更新日 2019.02.12
会議の概要
会議の名称 | 高槻市公営企業審議会 |
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会議の開催日時 | 平成26年9月19日(金曜日) 10時00分から12時00分まで |
会議の開催場所 | 市役所 本館2階 全員協議会室 |
出席委員 | 10名 |
議題 |
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主な審議内容 | 別紙のとおり |
資料名 |
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担当課 | 交通部 企画運輸課 |
(別紙)
審議会開始
○会長
おはようございます。
ただいまから平成26年度第5回高槻市公営企業審議会を開催します。よろしくお願いいたします。
まず始めに、傍聴希望者がおられるようでしたら、入室をお願いいたします。
(傍聴希望者入室)
○会長
それでは、事務局から、資料の確認、及び議事録の確認について御説明をお願いいたします。
<配布資料の説明>
(事務局より配布資料と前回審議会の会議録について説明がなされた)
○会長
それでは、事務局から前回の審議会で質問があった点について御説明お願いいたします。
資料説明
○事務局
それでは前回御質問のあった点について、御説明いたしますが、その前に第3回に配付をいたしました人件費データの資料について一部誤りがありましたので、そちらの御説明をさせていただきます。
第3回の審議会でお配りした資料1-3、「高槻市の給与・定員管理表」についてですが、数字に訂正がございました。訂正の概要につきましては、お配りしている「職員の給与・定員管理等の公表、高槻市ホームページ」という資料をご覧ください。
これは国から提供される民間企業の平均給与等の金額を基に人事課が作成し、市のホームページに掲載しているものですが、黄色マークの部分にもありますように国から提供された民間企業のバス運転手の平均月収額に誤りがございました。そのため、人事課で9月12日に訂正を行っております。
具体的な訂正箇所は、黄色マーカーで示している平均月収額の32万1,500円という数字ですが、これにボーナス分が含まれていませんでした。訂正後はその裏面の黄色のマーカー部分、39万2,900円となっております。その結果として、高槻市と民間の比較は1.64倍から1.34倍に変わっております。
以上、訂正の概要でございますが、国が提供する民間企業の給与額とその内訳、算定根拠、基準につきましては非公開でございまして、これまで国に対して何度も問い合わせをいたしましたが、一切回答をいただけておりません。そのため、実際にどの程度の勤務時間で、どの手当が含まれているのかなどの情報がございません。今回の訂正の件もそうですが、そうした数値と単純に比較することに事務局としては課題を感じている次第でございます。
なお、前回会議で人件費圧縮の取り組みにつきまして、事務局から御説明をいたしましたが、人件費圧縮、一人当たりの年収の減少につきましては1年で効果があらわれる短期的な取り組みだけでなく、長期的に将来の人件費を抑制する取り組みを行っております。具体的には給料表自体の見直しや、初任給を本庁よりも約2万円弱下げるなどの取り組みを行っており、こうした取り組みにより今後民間企業との格差は縮小するものと考えております。
資料の訂正に関する説明は以上でございます。
続きまして、資料1をご覧ください。
前回の審議会で他会計からの補助について、問い合わせをいただいておりましたので、資料を作成いたしました。公営企業の各社局の他会計からの補助・負担・繰入金を一覧にしたものです。
表の各項目ですが、左側の営業収益というところは、例えば当市営バスで言いますと、高齢者無料乗車証等に係る補助金額を計上しております。その右側の営業外収益というところは、生活交通路線維持事業補助金を計上しております。他市では、例えばコミュニティバス等の運営補助がなされているような場合、ここに計上がされているようです。そして、補助金以外の運送事業収入は、事業収入というところに計上しております。そして補助金と事業収入を合わせたものが総収益となり、その右にある補助金依存率は、総収益に対する補助金の割合を表しています。この割合は、どれだけ税金が経費に投入されているかという割合になっております。
次に資料2をご覧ください。
これは、高齢者無料乗車証制度が仮になくなってしまった場合、つまり市からの補助金の6億円がなくなり、高齢者無料乗車証制度が廃止され、自己負担で乗車しなければならなくなった場合、利用者数の減少が予想されますが、その場合の収支予測資料です。
4パターンご用意しておりますので、資料としては4枚となります。まず1枚目ですが、縦軸に収入、横軸に減少する利用者の割合を記載しています。試算に当たっての前提条件はグラフの下の※のところになります。
※試算にあたっての前提条件ですが、高齢者無料化に関する補助金(6億円)を収入から控除し、高齢者無料乗車証が廃止されたものとして、これまで無料乗車証を利用していた利用者、1名あたり220円の運賃収入があるものとして計算し、乗車人員の減少による減便や路線見直し等をしないこととしており、そのため費用は固定費として計算しました。
グラフの見方ですけれども、右肩下がりの折れ線グラフが利用人数の減少に応じた収入線になります。乗車数が減少しますので右肩下がりのグラフになっております。乗車人員36.2%減と記載されている点は、平成25年度の収益である1億7,837万程度の経常収益を維持するために必要な乗車人員、つまり今以上の収益を維持するためには、乗車人員が36.2%減までにとどまれば維持できるという意味合いの点になります。
次に、人員55.2%減という点に※分岐点と記載されていますが、この点は、乗車人員が55.2%減にとどまるのであれば、経常損益がプラスマイナスになる、その境目の点を表しています。
2枚目の資料をご覧いただけますでしょうか。
これは、高齢者の方は、昼間の時間帯に利用されることが多いため、昼間割引券を使用した場合の試算パターンになっております。これまで無料乗車証を使用していた方が、昼間割引券1枚あたりの金額である163円の運賃収入があるものとして試算した資料です。先ほどの資料と同様の見方でご覧いただきますと、人員13.9%減にとどまれば、平成25年度の経常収益である約1億7,000万円を維持できるということになります。
また、人員39.5%減の点が経常損益プラスマイナスの境界になるというところです。
なお、資料の3枚目、4枚目は、参考資料ということでつけております。これは、同じ条件設定で、生活交通維持路線事業に関する補助金1億6,000円程度を控除した場合のシミュレーションとなっております。
