非常に重要な示唆があるだろうと思います。今後本当にこの公共交通の政策をこの地区で行っていくに当たっては、また詳しいアンケートを取るとかワークショップなどを行って意思決定の参考にしていくというプロセスは必ず踏むことになるだろうと思います。またその時は、こちらでの検討についても続けていただけるとありがたいと思います。

G委員

今もお話がありましたが、地域の自治会等に協力していただいて、細かい住民の願いを調査していただいたことはありがたいことだと思います。3地域でそれぞれ違いが出ておりますが、特に川久保地域の方が特徴的で、ここだけが「現在の大型車両による運行を維持する」という意見が多いのですけれども、これは何故かという理由はわかっているでしょうか。

事務局

あくまでも予測になりますが、川久保地域は樫田地域や萩谷地域に比べてバスが利用しやすい環境にあるのかなと考えております。実際、地元説明に行った際、「今までよりも少し便数を増やしてもらえればいいですよね」というようなことを言われていました。そういった辺りがこのアンケートの結果の違いに出たのかなと考えています。樫田地域はエリアも広いですし、系統も分かれていきまして、例えば二料から杉生に行くのも大変だったりというようなところで、今のバス運行では不便を感じておられるのかなと推測しているところです。

G委員

これからこれを基にして各地域でお話していくのが非常に大事で、またそれが非常に難しいところかなと思います。いろんな願いがあると思いますので、ご苦労をおかけしますけれども、色々なお願いをお聞きいただいて、それぞれの地域に合った形というのを選んでいただけたら、非常にありがたいかなと思います。

あと樫田小学校と萩谷総合公園の場合は、学校ということとイベントということがありますので、その時はどうするのかということも含めながらご検討いただけたら、大変ありがたいかなと思います。

事務局

樫田小学校につきましては、市の施策として取り組んでおりますので、子どもたちの移動手段については配慮が必要と考えています。萩谷も総合運動公園がございますので、イベント時にどうするのかということも含めて、都市創造部との連携を踏まえて新たな交通手段というものを検討していきたいと考えております。コミュニティ市民会議さまには今後ともご協力をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

F委員

アンケートをやられたことは有意義だと思います。普段の外出状況の所で「市内」と「市外」と書いておられていたと思うのですが、市外に行かれる方でも例えば高槻の中心地まで行って市外に出られる場合とか、車に乗って直接市外に行かれる場合があります。高槻の中心部に行って市外に行かれる場合は、高槻市内の公共交通機関を使われる可能性もあるので、そこは市内の方の移動が多いとか市外とかいうことではなくて、もう少し詳しく調査したほうが良いのではないか。市外に出る時も単に自動車で直接市外に行くのか、高槻市内を通って市外に行くのかによって、地域の公共交通機関の制度も変わってくるのかなと思いました。

事務局

アンケートを取る上で、「市内・市外を移動するときにどのような交通手段を使いますか」というところについて、複数回答をいただくようにしています。例えば「車だけで市外」という話であれば、自家用車だけで樫田の方が亀岡に行っているのだろうなど、主な目的地もある程度わかるようにしています。そのような中で、バスを使って電車に乗って市外に行っているのかなども把握できるような形にしていますので、そういうことも含めて今後詳細に検討を進めていきたいと思います。

副会長

今回作成していただいた表現以外に、先ほどA委員からご指摘があったように、バスを利用されている方がどのようなご不満をお持ちなのか、という点が明らかにできればよいと考えています。乗っていない人たちは何をやっても不満がありますので、そこは仕方がないのですが、今の人口規模で絶対何をやっても適正にはできないということは前提としてあるのです。しかも、これから人口が減少していく傾向がかなり強い中で、市はそれに対してどうするのか。主に財政的な面でコンセプトがしっかりしないと、「交通部の中だけでお願いします」というのは、経営が絶対できません。その辺のコンセプトを早めに固めていただかないと、結局は赤字の負担の押し付け合いをどうするのかという点で苦労すると思いますので、そこだけはよろしくお願いします。