事務局からの資料の説明は、以上でございます。
○会長
それでは、それぞれの委員の方の御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○A委員
前回、給料改定、バス運転士の残業が多いという話がありました。それにつきましては、勤務形態が2つ3つに分かれているということでしたが、現在もこのような2交代や3交代というような勤務体制なのでしょうか。
○事務局
乗務員のローテーションのご質問だと思いますが、乗務員の勤務につきましては、現在も3種類ございます。始発からおおむね14時から15時ぐらいまで勤務する早出の勤務、午後から最終便まで運行する遅出と言われている勤務、朝と夕方のラッシュ時間帯を主に運行する朝夕、おおむね4時間前後ずつ勤務する中休勤務、中休み勤務という呼び方をしておりますけれども、この3種類のローテーションです。時間外勤務につきましては、現在、勤務数が1営業所100勤務ぐらいございまして、2つ営業所がございますので200勤務ほど種類があります。1日200勤務を動かしていかないといけないということになりますが、乗務員が足りない状況でございます。その勤務数を動かす場合に、時間外勤務で対応していかないと200勤務が埋まらないという状況でございます。
○B委員
資料2では、運賃を220円のケースと163円のケースで試算されていますが、220円のケースであれば高齢者無料乗車証制度が無くなった場合でも45%以上の方に継続して乗って頂ければ現在の経費構造の前提で利益は確保できるということです。45%以下の利用であれば赤字になるがこれは高い人件費などの経費を見直す等の経営努力で改善の可能性はあるというように理解できます。要するに、経費の見直しをすれば損益分岐点も変化してくると読んだらよろしいですか。
○事務局
はい、B委員のおっしゃるとおりです。経費につきましては現状を維持した形でシミュレーションしておりますので、人件費の見直しであるとか、またダイヤの見直しをすることによって分岐点は変化することになります。
○B委員
もう一点お伺いします。先ほど、人が足りないというお話がございましたが、これは既存の仕業や輪番制やダイヤ等を前提としたお話だと思います。簡単な対処方は人を補充したり時間外手当を払ったりすることですが、一般的に企業では人が不足すれば勤務の見直しなどを含め要員体制の見直しを検討すると思います。バスはこの数年間にどのような対策を講じてこられたのでしょうか。
○事務局
勤務の見直しにつきましては、実働の見直しや勤務数を減らせるようなにダイヤの組みかえなどに取り組んでおります。あわせて、毎年、職員の補充も行っているところです。
○会長
審議会の答申書をつくるという意味では、事務局に対して資料に関する質問をすることも重要ですが、委員同士の議論というのも重要な要素でございます。お互いにわからないところがありましたら、それぞれの委員の方に質問される、あるいは意見を言っていただくということも、審議会を充実させるには重要と思いますので、よろしくお願いいたします。
この高齢者無料乗車制度のシミュレーションですが、これに関して一委員として申し上げるとすれば、神戸市や大阪市といった大規模な公営事業者では、ICカード等機器の更新に伴って有料化に舵が切られております。それもやり方がいろいろございまして、段階的に無料を50円、50円を100円というように変えていったり、所得の制限を設けたり、あるいは別の形での割引や、高齢者限定で安く乗れるような定期券を販売するなどの取り組みをされています。もちろんICカード導入に伴って実施しておられるところが多いですから、そういった経験を公営事業者同士の横のつながりを生かしてデータ等、公表されていないものも含めて教えていただいたりしながら、シミュレーションの精度を高めることはできるのかなと思います。
もちろんB委員が言われたように、これに合わせて本来であれば路線見直しやコストを下げる努力というのも重要になると思いますので、時間をかけてシミュレーションしていくことが重要だと思います。
○C委員
資料1で人員減ということで書かれていますが、これは人員の基礎となる数字というのは何を使っているのでしょうか、また高齢者数は今から益々増えていきますので、その点は、どの程度加味されているのでしょうか。
○事務局
ここでお示しさせていただいておりますのは、現状よりも何%減少すれば、現状収益や収支の分岐点に至るのかというシミュレーションでございます。先ほど会長から、他市のいろいろな取り組みの状況を確認しますと、ワンコインなり一定の負担を利用者に求めますと、4割程度減少するということはうかがっています。
○C委員
この基礎となる数字は何を使用されているのでしょうか。
○事務局
御指摘の数値は22年のOD調査を基に、25年の収入や高齢者利用乗車証の利用者数の推定数値に基づいております。それを現在ということで固定をして、人員数が減っていったらどうなるかというデータです。そのため、この利用者数というのは、実際にカウントしたものではなく、推測の数字ということになります。
○C委員
その推測の数字で6億円と比べた場合、どのようになるのでしょうか。幾ら補助をいただいたら運賃相当分をいただいているということになるのでしょうか。
○事務局
この6億円の制度が始まったときの人数に比べて、大体3倍ぐらい高齢者無料乗車証の利用者が増えておりますので、運賃としましては、約18億~20億程度ということになります。
○B委員
今の質問と関連していることですが、資料2は、22年度のOD調査の数値で25年の収支を試算したものでした。これによれば高齢者無料乗車証制度を廃止しても約半分の方に引き続き乗って頂ければ220円ベースで採算が取れると言う事です。しかし、この審議会はバス事業の将来の経営を議論する場でありますので25年の収支試算ではなく、今後、例えば5年後、10年後の収支試算が必要だと思います。現時点で、高槻市の総人口と70才以上の人口、それに70才以上の内何人程度がバスを利用しているかの数値は分かると思います。これらの数値を基に数年後のシミュレーションをして行くことが必要ではないかと思います。
○事務局
おっしゃるとおりだと思いますが、ただ実際に、高齢者が増加している中でどの程度の方がバスを御利用されているのか、また有料であればどれぐらい利用されるのかという推測は難しいところです。有効な推測方法としましては、例えば乗客アンケート、住民アンケートをとるなどが考えられますが、その場合、実際に福祉部門と協働して、計画を立てていくということが重要であると考えております。
○F委員
アンケートで聞いていくのも一つだというお話でしたが、アンケートでどういった形で聞くような考えなのでしょうか。例えば無料であれば、「乗りますか、乗りませんか」というような質問項目であれば、乗らないのに「乗ります」と答える方が多く出てきてしまうので、実態を把握するうえで計算の基にはならないのではないかと思います。
○事務局
おっしゃるとおりだと思います。まだ具体的な項目をどうするべきかという検討に入っておりませんので何とも申し上げられないこともありますが、そもそも高齢者無料制度というものがどういう位置づけのものであるのかという目的に照らして、アンケートのつくり込みをすることになると思います。実際にアンケートをするとなったときには、そういう福祉の観点からどう乗っていただけるかというところの視点も入れた上で、アンケートの項目をつくり込んでいくことになると思います。
○B委員
アンケートまでやる必要があるかどうかはこの場で議論することではないですが、私は、推計のためにコストを掛けてまでアンケートをやる必要はないと思います。この審議会はバス事業の将来の事業経営が論点です。資料2で現時点での収支推計はわかりました。従って資料2をもう一歩踏み込んで将来の推計をして戴きたいと思います。当然、推計ですから分からない部分もあり一定の条件の下での推計になると思います。現時点の高槻市の総人口も70才以上の人口も分かっています。その中からバスを利用している人数も推計できています。また将来、例えば5年後の高槻市の総人口も70才以上の人口も推計値はある筈です。現時点での70才以上のバス利用者割合を前提にすれば5年後の70歳以上のバス利用者数も推計できると思います。今日の資料で現時点での収支見込は分かりましたので、5年後の収支を推計すべきだと思います。
○事務局
B委員がおっしゃったように、将来人口予測なり、また年齢構成も統計資料で出ておりますので、その資料と現在のOD調査を基にした高齢者の利用比率を掛ければそのあたりは試算できると思います。検討させていただきます。
○会長
研究としては非常に興味深いところでございまして、この審議会に10年ほどかかわらせていただいて、もし自分でシミュレーションや研究をしてみたらどうなるだろうと考えていたのですが、非常に変数が多いので研究としては難しいかと思います。B委員がおっしゃるようにいろいろ考えて変数を組み込んでやっても多分当たらない、やってみないとわからないという部分もあるのではないかと思います。この資料2の数字は、高齢者無料乗車証がなくなったときに、どのぐらいの方が利用しなくなるか、それもよくわからないので、もし何割乗らなくなったらこうなるというシミュレーションを一時点で示してあるわけです。ただ私の手ごたえとして実際に市民の方、特にアクティブシニアの方にお話を伺っていますと、高槻の場合は割と、無料乗車証があると、かえって気兼ねをするという意見をお持ちの方もおられます。そういう世代の方がこれから増えていくとなると、単純に減収になる、乗らなくなるというだけではないのかもしれません。そのあたりまで踏まえて5年後、10年後のシミュレーションをしていくと、非常に難しいですし、やっても当たらないということも十分に考えられます。
前回出た質問に対応して、資料を作成されたという中では、これだけのデータがあればシミュレーションの第一歩は踏み出せたのではないか思っております。もしこれからさまざまな変数を取捨選択して、またシミュレーションの精度を高めるのであれば、場合によっては専門のコンサルタントにかかわっていただくことも考えられます。議論を深めていく余地のあるテーマではないかとは思います。
○B委員
会長のおっしゃることはその通りだと思いますが、この高齢者無料乗車証制度をどうするかは市が決めることです。バス事業者としては、市の政策がどのような形になってもその中で事業経営を行なわなければならないと言う事です。将来の事業経営の中で収支予測は最重要ポイントだと思います。従って収支予測が全くわからないと言うことではなくある程度の幅の中での収支予測は必要だと思います。本日の資料を見ても運賃を220円で試算すれば現在の半分程度の70才以上の方に乗って頂ければ採算が取れることが分かりました。次期5か年計画にも同様の推計をしてみる価値はあります。コストをかけてコンサルを入れるまでもなく現時点で必要な推計は可能だと思います。
○会長
コンサルタントを入れるということになれば、2年3年はかかりますので、そこまで申し上げるわけではありませんが、一応研究としての可能性、精度を上げることを考えるとそういうことも考えられるということです。
○D委員
このデータにさらに追加するとすれば、前回のOD調査の結果で、その当時の70歳以上の人口の中の高齢者無料乗車証の利用比率が出ていると思います。5年先の人口は、広報等で出ていますから、それをそのまま社会増も、自然減もないという前提の上でスライドさせて、高齢者無料乗車証の利用比率も変わらないという前提で計算すれば、もう1本グラフがつくれますので、それを計算しますともう少し見えてくるものがあるのではないかと思います。その上で、どのようにコストカットしていくか考えることができます。
また、高齢者無料乗車証の検討でいいますと、例えば、無料乗車証を廃止しますという結論になりますと、反発があると思いますので、なぜ失くさなければならないのかという本質について議論をしていくべきだと思います。福祉部門との協議も必要ですが、高槻市営バスがこうありたい、こうあるためには無料乗車証を廃止して、別のどのような施策をしたいのかということを考えていくべきです。
これからの経営を考えていく場合、確かに高齢者の皆さんからお金をいただくことも必要かもしれませんが、誰に乗ってもらえれば将来的に利用者が増えるのかということを考えていくべきだと思います。今、子どもがどれぐらいバスを使っているのかという資料があれば、子どもを無料にした場合は、どの程度収入が減少するのか、その収入の減少分と現在の高齢者無料乗車制度の繰入金を比較して、こちらの施策にお金を使わせてほしいという提案はできるのではないでしょうか。可能かどうかは別として、福祉部門に高槻市営バスはこういう理想を持っているという考えを伝えて、市営バスが検討している施策を提案していくべきだと思います。この審議会でいただいた資料からしますと高齢者の割合は、今後1割~2割ほど増加していき、急加速していくのだろうと思います。そのときに、他の市の事例を見ますと、例えば50円、100円程度の負担を求めるなどの方法をとられていますが、幾らにしても乗る人は乗りますし乗らない人は乗らないと思います。私は、運賃の問題よりもこの負担が誰にとっての利益になっているのかという点について説明ができるのであればいいと思います。例えば、将来の高槻市民の税金を納めてくれる子どもたちのために高齢者が負担しているということをすれば、納得いく説明になるのではないかと思います。ただ、経営が厳しいために高齢者無料乗車証を廃止するとなりますと、反発があるのではないかと思います。
○会長