アンケートの中身を見ていると、3地域とも同じサービスをするというのは無さそうだなと思います。少し手間ですが、地域に応じてやっていく手法もそうですし、結果として走らせるものもかなり違ったものになる可能性が大きいなと感じました。例えば川久保地域ですと、ほぼ高齢者の社会で、しかも今は家族が送迎されている方が3割ぐらい居られます。そういうことを見ると、将来家族が運転できなくなったり、お亡くなりになられた場合、結局移動手段がなくなるということになる。そういう可能性が一番高い地域だなと感じるのです。しかもほぼ高齢の方ですので、恐らく「大型のバスでいいよ」というのは、「新しいものだとよくわからないし面倒くさい。今までどおりがいい」、そういう感じだと思うのです。するとそこに新たなすごいITを使ったサービスみたいなものを入れても、多分効果は低いだろうなと。それであれば、例えば川久保地域なんかですと人数が少ないので、今バスを使われている方々の「希望する時間は何時ですか」、それに合わせて「みなさん、最大限の努力をするのでご利用ください」という方法もあるかと思います。

ところが、萩谷や樫田の場合は少し違ってくるので、また違う方法で運行しなければいけない。恐らく樫田の場合は、「子どもたちの通学はしっかりケアします。それ以外については、地域でいろいろ考えていただかないとなりませんね」みたいな話になってくると思います。手間はかかると思いますが、各地域とも違った方法になるだろうというのがあります。

運行本数を増やしても絶対に利用者は増えませんし、しかも今高齢の方が車に乗っていて、将来免許を返納するかというと、かなり可能性は低いです。厳しいようですが、普段からバスに乗る習慣がない人が、車をやめるということはほぼありません。車以上に便利なものはありませんから、どんなサービスを入れても車よりは魅力が出ません。実際に免許返納をしている高齢者の傾向を見ていると、普段から車を運転しつつも公共交通を使っている人で、かつ大都市圏内にお住いの高齢者が返納する傾向にあるのです。

なので、こういう地域の場合は、持続可能と言った場合に、いつまで今のサービスができるかというのは、将来にわたってずっとではなくて、地域の人口変動に応じてサービスの提供方法が随時変わっていくということを前提に、地域にご理解をいただく必要があります。もしかしたら「キラキラしたすごいものがやってきて、私たちの所の人口は少ないけどすごく便利になりそうな」というようなことは絶対にあり得ません。そうではなく、「今の人口規模と公共交通の分担率のうえで、自治体のコストも考えた上で、でもみなさんにもそんなにご不便掛けないようなものになっていくので、その辺のバランスをどこでどうやって落としていくか」という議論になっていくと思います。やり方はいろいろあるのですが、地域の顔役の方には随時「今こうなっていますよ」という新しい情報をお伝えしたほうがよいと思います。

参考までに、別の中山間地域で新たな公共交通を入れようと思って、会議で全部お膳立てして、その議論にその地域の人が入っているにもかかわらず、説明に行ったら「私は聞いてない」と言って全部ひっくり返っているところがあるのです。最後に感情的な問題で頓挫する可能性がありますので、ぜひ地域の方々には随時「今こんな状況です。アンケートありがとうございます。今こんな検討をしています」ということは、少し手間は掛かりますがお伝えしたいただいたほうが、最終的にすんなりいくと思いますので、よろしくお願いします。

事務局

地域公共交通は地域の維持、活性化をしていく上で重要なものと考えています。そのような考え方のもと、地域の方と話し合いながら決めていきたいと思います。一方で、持続可能にしようと思えば、費用というのはやはり考えていかないと、避けては通れないと考えています。そういうことを踏まえて、持続可能な地域公共交通を維持していくということを考えながら、地域とともにサービス水準を考えていきたいと思います。また、地域の方々にも協力していただかないといけないことも多数出てくると思いますので、引き続き一緒になって、交通部と連携しながら検討していきたいと思います。

会長

A委員と私は経営学部商学科というところにおりまして、そこにマーケティングという科目があります。それが花形なのですが、マーケティングというと、どうしてもどんどん儲けるためにお客様のニーズを掘り起こすとか、マーケティングリサーチ、調査をするとか、そういうイメージが強いわけです。

今はそういう時代でもなくなってまいりましたし、この例を見ますと、いくらニーズを引き出してもペイはしないだろうと思います。ただ補助をするのだったら補助の効果を高めていきたいし、市民の方に喜んでいただくということが目的となります。マーケティングをしていく必要があると思います。それは民間に任せてもやってくれないわけでして、私どもはそういったマーケティング調査のスキルを使いながら、儲からないもののマーケティングだけれども費用対効果を高めていくとか、ギリギリ元が取れるような状況を続けられるようにするとか、そういったことを最近考えているところです。