このあたりは、本日の後の議題であります「新たなサービス」のところにも絡んでまいりますし、D委員がおっしゃったことは、以前の審議会でも議論があったところですので、これをどのように答申に盛り込んでいくかということは、また機会を設けて考えてまいりたいと思います。
それでは、次の議題にまいりたいと思います。
路線評価業務の中間報告でございます。これにつきまして、事務局からの説明をお願いいたします。
○事務局
では、事務局から説明をさせていただきます。資料としましては、中間報告要旨:市営バスの輸送状況から始まる、カルテ等の資料一式でございます。
こちらは、次期経営計画策定の基礎資料とするために、現在のバス路線やサービスに係る現状分析を行っている路線評価業務について、審議会委員の皆さんの参考資料としていただくためのものです。
まず、カルテの見方の説明をさせていただきます。特徴的4路線という横組みの冊子をご覧ください。(1)日吉台線とありまして、その右側に1.「路線バスの運行状況」というところは、路線の運行状況について内容を紹介しているところです。左側のところの括弧で括っているところ「路線・系統概要」というところは、路線ごとに作成したそれぞれの路線の概要を説明したものとなっています。日吉台線でいいますと、北部の住宅地と鉄道駅を結ぶ路線というように、各路線の性格が端的に記載されています。そして、その右側の括弧のところ、「路線図と沿線人口分布」というところは、路線の周辺の地域について100メートルメッシュ分布図で人口分布を表したものです。病院や大学、高校などの位置も記載されています。そして、その下の輸送効率というところは、その路線の系統ごとの輸送効率を示すデータを記載しています。
次のページをご覧ください。
2.「現況の輸送状況」というところです。左上の「支払い方法別の年間輸送人員」というところは、OD調査を基に、運賃の支払い方法ごとの輸送人員をグラフにしたものです。このうちH25の構成割合は、H25にOD調査を行っておりませんので、平成19年から平成22年の支払い方法の変化率から推計したものとなっています。
次のページをご覧ください。これは「路線別、系統別のバス停別一日当たり輸送人員(平日)」と書かれておりますが、こちらも過去平日に行われたOD調査を基に、バス停ごとの輸送人員数がどのように変化したのかを示した資料です。
次のページをご覧ください。
こちらは「路線別、系統別の便別、方向別一日当たり輸送人員」と記載されているところですが、1便ごとの支払い方法別の輸送人員の構成をグラフにしたものです。それぞれの支払い方法が色分けで示されており、凡例は、下記に記載のとおり、通勤定期、通学定期など計8項目に分類して表示されています。例えば8時までの時間帯を見ていただきますと定期、あるいは回数券の利用者数が多いということがわかります。9時以降では、濃い赤色の部分が増えてきておりますので、高齢者無料乗車証の利用が多いという傾向が読み取れると思います。このようなカルテを24路線分作成いたしまして、これに基づいて中間報告の要旨を作成しております。
次に、「中間報告の要旨、市営バスの輸送状況」という資料をご覧ください。
項目1と2につきましては、先ほどのカルテ作成に際しての着眼点を記載しております。
そして項目3の「輸送状況カルテ」については、特に特徴的なものとして乗車効率と収支率の最高、最低路線をピックアップして説明させていただきます。
まず、1)の日吉台についてですが、この路線は、乗車効率と収支率がともに最高の路線となっております。その内容ですが、1.系統別、支払い方法別輸送人員は回数券、高齢乗車証、通勤定期が多くなっている。2.バス停の区間別輸送人員はJR高槻駅での乗車が最も多く、上天神から中央公園で降車している。また駅行きはJR高槻駅の他、芥川商店街でも降車が多くなっている。3.便別の輸送人員はいずれの時間帯もおおむね30人を超えており、6時、7時、8時台、そして13時、15時、18時台は60人を超えている便も存在している。支払い方法別では通勤定期と回数券が多く、昼間の時間帯は高齢乗車証が多くなっている。そういった特徴の路線ということが言えます。
次に、2)栄町です。この路線は、乗車効率が最低となっている路線です。この路線の特徴は、1.系統別支払い方法別輸送人員は、高齢乗車証、無料乗車証が多くなっている。2.バス停の区間別輸送人員は、JR高槻駅南以外の系統は全体的に乗降が少ない状況となっている。3.便別の輸送人員は、富田駅発着はおおむね10人未満となっております。JR高槻駅南の発着は、おおむね10人以上となっており、朝夕は通勤定期と回数券、昼間は高齢乗車証と現金が多くなっている。そういった特徴の路線ということが言えます。
次に、3)の萩谷ですが、1.系統別支払い方法別輸送人員は、沿線に関西大学があることから、通学定期が多くなっている。2.バス停の区間別輸送人員は、JR富田駅と関西大学の乗降が多く、関西大学から萩谷区間は少数となっている。3.便別輸送人員は、50人を超える便もある一方で10人未満の便も存在している。通学や通勤に対応している便が多く、夜19時以降の萩谷・関西大学からJR富田駅は少なくなっている。支払い方法は通学定期が多くなっている。そういった特徴の路線ということが言えます。
そして最後に、4)昭和台ですが、こちらも収支比率が最低ランクとなっております。1.系統別支払い方法別輸送人員は通勤定期と回数券が多くなっている。バス停の区間別輸送人員は、JR富田駅と富田団地で乗降が多く、起点から終点まで利用している人が多くなっている。便別輸送人員は、いずれも10人以下となっており、支払い方法は通勤定期、回数券、高齢乗車証が比較的多くなっている。そういった特徴の路線ということが言えます。
5)総括としては、1.バス停の区間別では、おおむね起点から終点まで利用されているが、系統によっては大学等の主要施設や住宅地以遠は利用が少なくなる区間が見受けられる。具体的に利用が少ない区間については、その下に記載しております。2.便別の利用者数は、いずれの便もおおむね10人以上となっているが、一部の便で9人以下となっている。別紙、「系統別、便別乗車人員:9人以下の便」という資料をご参照ください。また、※のところに記載のとおり、ジャンボタクシー旅客定員が9人、タクシーが4人ということで、9人以下の場合には乗合バスで運行する必要性が低いのではないかという分析も行われます。3.支払い方法は、朝夕は通勤通学定期、回数券が多く、昼間は無料乗車証が多くなっている。このような結論が記載されています。その右側のページは、参考といたしまして、カルテに出てきます用語や各値の算出方法について記載をしているところです。
今後、この報告書を参考に、路線、ダイヤの編成について検討してまいりますが、まずは中間報告ができ上がりましたので、取り急ぎ委員の皆さんへ参考にしていただくために報告をさせていただきました。
引き続き、路線の編成と関連いたしまして、資料4の説明をいたします。
「原・上の口と阿武山・塚原線の便数推移について」という資料です。これは、これまで行ってきましたダイヤ編成の経緯に関する資料です。
こちらの資料は、平成4年から22年にかけて、原・上の口線と阿武山・塚原線の便数の推移を表したものです。ご覧いただきますと、上段に利用者数が減少傾向にある原・上の口線、そして下段に現在、増加傾向にある阿武山・塚原線のグラフを表示しています。それぞれの項目の内容ですが、まず、運行回数7・8時台と記載されたところは、1日当たりの通勤、通学時間帯である7時から8時台の運行回数を記載したものです。その下は乗車人数、そしてその下は車両定員を記載しております。その下に、1運行当たりの乗車人数、さらにその下に定員に対する乗車人数ということで乗車率を記載しております。グラフは、乗車人数の推移と運行回数の推移を示したものになります。
原・上の口線についてですが、乗車人数は、平成4年の4,055人が平成22年になりますと2,025人ということで、ほぼ50%減少ということになっています。それに対応した運行回数としては、平成4年は77便でしたが、平成22年は64回となっております。1運行当たりの乗車人数は平成4年の52.7人、平成22年は31.6人と減少しています。座席定員、いわゆるシートの数ですが、そちらの定員はおおむね31程度になりますので、原・上の口線の7時・8時の時間帯ですと、ほぼ全員が着席できているという状況だとお考えください。次に、乗車率ですが、平成4年の65.8%から平成22年の44.4%へと低下しておりますので、今後もこの路線の便数につきましては、やはり減便での調整が必要であろうという状況になっております。
一方、阿武山・塚原線は、乗車人数の増加傾向に合わせて、増便対応した路線になります。乗車率は、平成4年は65.3%、平成22年は62.2ということで、横ばい傾向となっています。ただ、原・上の口線と比べますと、乗車率が今の時点でも60を超えているという状況になりますので、増便の調整が必要というような状況です。
以上が、これまでの交通部における利用状況に応じた便数の調整の代表的な路線の説明となります。今後、先ほど報告させていただいた中間報告のデータを基に、ダイヤの便数の調整を適宜実施していきたいと考えているところです。
○E委員
資料4のグラフを見ていますと、最新のデータが平成22年ということですが、もっと直近のデータはないのでしょうか。
○事務局
このデータは、5年1度実施している全線乗客実態調査(OD調査)を基に作成しております。そのため、平成22年が最新のデータということになっています。
○E委員
今の時代、1日の乗車人数は、全て把握できていると思いますが、それを積算しますと年間の乗車人員など全て把握できるのではないかという感じがしますが、その辺のデータを合わせて推測することはできないでしょうか。
○事務局
現状は、毎日の運賃収入から、現金支払いの利用者数、またデータ記録されるIC定期、磁気カード等の利用者数は、把握できますが、紙定期券でありますとか、紙の回数券、また無料乗車証等、データが残らない券種については、把握することができない状況です。そのため、5年に1度、調査をしている次第です。
○会長
ICカード等が普及していけば、自動的に毎日全線調査ができるような状況になっていくと思います。鉄道などはおそらくそのようなデータの蓄積が進んでいるだろうと思います。
○C委員
乗車率というのが出ていますけども、この乗車率の適正は大体何%ぐらいですか。
○事務局
乗車率につきましては、利用者の感じ方ということもありますが、座席定員が30人程度となっていることから、やはり60人を超えると非常に混んでいるという印象をお持ちになられるのではないかと考えております。そういう意味では、上の口線でありましたら、平均31人程度ですので、あと20人程度は調整が可能と考えております。
○C委員
乗車率でいいますと83%程度ということですね。
○事務局
おっしゃるとおりです。しかし、時間帯によっては、例えば、高齢者が多く利用されている時間帯は、乗車密度が高くなるとやはり乗車しづらいという印象にはなると思いますので、一概にはあてはまらないと思っています。数字的に定員から見た乗車率でいいますとその程度までは可能だろうと考えているということです。
○会長
雑談ですが、例えば航空とかホテルなどの業界ですと、採算のみで見たときに大体稼働率6割ぐらいで採算がとれるように費用を見込んで経営計画を立てているという話を聞いたことがあります。バスの場合は、飛行機みたいに全員着席できるわけではありませんし、また立っているお客さんが、路線によっては坂などが多かったりすると、危険な状況になったりする場合もありますので、何が適正かとなかなか判断しづらいところはあります。今申し上げた採算面での数字とお客さんが快適に利用できる、乗れるというのはちょっと違ってきますが、目安にはなるのではないか思います。
○B委員
資料4が示されたことは画期的だと思います。乗車率は定員に対しての乗車人員でしょうか。原大橋・上の口線の乗車人員をみると1運行当たり31人です。座席数は30程度ですから朝ラッシュの時間帯も含め大体皆さん座っておられるということですね。
○事務局
はい、そのとおりです。定員に対する1運行当たりの乗車人員で乗車率を算出しております。
○B委員
定員というのは大体バス1台、どのぐらいですか。
○事務局
車両定員でお示しさせていただいておりますが、現状平均71.2人です。
○B委員
わかりました。資料4で、全体のダイヤと輸送状況について過去から現在までの変化が分かります。7時・8時台の時間帯別の輸送状況も分かります。以前の資料では9時・10時台が混んでいるということでした。過去から現在への輸送量とダイヤの変化を見て、これから先をどう見通して行くかということが非常に大きな課題だと思います。今までやってこられたことを否定する訳ではありませんが資料を見ますとまだ改善できる部分があるのではないかと思います。これはそういう意味でも価値あるデータだと思います。
また、前段でご説明頂いた「中間報告要旨、市営バスの輸送状況」は、市営バスの輸送状況の中間報告ということですが、今の状態は分かりますが今後が分かりません。この審議会は先々のバスの事業経営を考えることです。従って、今の時点のデータだけでなく、過去から現在までにどのような変化があり、どのような対処をしてきたか、そして今後どのように変化して行くと予測し、それに対してどのように対処して行くかが重要だと思います。市営バスの輸送状況についてもこれまでの変化とこれから先の見通しというものが必要だと思います。
○事務局
輸送状況のカルテですが、これを基にいろいろと分析も依頼しております。将来的な人口の推移を見ながら、ダイヤをどうしていくかという検討は重要だと考えております。今回は中間報告でございますが、最終的な報告書を基にダイヤの検討も必要だと考えております。