私は直接マーケティングを専門にしているわけではないのですが、そういったところでもお役に立てればと思っております。

A委員

少し補足になるのですが、確かにマーケティングというと、お客様を増やすという活動だと理解されているのですけれども、私は講義でも伝えているのですが、実は「人の行動を変えること」がマーケティングで、決して「使ってもらう」ということとか、「買ってもらう」ということだけではありません。例えば、ソーシャルマーケティングみたいに「利用を控えてもらう」という方向でマーケティングが使われていることもたくさんあったりするので、例えば喫煙習慣をどう減らすのかとか、公共交通の話だとマイカーからどうやって離れていくのかとか、そういったことは行動経済学などの分野と融合されながら研究されています。そこで大事なのは、やはりコミュニケーションになるのかなと感じています。やっぱり地元の中に入り込んで、かなりコミュニケーションしていかないと、なかなか難しいのかなというところもありますので、今回のアンケート結果だけではなくて、市と住民とお互いにもう少し密接にコミュニケーションして、妥協というとネガティブな意味にはなりますが、お互いに妥協できる点を探っていくという丁寧な対応が大切ではないかなと思います。

会長

マーケティング調査というのは民間企業の専売特許ではなくなっておりまして、行政とかあるいはNPOとか、地域と一体となってやっていくことが非常に重要になると思います。私ども経営学部の学生も民間企業を志望する学生が一番多いのですけれど、公務員志望もなかなか根強いものがありまして、これからは経営学部で学んだことを公務員として生かす時代でもあるよということを言って学生を焚きつけたりしております。そういった意味でも、学生の実習の場としても、もしかしたら色々とお願いする場もあるかもしれませんので、併せてよろしくお願いいたします。

ほかにいかがでしょうか。

(質問なし)。

それでは次の項目の方に参りたいと思います。②の「市営バス事業運営の効率化」について、事務局の方から、資料の説明をお願いします。

事務局

(事務局から資料5に基づき、説明がなされた。)

会長

それでは、ご意見・ご質問等をよろしくお願いいたします。

少し細かいことを申し上げますと、4ページ目に「管理の受委託実施状況」と書いてありますが、鹿児島市のように純粋な民間移譲の事例も入っています。管理の受委託も色々なやり方があって、公営事業者ごとに組み合わせて様々な改善がなされているということです。私も管理の受委託の論文を書いたことがあったのですが、かなり交通の研究者の中でも知られていない部分でもありまして、結構、独特な仕組みかなと思います。

B委員

こういった組織再編とか管理方法の見直しによって、事業の経営効率化と言いますか見直していくということは非常に有意義なことだと思いますが、おそらく一般的には課題で挙げていただいている、「弾力性がない」とか「事業の多角化に課題がある」という点になると思います。例えば「新しい会社」を作るということになりますと、恐らく今ある規定体系に縛られないということとか、事業領域とかも高槻市に縛られないという意味でメリットがあると思います。

一方で、こういう事業再編ということになりますと、デメリットという意味でもある程度考えていかないといけないのですが、既存の交通部の事業の一部を新しい会社にとなった時に、新しい会社でやると当然のことながら今まで交通部1社でやっていたことが新しい会社と2社になります。例えば、全体の費用感が共通的な固定費とかが逆に増えてしまうということになるということがあり得ると思います。経理業務一つ取っても、今まであれば交通部の経理一つでやれていたことが、分社化することで2社分必要になってきます。単純に「0.5と0.5」に分けられることではなく、恐らく「1といくら」ということになると思います。

あと、新しい会社で交通事業をやるとなると、新しい会社としても交通関係の認可を取らなければならないということになりますので、そういった意味でのデメリットも出てくるということも考慮に入れておかないといけないと思います。

人的な部分でも、こういう組織再編とか子会社化などをやったりするときに、一般的には親会社と子会社が手を取り合って、コミュニケーションを取り合って、事業のシナジーを高めましょうというのがメリットのように聞こえるのですが、実際にいろんな会社を見ていてどうかというと、親会社と子会社がかえって意思疎通が取れていないとか、部分最適になっているとか、そういうこともあり得ます。分社化することによって人的な軋轢などで、結果的には全体最適に至らないという事例も民間でも多々あります。そういったところも十分考慮して、分社化によるデメリットとメリット、要は多角化して収益源が確保できる見込みがあるというのであれば、その費用と収益を比較してある程度見込みがあるというのであれば、分社化というところも選択肢として入れてもいいのではないかと思います。ただし、収益というところが十分見通しにくいということであれば、慎重になるべきなのかと思います。