○A委員
原・上の口線ですが、昔もラッシュ時間帯は、今と変わりなく3分間隔ぐらいでバスが運行していました。当時は、服部のバス停に行くまでにもう乗れない状態で、その後のバス停は通過で運行しているほどでした。現在では、寺谷方面からもバスが来ていますので、そのあたりは解消されていると思いますが、この地域は、高齢化がすごく進んでおります。高槻市内では、一番高齢者が多い地域でございます。一方で、現在は、同居する方が増えてきています。ですから、この資料は、22年のデータということでしたが、22年以降は、ラッシュ時間帯に利用される方が増えているのではないかと思います。次回の調査ではそのような結果がでてくるのではないかと思っています。以上でございます。
○B委員
今のお話に加えて、時間帯別のデータがあれば良いと思います。原大橋・上の口線は9時・10時台が混んでいます。しかしバスの本数はラッシュ時間帯に比べて少ないです。他の路線にも同様の状況があると思います。このデータを活用しながらダイヤを見直して行くことで効率化もサービスアップも図れます。コストとサービス両面から検討して行く必要があると思います。
○会長
では、続きまして、次の議題にまいりたいと思います。
新たなサービスの検討についてです。こちらもまずは事務局で検討されているサービスの説明をお願いいたします。
○事務局
新たなサービスの検討ということで、よく議論になりますバスロケーションシステムのイメージ写真、そして仮に導入した場合について御説明をさせていただきます。
まず、バスロケーションシステムについてですが、バスに衛星を使った位置情報の管理システム(GPS)を搭載いたしまして、各バスの位置情報を集約して、バスの利用者にバスの運行情報をリアルタイムで提供するものです。例としまして、利用者側のサンプル画面を記載しております。一番左側はPCで見た場合で、リアルタイムで今バスがどこを走っているか確認できます。真ん中のところは携帯から見た場合で、バスのリアルタイム情報を把握できます。一番右側の写真は、各バス停、主なバス停ターミナルでの案内板で、バスの時刻案内をリアルタイムで表示できます。
その資料の下段の写真は、管理者側のサンプル画面です。バスの事業者からしてもメリットがあるというものでして、バスの運行情報をリアルタイムで把握して、適切な運行管理を行うことができるほか、路線・時間帯別の遅延状況を目に見える形で把握できます。結果として、ダイヤ改正のための資料として活用できるというメリットがあります。
以上、非常に簡単ではございますが、バスロケーションシステムと、そのイメージ図についての御説明とさせていただきます。
○会長
それでは、今御紹介いただいたサービスについての意見でも結構ですし、こういうサービスがあればという意見でも結構です。議論をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。これについては全国各地の新しいサービスに詳しいD委員からご意見をいただきたいと思いますがいかがでしょうか。
○D委員
バスロケーションシステムは、いいシステムですので取り入れていただければいいのではないかと思います。バスの利用者が持つ不満は大きく3つありまして、そのうちの1つが「いつ、来るの」ということです。これがわかると待っていても安心感があります。
また、管理者側のシステムとして活用していただきたいのは、どれぐらいダイヤとずれているかというデータが毎日とれますので、そのデータを基に、どの時間帯で遅れが生じるのかわかると思いますので、それについてはダイヤ自体をずらして調整し、ダイヤどおり運行できるようにすることが一番だと思います。3分かかったところが5分かかってしまうことには不満はありませんが、3分後に来るというものが5分後に来ると皆さん不満に思います。ですから、現在の道路の渋滞状況に応じてダイヤを組み直していくことが商品の信頼性の向上につながると思います。あとは、遅れた場合に、なぜ遅れたかということを運転士から一言言っていただければ皆さん不満はないと思います。「今日は予想外の渋滞で遅れて運行しています。申しわけございません。」の一言で納得されると思います。
私は、これからの5年間を考えると、どんな人に乗ってほしいかということを考えてほしいです。乗っていただきたい人たちに向けてサービスを提供していくことが重要だと思っています。
例えば、市外の方を対象とすることで、高槻に来て市内を回ってもらう場合に、バスを利用してもらうということを考えたときには、初めて高槻市営を利用される方でもわかるように案内をするべきです。私は、来訪者を呼ぶということは重要だと思っていますので、こういうことも考えていくべきだと思っています。観光ということでいいますと、以前に今城塚古墳をリニューアルしたときに臨時バスが走ったということをうかがっていますが、当時の状況はどのような感じだったのか、もしデータがあれば利用状況等も含めて教えていただきたいと思います。また、今夏に実施した市バスで無料のキャンペーンの状況についてもどの程度子どもたちが利用してくれたのか、わかる範囲で教えていただければと思います。
○事務局
昨年度実施しました今城塚古墳への運行は、JR高槻駅北口からの臨時便ということで運行しておりました。「はにたん」のラッピングをした「はにたん号」というバスを運行させていただきました。11月から12月23日まで運行して、2,899名の方に御利用いただきました。平均でいいますと往復で106.5人程度ということになります。
また、小学生無料キャンペーンを「バスぶら」というネーミングで実施しました。昨年が1万5,333名の方にご利用いただき、今年度は、7月、8月で同伴の小学生数が1万3,729名、大人の方の利用が8,885名で、平均同伴数が1.55人という状況でございます。非常に好評だったという印象を持っています。
○D委員
はにたん号については効率がいいと思います。もう少し長期的に運行すれば定着するのではないかと思いますが、先ほどの資料のカルテを見ていると、高槻市営バスの特徴としては、企画乗車券の利用率が非常に低いというのが指摘できると思います。もう少し企画乗車券の利用率を上げるにはどうしたらいいか検討してはどうかと思います。市外から来た方が、1日乗車券を買って今城塚古墳を観光し、せっかく1日乗車券を買ったのだから、どこかに別のところもいこうと皆さん思いますので、そのときについでで回ってもらえるようなところ、例えば、駅前でうどん餃子を食べて帰ってもらえるような仕組みを作っていくといいと思います。
人口はどうしても減っていきます。そうした場合、どれだけ市外から人に来てもらえるかということが重要になります。大阪や京都は、これからオリンピックに向けてどれだけ観光に来てもらえるかということを考えています。そのときに、「高槻もおもしろいものがありますよ」、「歴史は京都や大阪よりもっと古いですよ」ということが意外と知られていないので、観光に関する部局と連携して施策を考えるということをぜひやっていただきたいです。
小学生無料キャンペーンは、今の小学生がバスに乗る体験をすることによって、将来的には、一人でもバスに乗ってくれると思います。一人で乗れるようになるということでは、今もやっておられる「バスの乗り方教室」、これを前面的に幾つもの小学校で展開されると、バスに乗る抵抗がなくなると思います。
○B委員
デマンド型の交通システムについて、活用法を知りたいと思います。D委員がおっしゃったような、例えば次世代を担う人達に対してや、また病院にも買い物にも行きたいけど中々行けないような本当に困っている高齢者に対してどのように活用出来るのでしょうか。
また観光に活用するにしても投資を必要とするものですから、導入のメリット・デメリットと投資コストとをきちっと検証した上で導入の可否を決めるべきだと思います。
○会長
今いろいろと委員から意見が出ましたが、具体的にどのサービスを設計し、実行するかについては、交通部の職務ということになりますので、満足度の向上につながる新たなサービスの検討をどんどん深めていっていただきたいと思います。
それでは、続きまして、一般乗合バス以外の交通サービスに関する議論に移りたいと思います。これは今までの議論との関連も含めまして事務局から用意された資料の説明をお願いしたいと思います。
○事務局
それでは乗合バス以外の交通サービスについて幾つか種類がございますので、それぞれのイメージを持っていただくために国土交通省の中部運輸局が作成している資料を活用して、概要を紹介させていただきます。
仮に不採算路線において、市営バスが乗合バスの運行を廃止してしまった場合、乗合バスの代替手段として市が運行するコミュニティバス、あるいはデマンド型交通が挙げられることが多くございますので、これらについて御紹介をさせていただきます。
資料といたしましては、5「デマンド型交通の手引き」です。
「はじめに」の部分です。「路線バスの利用者は、少子高齢化、人口減少、マイカーの普及等により長年減少が続いており、特に利用者が少ない路線については、バス事業者が撤退せざると得ない状況となっている。一方、住民の移動手段の確保のために地方自治体が運行するコミュニティバスは、路線バスの廃止に呼応する形で徐々に増加し、中部運輸局管内では全市町村も9割が運行するに至っている。しかし、コミュニティバスの拡大は、自治体の財政負担の増大を招くこととなり、コミュニティバスを確保・維持していくことが困難な地域も出てきている。」
「このような状況の中で、ここ数年、財政負担の軽減や公共交通空白地域の解消に向け、路線定期型交通にかえてデマンド型交通を導入する自治体が急増している。平成25年2月末現在、管内48の市町村で導入されている。」と記載されています。
キーワードとして挙げられるコミュニティバスとはどういうものかについて補足説明をさせていただきます。一般的には地方自治体がまちづくりなど住民福祉の向上を図るために交通空白地域や不便な地域の解消、あるいは高齢者の方の外出促進、公共施設の利用促進を通じたまちの活性化等を目的として、地方自治体が運行を確保するバスと理解されています。従来の路線バスや乗合バスでは、十分に対応できない場合に、自治体が行う施策として運行を決定するものになります。運行主体としましては、市がバス事業者に委託する、あるいは自治体自らが運行するなどの方法がありますが、それは各自治体の判断に委ねられています。しかし、先ほどの「はじめに」という部分で読み上げさせていただいたように、コミュニティバスの確保、維持というものが財政負担の増大の観点から困難になっているという現状があり、コミュニティバスからデマンド交通に移行しようという状況になっております。
その状況について、紹介したものが資料の4ページのところになります。第1章、多様な種類があるデマンド交通というところです。
ここにデマンド型交通のイメージが記載されています。デマンド型交通は、正式にはDRTと呼ばれており、これは需要に応答する形の交通システムです。路線バスとタクシーの中間的な位置にある交通機関とお考えいただければわかりやすいかもしれません。これは、事前予約により運行するという特徴がありまして、運行方式や運行ダイヤ、さらには発着地の自由な組み合わせにより多様な運行形態が存在します。下の表の1のところに、路線定期型交通、いわゆる乗合バスとデマンド交通の特徴を比較しております。
表の左側、路線的定期交通のところですが、こちらは利用者の有無にかかわらずあらかじめ定められたルートを定められた時刻に運行し、利用者は運行ルート上に設置されたバス停で乗降するということで、お客様の有無にかかわらず、空であっても決められたルートを決められた時間に運行するといったものです。
一方、右側のデマンド型交通のところですが、こちらは予約があったときのみ運行する方式で、運行方式、運行ダイヤ、あるいは発着地の自由度の組み合わせにより多様な運行形態が存在します。
次の5ページ以降のところに、デマンド型交通の分類が記載されております。例えば(1)のところには運行方式から見た運営パターンが記載されています。表の2の運行方式からみた分類パターンというところをご覧いただきますと、ここは路線バスに近いものはAの「定路線型」というものになろうかと思います。こちらの表の中に、「路線バスやコミュニティバスのように、所定のバス停等で乗降を行うが、予約のあった場合のみ運行し、予約がなければ運行しない方式。」と記載があります。いわゆる空のままで運行しているという状況が解消できるという形態です。
これに対して、最も自由度が高いというものは、表の一番下のDのところにある「自由経路ドアツードア型」というものになります。こちらは、「運行ルートやバス停等は設けず、指定のエリア内で予約があったところを巡回するドアツードアのサービスを提供する運行方式。」と記載があります。ただ、一般タクシーとの差別化を図るために、目的施設、または出発する施設を限定する場合も見られるということです。このように運行方式から見たさまざまなパターンがあるというところです。
他にも、運行ダイヤに応じたパターン、発着地の自由度に応じたパターンなどの分類が記載されています。
8ページから11ページまでに中部運輸局管内におけるデマンド型交通の分類一覧、あるいは特徴といったものが記載されております。
以上が説明となりますが、デマンド型交通も自治体が行う施策となっています。実際の運行主体としては、市が交通部などバス事業者に委託するのか、あるいは自治体自らが運行するか、こちらは各自治体の判断に委ねられるということでした。コミュニティバスもデマンド交通もやはり市全体の交通施策にかかわってくるところですので、総合的な交通施策については、現在、市庁部局で、総合交通戦略検討協議会が行われておりますので、その議論を通じて市の交通施策全体の中に位置づけられるものと考えております。