事務局

私どもの事業規模で言いますと、2つの営業所しかない中で、営業所単位でどこかに委託するというのはなかなか難しい面もあると思います。

また、B委員からあったとおり、あらゆる可能性について検討を行う必要はあると思いますが、会社の設立につきましても、メリット・デメリットが色々とあって、なかなか難しいということも十分把握しております。

ただ、例えば山間3路線にデマンド交通のようなものが新たに走ったとして、それを運行する乗務員と路線バスを運行する乗務員と、同じ組織の中で運営ができるのかなといったことも課題として考えております。分けた方がいいのであれば分けた方がいいでしょうし、デメリットが大きければ当然一つの組織でやった方がいい。その辺りをこれから検討の深度化を進めて結論付けていく必要があるのかなと考えております。この審議会からもいろいろな意見をいただきながら検討してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

会長

民間のバス事業者は別の手法で組織再編を20年ほど前からやっています。そのメリットが出つくして、デメリットが出てきた段階があったので、また元に戻すとかいろいろなことを試されているといったところです。そこまで含めて情報を整理するとキリがないと思いますので、先ほどのような効率化の手法と並行して議論をするときの参考にしたうえで、高槻ならではの再編の方向を検討していくというのがこの会議の使命だろうと思います。

G委員

山間3路線の場合に経営形態が変わるという検討というのが確かに出てくるのではないかと思います。これがどうなるかわかりませんが、住民と色々と話をしていって「こういう形でいこう」となった後で、そういうのが変わったときに、結果的に「前に話したことと全然違う形になってしまったじゃないか」という不信感が生まれないかということが非常に危惧されます。その当りを十分に踏まえた上で、検討していただきたいと思います。私は市民の高槻市の公営バスに対する期待というものは、非常に大きいものを実感しています。だから、そういう意味も踏まえた上で十分検討していただきたいと思います。

事務局

山間路線の再編と私どもの組織としての事業再編検討は完全に一致しないこともあるのですが、両輪で検討していく必要があると思います。山間路線の運行というものをこれからどのように、運行主体が誰でどこが運行するのかというのも課題ですが、その時に市民の皆さんに不安を与えないような形でやっていかなければいけないと考えております。市営バスとしても組織として公営を維持していくために本当にどうすればよいのかという大きな課題と、この山間路線の課題というのは合わせて検討していきたいと考えております。

F委員

資料の3ページで、公営バス事業における経営改善の主要な手法を例示されており、①直営方式、②管理の受委託、③第3セクター企業設立などとあるのですが、管理の受委託をしたときには、公営企業の形態を維持したまま、運行や車両管理などの業務を委託するとなっていますが、この場合直営で行われているような「議会との関連性」というものは、どこまでが議会の議決がいるような関連性が出てくるのか。例えば人件費でしたら条例に出てきたりするのですけれども、委託料だけの関係になってくるのか、どういう形で関係を持つのか教えていただきたいと思います。

事務局

管理の受委託に関しましては、神戸市でも実際にされていますが、あくまでも神戸市交通局が1つの営業所単位で民間会社に「これを運行してください」とお金を出して運行してもらうやりかたです。議会への報告等は当然いると思いますが、議決事項になるのかどうかは不明です。企業を作るとなってくると、当然条例の改正などいろいろと出てきます。ただ、作った企業に対する出資元がどうなのかということなどがいろいろと関係してきて、議会との関係の要因や条件になるのではないかと考えているところです。また、この辺りも調べていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

行政の機構として指定管理者制度などを導入されているところがありますが、それに近しい形だと想像していただければよいかと思います。あくまでも「委託業務」になりますので、我々行政側といたしましては「人件費」ではなくて全て「委託料」になります。民間事業者に委託した方がコスト的に低ければ、正規職員と非常勤職員を抱えて100%直営で運営するよりも、民間事業者に委託したほうが「人件費」と「委託料」で費目が違うというのもありますし、額そのものも安くなるということが想定されます。会計の中身としましては、委託料として持つのか人件費として持つのかによりまして「人件費比率」などの関係が変わるというのも大きいのかなと考えます。

責任の所在ですが、全て委託でございますので、あくまでも高槻市営バスとしての看板を背負って運行していただく委託業務という形で考えていただければよいかと思います。

C委員

経営状況が非常に厳しいということで、その状況に応じて経営の多角化というものの検討が必要だとは思います。しかし先ほど、高槻市がこれまで直営でやってこられて、経営状況は安定しているというような話もございました。これまで交通部として努力されて、現時点での経営状況を保っておられると思うのですが、そのようなことも十分踏まえた上で、経営の多角化ということも考えた方がよいのではないかと思います。高槻市であれば直営方式の方が向いていると言えないわけではなく、それを柱としながら色々な経営形態を考えていくということも必要ではないかと感じましたので、意見とさせていただきます。

事務局

当然、答えとして直営方式のまま維持していくということも見据えながら検討していきたいと思っております。公営バスがあるからこそ、この高槻市の魅力があるということだと思いますので、その辺りは当然意識しながら検討していきたいと思います。必ずしも答えが何かあるわけではなくて、本当にこれからの検討で、今日は一石投じさせていただいたというようなイメージで考えていただければと思います。

副会長

これから経営環境とかバスを取り巻く環境が変わる中で、いろんなことを考えていこうという中の一つの案だと考えていますので、全然決定事項ではない。むしろ、これからのことで状況が変わったときに、「こういう考え方もあるよね」ということを早めに着手されたということは、とてもよいことだと思います。山間路線が新たな形態になったときに、今のままの直営がいいのかとか、その辺はなかなかわからないのでとりあえず検討しましょうと。

他の環境としましては、これから民間バス事業者さんと共同経営していくとかということが求められていくと思うのです。例えば、高槻市域を越える需要に対して運行したいという声があっても、自分のところではやりにくい。他の会社と一緒に共同運行していこうというのが今のトレンドになっており、対立から協調の時代になっています。その時に別の会社で受けていただいた方がいいのかもしれないとか、そういう議論が出てくると思います。

何よりも、経営の効率化が達成されることで、まず今後10年間の累積見込みの10億の赤字が少しでも減っていくということもあるのですが、これから恐らく最大の問題になるのは整備士さんの問題だと思います。今回、阪急バスさんも車両の5年償却から8年のリースに変更すると聞いているのですが、長く使えば使うほど壊れる率が高くなって、しかもその場で直しにくい電子部品が増えていますので、かなり整備士さんに頼るところが大きくなっています。道は2つあって、1つは安定した整備士さんの確保にずっと費用を投じていくことと、整備士さんを委託している場合は、受託先に対して「多額に支援するから定期的に整備士さんを確保してね」という道です。私はそこがどこのバス事業者でもこれから大きな課題となると思いますので、そういったことを視野に入れる時に、「じゃあ整備に関しても、それだったら別の会社にした方がいいかもしれない」という案が出てくると思っています。

会長

例えば熊本市さんはかなり状況が違うので、最新の制度などを使いながらいろいろ改善案を出して実行されたりとか、変化しているところがありますので、そういったことを踏まえながら高槻市ならではの効率化について、また議論を深めてまいりたいと思います。

それでは、続きまして、議事次第ですとその他報告事項になりますけれども、「公的負担のあり方について」事務局から説明をお願いいたします。

3.その他報告事項

事務局

(事務局より資料6に基づき、説明がなされた。)

会長

報告ということですので、これからどうこうということはありませんが、何かご質問等があれば受けたいと思います。

(質問なし)。

それでは、本日の案件はすべて終了ということになりますが、委員の皆様、あるいは、事務局の方から何か伝えられたいことがありましたら、この機会によろしくお願いいたします。

事務局

次回の審議会ですが、本日ご報告しました取組に加えて、その他、経営戦略に位置付けている取組の検討を進め、その内容を報告させていただければと考えております。

日程については来年2月頃を想定しておりますが、詳細につきましては追って連絡させていただきますので、委員各位におかれましては、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

会長

それでは、以上をもちまして、令和3年度 第1回の高槻市自動車運送事業審議会を閉会とさせていただきたいと思います。どうも長時間にわたりご議論いただき、ありがとうございました。

配布資料

【資料-1】令和3年度 第1回高槻市自動車運送事業審議会 議事次第[PDF:55.8KB]

【資料-2】配席図[PDF:104KB]

【資料-3】新型コロナウイルス感染拡大に伴う市営バス事業への影響[PDF:569KB]

【資料-4】交通需要や市民生活に即した路線再編及びダイヤ適正化(山間3路線の再編について)[PDF:471KB]

【資料-5】市営バス事業運営の効率化について [PDF:241KB]

【資料-6】公的負担のあり方について[PDF:220KB]

【参考資料】コロナの影響及び改善対策[PDF:121KB]

 

お問い合わせ

高槻市 交通部 総務企画課
住所:〒569-0823 大阪府高槻市芝生町四丁目3-1
TEL:072-677-3507
FAX:072-677-3516

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