○会長
ありがとうございました。
コミュティバスやデマンド交通は、地域の交通施策として、5年ほど前から流行しております。ただ、資料の8ページに記載がありますが、導入されているのが例えば伊勢志摩の奥地でありますとか、福井のあわら市ですとか、あるいは政令指定都市であっても浜松市の平成の大合併で編入された山間地など、こういうところが中心になっているということが特徴としていえると思います。
これにつきまして、御意見等がございましたらお願いいたします。
これもやはりよくご存知のD委員から先に補足をしていただきたいと思います。
○D委員
まず、コミュニティバスの運行が増加したのは、どこかのまちで運行しているとその隣まちでも運行が始まり、それが有名になると遠くのまちでも話題となり、あれば便利だということで、いろいろな方面から要望があり、やらざるを得なくなったということが原因です。住んでおられる方々もうちの地域はバスがない。他の地域ではコミュニティバスというものが走っている。だから乗らないけれどもあれば便利だから運行してほしいということです。そのために財政負担が増えてきました。つまり、コストに見合う収入がないものを行政のサービスとしてやりましょうというのが、今までのコミュニティバスでした。なぜなら、利益がでるのであれば民間企業が運行しますので、利益が出ないので自治体がそれを受けてきたということです。ところが財政的に厳しくなってきましたので、どうやってコストカットするかということで考えられたものが、デマンド交通だという認識しています。
デマンド交通にするメリットは、乗る人がいるときだけ運行するため、余分なコストはカットできるということですが、では抜本的に黒字になるのかというと黒字にはなりにくいです。なぜなら、車両を小さくしても、人件費は変わりませんので、そこまでの効果は出ないということです。また、デマンド交通にすると、今度は予約が必要になり、かえって面倒くさくなって利用者が減少するですとか、逆に、予約が多過ぎて小さな車両では対応できなくなり、バス1台でいいところをタクシー2台で運行することになりコストが上がってしまうというリスクもあるということを御理解ください。
会長もおっしゃられたように、山間部の人口が少ないところでやっているということがわかります。ただ、一部岐阜の南部、あと愛知の北部でも運行されていますが、これは、平たんで、都市が分散しているところです。家が分散しているようなところはルートがすごくつくりにくいため、デマンド交通で、それぞれの家に寄ってもらうということで運行しているという傾向があると私は考えています。
では、高槻市でこういう施策をするとどうなるか考えますと、まず、コミュニティバスの運行ですと、やるとすれば市民向けというよりも来訪者向けになると思います。これに乗れば高槻市内の観光地を回れるというコミュニティバスであれば、ある程度費用も回収できるのではないかなと思います。ただ、市民向けに病院や市役所などを回りますということは必ず失敗すると思いますのでやめるべきです。なぜなら、このまち自体、市役所が鉄道駅に近くて、駅前を通るバスの系統も多いので、わざわざそこにコミュニティバスを運行しても利用されないと思うからです。
次に、デマンド交通ですが、山間地域で本当に利用は少ないけれども、週に1回はどうしても病院に行かなければいけないという人であれば、週に1回の予約で済みますので、そういう固定客がきちんといる場合には、運行してもいいのではないかと思います。ただ、デマンド交通を実施しますと、例えばそこにハイキングで来た人たちがバスに乗ろうと思ったときに、予約をしていないので利用できないという欠点は出てきます。
以上です。
○会長
ありがとうございます。
10年ほど前の審議会だったと思いますが、ちょうどコミュニティバスがブームになっておりまして、審議会でも取り上げました。当時は例えば大阪市交通局が新たに「赤バス」というコミュニティバスを運行した時期でした。結局、赤バスは廃止になったというのは御存じの方も多いと思います。私がそのときに委員として申し上げたのは、先ほどD委員が説明されたように、市民向けの施設に行くためのバスであれば、既に市バス自体がその役割を果たしているのではないかということでした。それが答申書のどこかには文言として残っていたのではないかと記憶しております。現在では、コミュニティバスのブームもひと段落しまして、財政難になり、大阪市の赤バスのように整理、廃止の対象になっているものも目立ってきておりますから、これからますますその傾向が強まるのではないかと思います。
その中で、地形も影響していますが、デマンド型交通が中山間地域などではちょっとしたブームになり、導入が続いているというのが現状だと思います。ただ、これにつきましてもかえってコストがかさむ場合も出てまいりますので、もちろん住民の方のニーズが最優先ですが、導入するのであればいろいろと慎重に計画を練る必要があるのではないかという印象でございます。
これ市営バスの審議会ではございますが、それ以外の交通サービスとは競合するものもあれば、補完するものもあります。そういったものに視野を広げて議論をすることは、この審議会の場でも非常に重要な姿勢だと思います。
幸いにも、市庁部局で総合交通戦略検討協議会が活動を開始しているところでございますので、そちらと連携をとりながら、バス以外の交通サービスにつきましても必要に応じて検討していくということが重要ではないかと考えております。
それでは、この議題につきましてはこのあたりでよろしいでしょうか。
それでは、本日予定しておりました案件は全て審議が終了したということでございます。
今回と次回あたりが答申書をまとめて今後の将来展望を打ち出していくには非常に重要な議論となっておりますので、次回につきましても引き続き御議論をいただければと思います。
それでは、次回の日程、審議内容につきまして、事務局から御提案をお願いいたします。
○事務局
それでは、まず、開催日程ですが、10月8日水曜日、午前10時から2時間程度ということで予定をしております。場所につきましては、今回と同様この場所、全員協議会室で開催を予定しております。開催日が近づきましたら、開催通知の御案内で御連絡をさせていただきます。
今回は路線評価業務の中間報告、新たなサービスの検討、一般乗合バス以外の交通サービスについて御議論をいただきました。次回の審議内容といたしましては、経営基盤の強化などを予定しております。
以上、次回日程と審議内容についての事務局からの説明でございます。よろしくお願いいたします。
○会長
ありがとうございました。
それでは、本日の審議会はこれにて閉会とさせていただきます。
長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございました。