更新日 2019.02.12
会議の概要
会議の名称 | 高槻市公営企業審議会 |
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会議の開催日時 | 平成26年7月30日(水曜日) 10時00分から12時00分まで |
会議の開催場所 | 市役所 本館2階 全員協議会室 |
出席委員 | 8名 |
議題 |
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主な審議内容 | 別紙のとおり |
資料名 |
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担当課 | 交通部 企画運輸課 |
(別紙)
審議会開始
○会長
それでは、ただいまから平成26年度第3回高槻市公営企業審議会を開催いたします。
それでは、まず傍聴希望者がおられるようでしたら、入室を許可したく、事務局にお願いをいたします。
(傍聴希望者入室)
○会長
それでは、初めに事務局から、資料と議事録の確認について説明をお願いいたします。
<配布資料の説明>
(事務局より配布資料と第2回公営企業審議会の会議録について説明がなされた)
○会長
では、本日の審議に入ってまいりたいと思います。
その前に、事務局から前回の審議会で質問のあった総合交通戦略について、人件費に関する資料について説明があるということですので、説明をお願いします。
資料説明
○事務局
それでは、前回、御質問のあった総合交通戦略について、そして人件費に関する資料について、説明をさせていただきます。
まず、総合交通戦略について、「検討フローの中にある市民ニーズや意向の把握の時期、そしてその手法や内容について詳細を教えてほしい」という御質問がありました。その点について、総合交通戦略の事務局に確認したところ、「現在のところ未定です」という回答が得られました。
総合交通戦略についての御質問の回答は、以上でございます。
○会長
動き出したばかりだと思いますので、また逐次、情報が入ってきたら、こちらの審議会でもお知らせをいただければと思います。
続きまして、人件費に関する資料についての説明をよろしくお願いいたします。
○事務局
では、次に人件費に関する資料について御説明いたします。
資料1-1から資料1-4をごらんください。
「市の人件費の資料、特に他の事業者との比較という観点からの資料提供」について御依頼がございましたので、資料を収集し、作成いたしました。
まず、資料1ですが、これは一般社団法人の公営交通事業協会というところが発行している「平成24年度公営交通事業決算調」から作成したものです。
これは、公営バス事業者の給与を調査したもので、高槻市は、網かけをしている部分になります。そして、公営事業者の全都市の平均は、表の一番下に示されております。
1の総括表ですが、これは事務職員と乗務員トータルの数字となっております。高槻市営バスの水準としては、基本給については、ほぼ平均並みというところですが、超過勤務手当は、平均を上回っております。
そして、2ページの「2乗務員」と書かれた表をごらんください。
これは、乗務員だけのデータを整理したものですが、こちらの基本給をごらんいただきますと、平均を少し下回っています。ただ、超過勤務手当は、平均をかなり上回っており、合計額は、平均を少し上回っています。
次に、資料の1-2をごらんください。
これは、平成25年の厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」による企業の規模別データから抜粋したものです。
交通部の職員の数は200人強ですので、比較対象としては、100人から999人の企業規模との比較になるかと思いますが、全国平均と比べますと高いことがわかります。
ただ、全国平均と同じ水準に給与を下げますと、ますます乗務員は集まらなく、また離職率の増加などが懸念されるところです。
前回、御説明のとおり、全国的な状況を見ると、二種免許の保持者が減少していますので、他のバス事業者と乗務員の取り合いという状況は変わらないということが予想されます。
したがいまして、前回、審議会で御意見いただきましたように、モチベーションの上がる職場環境づくりが今後も引き続き取り組むべき課題だと考えております。
次に、資料1-3をごらんください。
これは、「高槻市の給与・定員管理表」という、市のホームページで公開している資料から、自動車運送事業に係る部分を抜粋したものです。
民間との比較ということに関しては、真ん中の2.という項目のところに、職員の基本基本給、平均月収額及び平均年齢の状況というところがありまして、ここに公営と民間の比較表が掲載されております。
次に資料1-4をごらんください。
これは、日本バス協会から提供いただいた資料で、参考資料としてつけさせていただいております。
以上が、事務局からの説明でございます。
○会長
それでは、何か御意見・御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
○A委員
ご説明いただいた内容で、他の公営交通事業者との比較はある程度示されていますが、民間との比較について検証して行くべきだと思います。民間との比較で資料1より詳しいものがありませんでしょうか。
また、バス事業者として乗務員の給与についてどのように認識され、どのようなお考えをお持ちなのかお聞かせ下さい。一概に給与の多寡のみでは言えないかもしれませんが、働き度、生産性などの問題も含めてお聞かせいただければと思います。
○事務局
まず、一つ目の御質問の民間との比較の資料についてですが、関係機関等に連絡するなど、いろいろとお調べしましたが、現状、手に入るのが資料1-2や1-4、このあたりが民間との比較ということで何とか入手できた資料です。
二つ目の御質問ですが、資料1-1にありますとおり、基本給では、全国平均をやや下回っているのですが、合計で全国平均をやや上回っているということで、時間外勤務が多くなっていると認識しております。
これは、業務内容に対して乗務員が不足しており、どうしても1人の乗務員に対する時間外が多く発生してきているという状態が原因だと認識しております。
○会長
この案件につきましては、以上ということで、またお気づきの点等、後で出てきたら、またその都度御発言いただければと思います。
それでは、本日の審議に入っていきたいと思います。
バス事業の経営形態についてというところでございます。
これにつきまして、事務局からの説明をお願いしたいと思います。
経営形態に関しては、各地の公営バス事業者でも改革が進められてきたところでございまして、審議会では、まずはその選択肢が幾つもありますので、改革の進め方等、それらの確認から議論をスタートさせようと思います。
それでは、事務局からよろしくお願いいたします。
○事務局
それでは、経営形態について御説明をさせていただきます。
前回資料8、9の資料をご覧ください。資料8が近年の公営バス事業の経営状況と再編動向、資料9が全国公営バス事業の廃止状況一覧です。
この経営形態につきまして、この場で深い議論といいますよりも、今後の議論の参考にしていただけるよう、経営形態についての総論として御説明をさせていただきたいと考えております。
また、各都市の事例を資料として添付しておりますが、これにつきましても、今後の参考資料としてお持ちいただき、説明は割愛させていただきます。
それでは、経営形態について、これまで各都市でさまざまな取り組みがなされてまいりましたので、御説明をさせていただきます。
まず、平成13年の小泉内閣発足以来、政府は構造改革の一環として、「民間にできることは民間で」とのスローガンのもと、また総務省からは、サービスの必要性などについて総点検を行うことや、事務事業や定員、給与の適正化、また民間委託の推進等、経費節減等に関する改革プランの策定などの要請を受けてまいりました。
これを受けて、各地方公共団体では各種の取り組みが進められ、公営企業においても、民営化、あるいは民間的経営手法の導入など、経営改革の取り組みとともに直営での合理化や民間事業者への管理の受委託、また民間移譲など新たな経営形態につきましても、検討及び取り組みがなされてきたところでございます。
それでは、経営形態につきまして、簡単に御説明をさせていただきます。
まず、一つ目の直営・公営についてですが、地方自治体が経営する乗合バス、また貸切バスを指しており、事業者は、地方公営企業法の適用を受けます。その関係で、地方自治体の一般会計から独立した企業会計によって独立採算で経営をしており、その経費は、税収ではなく、バス事業経営によるいわゆる運賃収入で賄っています。
二つ目の管理の受委託についてですが、京都市を初めいろいろな都市で取り組まれている形態で、道路運送法第35条に基づき、路線の長さ、また車両数の2分の1以内、一定の条件を満たせば3分の2以内ということが可能なのですが、バス事業者が他のバス事業者に運転業務、また運行管理業務、また整備管理業務について、原則として営業所ごとに一体的に委託を行うものでございます。
また、運行責任、車両及び収入につきましては、委託者に帰属しており、委託先には、委託に要する経費を支払う、つまり委託料を支払うということになります。
経営効率のよくない路線等におきましては、民間の経営手法を取り入れることにより、経費の削減を図ろうとするものです。
最後に、民間移譲についてですが、経営効率の非常に悪い路線などにおいて、その路線に別の競合している民間バス事業者や新たに参入しようとする民間バス事業者がある場合、その一部の路線を民間バス事業者に移譲する場合や、また公営として経営を継続していくことが厳しくなった場合など、事業全体を民間のバス事業者に譲渡するものです。
これまで多くの事業者が民間バス事業者に譲渡をしているという状況でございますが、これにつきましては、資料9をごらんください。
全体で17都市でございます。その中で特に目立ちますのが、6番目の函館市以降、平成14年2月に行われた規制緩和以降に多数の都市は民間に移譲していることが見ていただけると思います。
これら都市につきましては、これまで民間との競合路線が非常に多くあった都市でして、そういったことから民間に路線、または事業全体を移譲したというところでございます。
以上、簡単でございますが、経営形態についての御説明とさせていただきます。
○会長
それでは、何か御意見・御質問等ありますでしょうか。
資料8は、その後にいろいろ事例が紹介されています。
○A委員
本日は資料提示と概要説明のみということですが、資料9「全国公営バス事業廃止状況一覧」でも17事業者が何らかの形で移管譲渡等をしており、資料8「近年の公営バス事業者の経営状況と再編動向」の資料でも委託、移管等が行われています。これは、それぞれの行政が公営バスの在り方について真摯に検討された結果だと思います。この委員会でも、この問題に関して議論する場を持つ予定はあるのでしょうか。
○事務局
今後、5回目、6回目等で御議論いただきたいと考えております。
また、補足ですが、資料で御提示させていただいた17の廃止ですが、これは、24のうち17を検討しているのではなく、実際41ある中で17が既に廃止したために、現在24であるという資料でございます。
○A委員
委託などは別ですね。
○事務局
管理の受委託については別でございます。
○会長
これは、先ほども事務局からございましたが、今後、5回目、6回目を中心に議論の前提の資料となりますので、その都度、また御確認をいただければと思います。
それでは、続きまして、議題2に参りたいと思います。
本市の財政状況に関する説明でございます。
こちらも、まず事務局からよろしくお願いいたします。
○事務局
それでは、議題2、本市の財政状況について御説明いたします。資料2-1から2-4の資料になりますが、こちらの資料につきましては、B委員から御提供いただいたものでございます。B委員、どうもありがとうございます。
この資料は、高槻市の人口構成や、その変化が非常にわかりやすく示されております。資料の見方については、B委員から御説明をいただきたいと思います。
では、B委員、よろしくお願いいたします。
○B委員
高槻市が10年ぐらいでどのように人口構造が変化したのかを図にしたものです。
資料2-1ですが、これは国勢調査をもとに、平成12年度と22年度の値を比較したものです。色が赤くなるほど人口が減少していて、緑が濃くなるほど人口が増加しているということをあらわしています。
見ますと、平成12年から22年の間に人口がどう変化したかというと、全体としてはほぼ変わっていません。平成12年も平成22年も35万7,000人ほどです。
次に資料2-2ですが、平成12年時点における70歳以上の人口の割合を各町丁目で表したものです。これを見ますと、(70歳以上の人口の割合は)おおむね全体の1割以下となっています。その10年後はどうなったかというと、資料2-3で、資料2-2と比較しますと、明らかに黄色やオレンジが増えていますので、増加しているということがわかります。つまり、この10年間に人口はそんなに大きく変わっていませんが、高齢者の割合が増えているということがわかります。
高齢化が進行している地域は、資料2-3で見ますと、名神の北側の地域で高齢化の進展が著しいということがわかります。また、南部の新幹線より南側のところでも高齢化が進展しているということがわかります。
つまり、これらの地域では、人口の変化が余りないところですので、人口が変わらないまま住民が年を10年分とっているのだということがわかります。
逆に、子どもはどうかというのが資料2-4で、これは平成22年度の値を示したものです。これは、今度は逆に濃い緑に近づけば近づくほど子どもが多い地域というように見てください。
見ますと、JRと阪急に挟まれる地域、またその周辺のところは、子どもが少ないのですが、その少し外側は、子どもの割合が高く、高齢者の割合の多いところと反対に、名神より南、新幹線よりも北側の地域で子どもが多いということがわかります。
つまり、この10年間に高槻市は、駅から離れるに従って高齢化が進展し、駅の近くで子どもが増えている、もしくは子どもが10年分、年をとっているということがわかります。
これは、高度経済成長期前後に開発された住宅で高齢化が起こっていて、新規転入者が来ていないということを意味しています。
今後も駅から離れるに従って、高齢者のまちが増えていくだろうと予想されます。
○事務局
御説明ありがとうございました。
続きまして、資料3をごらんください。
B委員から御説明があったとおり、人口構成の変化、状況の変化を御理解いただいたところで、それを財政状況に落とし込んでいくとどうなるかについて説明をさせていただきます。
これは、高槻市の財政状況の変遷についてまとめた資料です。
表の中で特に注目すべき項目としては、経常収支比率、市税総額、扶助費です。
まず、財政の弾力性を示す経常収支比率ですが、平成24年度の数値ですが、前年度の23年度と比較して、0.4ポイント悪化して91.9%となっております。
この経常収支比率とは、人件費や扶助費や公債費などの経常的な経費に充当された一般財源の地方税や普通交付税等の経常的な一般財源収入に対する割合をあらわしております。
簡単に言いますと、収入に対して既に使い道が決まっている費用の割合が何%になるのかを表しています。
この数値が小さければ小さいほど市の施策に対して弾力的にお金が使える割合が高く、財政状況は良好ということになります。
標準的な水準としては、一般的に70から80%と言われております。
次に、市税総額の欄をごらんください。
こちらは、平成7年度をピークとして、その後は減少傾向にあります。
そして、最後に扶助費の欄をごらんください。
これは、生活保護ですとか、高齢者福祉、児童福祉等、社会保障に要する経費で、年々増加傾向であることが確認できます。
このように、市の財政状況について、今後、楽観視することはできないということが御理解いただけると思います。
○会長
今の議題は、次の公共負担のあり方と重なるところもありますので、また後ほど資料3につきましても、御質問等が出てきたら受けるということで次に進めてまいりたいと思います。
それでは、議題3の公共負担のあり方について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局
それでは、公共負担のあり方について御説明させていただきます。
資料4と資料5を用いて公共負担の総論、資料6と7を用いて高齢者無料乗車証に関して御説明いたします。
では、資料4をごらんください。
これは、公共負担のあり方の現状と課題、今後のあり方をまとめたものです。
特に課題となるのが、高齢者の無料乗車証に係る公的負担と生活交通路線維持事業、いわゆる不採算路線補助に係る公的負担となります。
資料4の項目1、市営バスに係る一般会計からの補助金は、高齢者等のための無料乗車証制度に対する運賃相当額の一部としての補助、そしてもう一つは、市民の移動手段確保のため廃止することができない路線のための生活交通路線維持事業に伴う補助、いわゆる不採算補助などを主な内容としております。
ここで、資料5をごらんください。これは、高槻市営バス事業に係る一般会計からの補助金の内容と金額推移をまとめたもので一般会計から繰り入れられた補助金の内容と金額推移について、直近の5年間分を整理したものです。
特に、額が大きいものとしては、高齢者無料乗車制度に対する補助が平成21年度から25年度まで6億円補助を受けています。
そして、もう一つ大きなものとしては、生活交通路線維持事業補助金です。直近、平成25年度につきましては、1億6,815万5,000円となっています。
高齢者無料乗車制度に対する補助は、運賃相当分を市から交通部に繰り入れているという性質のものですが、先ほどB委員から御説明いただいたとおり、高齢者の増加、人口構成が変化しているものの、これが定額となっている点が課題であると認識しています。
備考欄に記載のとおり、平成10年度以降、6億円の固定額となっています。
資料4に戻りまして(2)、こうした中で、高齢化の進行という人口構成の変化により、有償の輸送人員、つまりお金を払って、その都度、運賃を払われるお客さん、あるいは定期・回数券を使って乗車されるお客様が減少するとともに、当然、高齢者の方は増えておりますので、高齢者無料乗車証の利用者が増加しているにもかかわらず、高齢者等無料乗車制度に対する補助金額が平成10年度以降固定されていることが課題となる。また、市の一般会計の財政状況も今後悪化が予想されることから、生活交通路線維持事業、いわゆる不採算路線への補助が従前どおり行われないおそれがあるという、この2つが課題と考えております。
次の項目2(1)のところ、市の一般会計で負担すべきものは何か、その範囲はどこまでか、負担区分を明確化する必要があり、(2)のところに、具体的な課題を記載しています。
アの高齢者無料乗車証制度についてですが、1の検討主体といたしまして、高齢者の外出支援、社会参加及び生きがいづくりの促進を目的とする福祉施策として位置づけられるため、市の福祉部局を中心に検討すべき課題であると認識しております。
2の利用者数の把握ですが、運賃の一部を補助しているという、この補助制度の目的からいたしますと、利用者数の実数把握が課題となっております。例えば、把握の手法として、無料乗車証をICカード化して、正確な利用者数を集計するという方法が考えられます。
現在、無料乗車証は、70歳に達しますと、市の長寿生きがい課から対象者に送られています。
第1回審議会で御説明しましたが、大体5年に一度実施している全線乗客実態調査のときに、実際の利用実態が把握できるという状況で、日々の業務の中で無料乗車証の利用人数の把握はできていないのが現状です。
次に課題3、乗車証の交付方法については、先ほど御説明したとおり、70歳に達した方に無料乗車証を送付しております。なお、他の公営交通事業者の中には、申請により交付しているところもございます。
そして、4の利用者の一部負担のところですが、利用者に自己負担額というものは徴収してはおりません。他の公営交通事業者の中には、交付の際に負担を求めるもの、利用の都度に負担を求めるもの等があります。
続きまして、イの不採算路線・赤字路線についてですが、これは、1の検討主体として、市域の交通空白・不便地域解消の観点から行政の主体である市は、当該地域について、市民の移動手段の確保を図る必要があります。
そして、2の市と市営バスの役割分担についてですが、市の現在の運用といたしましては、山間部の3路線及び営業係数130以上かつ平均乗車密度18人未満かつ運行損失3,000万円以上、つまり余り効率的でない路線で、そして運行損失が一定規模以上ある路線、その運行損失額、要するに赤字額の75%を市から生活交通路線維持事業に伴う補助金として市バスに交付することにより、市民の移動手段の確保を図っている。ただし、今後は、市の財政の悪化が予想されるため、この範囲の縮減の方向での見直しが予想される。
市営バスについては、公共交通を担う事業者の責務として事業全体としての黒字確保は重要な課題であるものの、赤字路線であってもより一層の効率的な経営に努めることにより運行できる範囲をさらに拡大していくことが必要です。
そして、ウのところ、高齢者補助、そして不採算路線の補助とは少し視点が異なりますが、行政によるインフラ整備というようなところを述べている部分になります。
ウを読み上げますと、その他、自家用交通から公共交通への利用転換を図るため、バスターミナルや道路整備など、市営バス運行のための基盤整備について、関係部局などによる支援・協力関係が必要であるということで、バスが運行しやすく定時運行が図れるような道路整備、あるいはターミナルの整備、そういったところも市長部局と協力していけるのではないかということが記載されています。
では、引き続き補助金の各論について説明をさせていただきます。
資料6をごらんください。
これは、高齢者無料乗車証の交付件数の推移を示したものです。
赤い棒グラフは、70歳以上の方の人口、青い棒グラフは、交付件数です。平成25年度末までは実績ベース、そして平成26年度以降は人口推計をもとにした予測値となっております。
両者の差の部分については、障がい手帳被交付者数等で、乗車証の交付をしていない方の件数を表しています。表の中米印のところに書いてあるとおりでございます。
これを見ますと、交付件数が年々増加傾向にあることが御確認いただけると思います。
続きまして資料7をごらんください。
これは、公営交通事業者の運賃の高齢者優遇措置の状況をまとめたものです。網かけをしている事業者は、高槻市と同様に、完全に無償の事業者を表しています。
備考欄のところには、所得制限がある場合には、その内容、また自己負担額がある場合には、その内容を記載しております。
これについての詳細説明は割愛させていただきますが、議論の参考資料として活用いただければと思っております。
○会長
公共負担のあり方というのは、前回の審議会でも議論になりましたし、さまざまな課題が審議会のたびに出てくるところでございます。もちろん、審議会での議論を受けた補助要綱等の変更というのも行われているところです。
公営企業は自治体からたくさん補助を受けているのではないかと御指摘を受けている事業者もあると思いますが、あくまでも独立採算が原則です。
ただ、一方で、先ほどの高齢者優遇措置等、それぞれの公営企業で市の一般会計から負担をしてもらって、結果として、補助のような形で相当の額を受けているような事例もございます。
この審議会では、改めまして公営企業としての費用の発生とその負担の部分、市の一般会計からどのような方法で補助・負担を受けるのかというところ、その範囲というのをきちんと明確にした上で議論をしていくことが原則になるかと思います。
それでは、今までのところに関しまして御意見・御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
B委員は、先ほど市の高齢化のデータをお示しいただきましたけれども、それと関連づけて、この数字をごらんになって一言いただければと思いますがいかがでしょうか。
○B委員
先ほどの図から、将来について考えていく場合に2つのシナリオが考えられます。一つは、高齢者の割合は同じように上がっていくだろうという前提で考えますと、高齢者が駅から離れた遠くに住んでいるから、その人たちに対する福祉として何か施策を行っていくというものです。より遠くに住んでいる人たちは移動が不便だろうから、その人たちの移動を軽減させる施策を講じるということです。
もう一つのシナリオが、これからこのまちをどうしていくべきかという前提で考えますと、人口を増やそうと思うときに、子育て世代を増やすために施策を講じるというものです。
高槻市の政策で、定住人口を増やしたいというビジョンがあったと思いますが、その定住人口を増やすときにもシナリオが2つあります。一つは、高齢者の人口を増やすということです。高槻市に生活の中心をおいてもらうことで、税収の増加につなげるというシナリオです。もう一つは、子どもたちを増やすことによって、将来、税収の増加につなげるシナリオです。大きく分けるとこの二つだと思います。
両方実施するということも考えられますが、後者のシナリオは、よほどドラスティックな施策をしなければ、子育て世代は(高槻に)来ないだろうと思います。なぜかと言いますと、子育て世代数が減少していますので、その人たちの奪い合いになるからです。高齢者数は増加しているので、奪い合いにはならないと思います。
どちらのシナリオで施策を進めるかは、どちらも定住人口は増えますので、重要な選択になるのではないかなと思っています。
今の高齢者に対して70歳になったら無条件で無料乗車証を支給して、運賃を無料にしますという施策は、福祉のまち高槻というブランドで行くのであれば、一つの方法だと思います。逆に子育てしている世代に無料乗車証を配布して、高齢者のそれをなくすという方法で、子育て宣言のまちというブランドをつけることも可能なのです。
このように、幾つかシナリオがあります。何が一番良いかは一概には言えませんが、ただこれからの高槻の将来予測や日本の予測を考えていくと、人口を増やしていかなければ税収が増えなくなって、高齢者に対する福祉政策が破綻するというのは、もう目に見えていると思います。
一つの事例として、静岡県の東のほうに長泉町という町があります。新幹線の三島の駅の西の隣の町ですが、そこは今、出生率が、去年が1.8、おととしが1.99と、全国平均の出生率が1.3程度ですから、かなり高くなっています。
なぜかと言いますと、その町は、15歳までは、子どもたち全員、医療費が無料になっているからです。医療費を無料にして、子育てに対してすごく積極的に取り組んでいますというアピールをした結果、人口が増えてきているのです。
長泉町は、新幹線の三島駅に近いので、東京に通勤するのに割と便利で、交通の利便性が高いです。また、東名高速のインターもすぐ近くなので、車でのアクセスも良いです。もう一つが、工場が幾つかあるので、工場からの税収もあります。そういう条件もあって、人が増えているのですが、よく考えると、非常に高槻に近い交通条件と立地条件だと感じます。
高槻市もこれから第二名神のインターができます。場所も京都と大阪の真ん中で、鉄道も充実していて、さらに企業もたくさんあります。似たような条件なので、長泉町は4万人ぐらいの町ですから、一概に比較はできませんが、それぐらいドラスティックにやると、みんなが住みたい町となります。しかもそこに来る人たちは、教育とか子育てに熱心な人たちなので、所得は高いです。その人たちが、住みたいと言って入居待ちになっている状態です。このような方法もあるという一つの事例として紹介しました。
もう一つの不採算路線の補助に対する問題ですが、実際に利用する人は、ほとんどいないですが、必要な人たちがいる。だから運行する必要がありますが、運行すると赤字になる。それに対する解決策として補助金を出すことで運行を維持しようという方法が今の手法です。しかし、これからの税収を考えますと、一気に増えることはないだろうと思います。
そうしますと、このまま赤字欠損分を補助して、それに対して効率的にするとか、コストを下げていくということも考えられますが、私は、運賃制度自体を変更してはどうかと思います。例えば、お客様からいただく運賃は、今の均一区間の運賃である220円で統一して、山間部のキロ制運賃に対応するところは、今の運賃額と220円の差額分を利用者がいた場合に補助を出すという方法です。つまり、利用者は全員220円で乗れます。しかし実際には、600円かかるところまで乗ったとすると、差額の380円を補助金としてもらうということです。そうすると、利用者が増えれば増えるほど補助金は増加するので、事業者のインセンティブになります。また、市の中心部と同じような均一運賃にしてもお客さんが増えないのであれば、それは必要とされていないのではないかという判断にも活用できます。
運賃を市の中心部と一緒にすると、運賃の条件は一緒でバスの本数もそんなにかわらない、それでも乗らないのであれば、それはもはや公共交通の問題ではなくて、もっと高齢者福祉とか通学問題のほうで議論するべき問題ではないかというように考えることができます。
実際に、今のような運行補助制度でうまくいったケースはありません。理由は、欠損分は補助金として得られるので、事業者側にインセンティブが働からないからです。高槻市営バスでは、いろいろな施策を実施しているので、そうはならないかもしれませんが、他の事業者を見ていると、コストカットをしなくても補助金がもらえるとして企業努力を怠るところもあります。中国バスは、それで倒産しています。補助金があるからといって努力をしなかった結果、沿線のお客さんから見放されて倒産をするという事例もあります。そうであるならば、運賃に対して補助を出して、それで利用者が増えないのであれば別の問題ではないかという考え方をしたほうがこれからの路線の維持としてはいいと思います。
また、公営ですと声の大きいところの路線が残り、声の小さいところの路線が廃止されてしまうという可能性もありますので、その意味でも不採算路線の補助制度は検討がいると思います。
○A委員
第一回の審議会でバス事業の決算資料が出ておりました。1~2億円程度の黒字ということになっておりましたが、これは高齢者補助金等の市からの支援なり負担があって初めて黒字になっているのだと思います。高齢者無料乗車証は市の福祉政策でありますが、仮にこの補助金がなくなったような場合に収支がどうなるかを、バス事業者として推計しておく必要があるのではないかと思います。おそらく赤字になるのではなかろうかと思います。
このような補助制度がなくてもバス事業が成り立ち持続可能な経営が出来ると言うことについて検討する必要があると思います。そのためにも市からの補助金がないとした場合に収支がどうなるかの推計が必要です。
高槻市の財政も今後益々厳しくなって行く中で、あれも欲しいこれも欲しいと言う訳には行かなくなって来ると思います。市の施策について何処に軸足を置き、どのように選択と集中を図って行くかによってこれからの高槻市は大きく変わって行くものと思います。
私としては、高齢者無料パスなどの6億とか9億とかの負担金があるならば、それを子育てや教育、介護、医療、環境、街づくりなどの行政マターとして今後更に力を注ぐべき分野に向けるべきではないかと思います。確かにそれだけをみればバスも無料にこしたことはありませんし、それもいいなとは思います。しかし財政が厳しくなる中で市の施策にプライオリテイを付けて行くことを考えないといけないと思います。
ところで不採算路線の収支についての質問ですが、第一回審議会の資料10-2にある不採算5路線の経常損失合計マイナス8000万円と補助金1億6800万円との関係についてご説明願います。
○事務局
まず、負担金等がない場合の推計ですが、生活交通路線維持補助金がない場合の収支については、資料8-1に記載をしておりまして、そちらの資料をごらんいただきましたら、最後の御質問についても御理解いただけると思います。資料8-1は、市内の路線を黒字路線、赤字路線で補助金をもらっていない路線、そして赤字路線で補助金をもらっている路線の3つに分けております。補助金がない場合の収支等につきましては、生活交通路線維持事業補助路線のグループの表、収入欄の営業外収益の列に営業外収益c(補助金ほか)というところがあります。この列の上下2段に書き分けられて部分、下の段の数字が、不採算の補助が入っている額、上の段の数字が、不採算路線の補助が入っていない場合の収益になります。
不採算路線に関する補助の有無ついてのシミュレーションは、このとおりで、不採算路線の補助金総額とそれについての収支は、一番下の計の部分小計(5路線)というところをごらんください。
総合計の1つ上の行の小計(5路線)というところですが、不採算補助を受けている5路線のトータルの損益状況をあらわすもので、太枠がかけてある数字、「168,155,000」、これがこの5路線に対しての補助金額で、この補助がなければ、マイナス2億4,900万円の損失がでるということになります。
ただ、このマイナス2億4,900万円に対して補助総額1億6,800万円が入ったので、その下のところ、マイナス8,000万円程度の経常損益・損失に抑えられています。
以上が、生活交通路線の補助の収支シミュレーションということになります。
もう一つの高齢者に係る負担金がない場合のシミュレーションですが、交通部としては、高齢者無料パスに係る6億円は、御乗車された運賃相当額の一部と認識しており、補助金ではなく、運賃と考えておりますので、数字上6億円をなくせば、資料は御提示できるかと思いますが、実際にシミュレーションはしておりません。
○A委員
不採算路線の数値は分かりました。高齢者無料乗車証制度への負担金が一番大きいと思います。この6億円を負担金と捉えるか、補助金と捉えるかは考え方の問題だと思います。交通部が無料乗車証制度は市の施策であるからそれに対する市からの負担金であり補助金ではないと考えるのであればそれも一つの考え方だと思います。
いずれでも結構ですが、仮にこの制度が廃止、または何らかの形に修正された場合にバス事業の収支がどうなるかの推計が必要だと思います。
○管理者
A委員のおっしゃったことについて実際にシミュレーションしていませんので、結論はわかりません。
去年、この仕事に携わって考えた中で、今のおっしゃっていただいたところは、一番悩ましいところだと思っています。
この資料4のつくり方として、高齢者福祉の部分と、不採算路線と分けていますのは、公営企業は独立採算であって、事業そのものとして、多額の黒字を出すことはないとしても、赤字を出してはいけない、若干黒字というところが一番妥当な事業のやり方だろうと思っております。
その中で、公営企業であるがゆえに、市の事業とバスの事業どちらに帰属するものなのか明確でない部分があるというのがこの1年間の私の感想です。
25年度決算で言いますと、高齢者無料乗車制度の6億円は、運賃だと理解しています。そして、1億6,000万円の生活交通維持路線、赤字路線の部分ですが、この補助金を除きますと、約500万円程度の赤字になります。これが現状であります。
6億円がなくなると、その部分も赤字になりますが、これは、実際にお客様を運んでいます。仮にこの6億円がなくなりますと無料乗車証もなくなり、その分、利用者も減少しますので便数も必要なくなりますから、両建てで費用も減少します。6億円というのは、平成10年、70歳以上人口が2万6,000人程度のときに決められたもので、現在は、5万6,000人いらっしゃいます。また、この約20年の間にアクティブシニアが増えたということで、おそらくバスを利用されている方も増加していると思います。
それを考えると、実際に運賃をお支払いいただくのであれば、10億円程度になるのだろうと推定しています。ただ、この計算には、例えば市役所前から阪急までお乗りになっている方など無料だから乗っている方がいますので、そのような方は、有料になると当然に利用されません。
ですから、恐らくA委員のおっしゃっていることを実践するとすれば、あくまでも推測ですので明確なものではありませんが、有料になると、現在無料パスを利用している方は、半数程度まで減少するだろうと思います。その方々には220円を払っていただくということになります。そのようにシミュレーションしますと1億円ないし、2億円弱の赤字になるのではないかと思っています。
一方で、実は事業として困ったなと思うところは、無料乗車証で利用される方がいらっしゃっているおかげで、バスのダイヤが守られているということがあります。
今、JRは15分に1本快速が走っています。バスでもこれが待てる限度だろうと考えております。
現在のバスの主要路線は、大体10分から20分の間で運行しております。これが守られなくなりますと、40分に1本、1時間に1本、実はそういうところもありますが、主要な地域がそうなってしまうと、不便領域が増えましてバス事業全体が非効率なものになってしまいます。この点をどうするかについての解決策がありません。
市の福祉施策との関係で言いますと、無料乗車証を利用して市内を出歩いていただき、いわゆるアクティブシニアになっていただくことで、市としては、例えば医療費の削減など、市の経費も下がる可能性もゼロではありませんし、高齢者の市民にとってもプラスになると思います。その意味では、市の事業とバスの事業どちらに帰属するものか明確に分けず、両者共通のものとすることも検討する必要があるかもしれません。
ぜひ、この場で、その点も含めて議論いただくと大変ありがたいと思います。よろしくお願いします。
○A委員
これまで市の政策とバス事業とを混在化させてきたことが一番大きな問題だと思います。市の政策とバス事業とは分けて考え、分けて考えた場合にバス事業はどうなるかを考えるべきだと思います。これは市の政策の問題ではありますがバス事業者も当事者として考えていかなければなりません。仮に高齢者無料乗車証制度がなくなった場合、有料利用者の運賃は入りますが、利用者は減るでしょうし市からの負担金もなくなります。その場合の収支のシミュレーションは一定の条件下で可能ではないかと思います。この機会に、バス事業を将来とも持続可能なものとして行くためには、またバス事業を自立経営して行くためには、どのようにして行けば良いかを考えることが必要だと思います。
それから今ほど、高齢者無料乗車証制度が廃止されるとダイヤを守れなくなるとのお話がありましたが如何かと思います。確かにダイヤを守るのも大事だと思います。しかし、どの程度がダイヤとして適切か、つまり、利用者が受け入れられるサービスをどの程度とするか、そしてコストがどのくらい掛かるかについて検討する必要があります。
私は毎日高槻市営バスを利用しております。毎朝利用する路線は朝通勤時の本数が1時間に25本あります。2分24秒に一本ということになります、しかも利用者は多くはありませんし年々減ってきているにも拘らず本数は変わりません。もう少し駅に近い所に緑ヶ丘いう停留所があります。複数の路線が合流するバス停ですが1時間に40本の本数があります。これらの本数を守ることがサービス面からもまたコスト面からも適切かどうか考えてみるべきだと思います。一方では本当に必要な路線の本数が少ないというところもあると思います。利用者の意識や感覚にもよりますが許容されるサービスの範囲がどの程度なのかコスト面も含め検討すべきです。
このような面からも、給与水準だけの問題ではなく、ダイヤや勤務等についても見直して行く必要があるのではないかと思います。
○管理者
おっしゃるとおりです。今、A委員がおっしゃった路線は、ご利用者が多い路線で、8-1で言いますと黒字の路線になります。ここは、私たちの事業を成り立たせているところです。事業全体として考えますと、赤字路線、黒字路線、いろいろありますがトータルとして事業が成り立っていなければなりません。黒字路線だけ残せばいいかといいますとそうではありません。現状、赤字路線となっているところについてもバスを運行させることで、バス路線の充実が図られ、あるいは、さきほど申し上げた適正なダイヤの維持などが保たれています。
赤字・黒字全ての路線を考慮し、最終的に事業として健全な利益を得ているということが必要です。私たちも小さいですけれども、高槻市の中で、このように事業を営んでおります。
また、バスの利用者は減少傾向ですから、利用実績に応じてバスの本数を変更するということも考えなければいけないと思っています。その点は、御指摘のとおりだと思います。具体的にダイヤをどう工夫するかというのは必要だと思っています。
○A委員
一般的には、企業の中で全ての事業が利益を生みだすということはないと思います。利益を生む事業で利益を生まない事業をカバーし、内部で収益調整をしながら全体として収益を上げ企業を経営して行くということだと思います。ご発言の中のこの部分については異論ございません。しかし先程、路線を維持しダイヤを守るために高齢者無料パスが必要であるかのようなご発言がございましたので、それは如何なものかと意見を申し上げた次第でございます。
私は高槻市のバスのネットワークが将来にわたって持続可能なものであって欲しいと思っております。第一回の審議会から種々のデータが示されており、給与水準も勤務もダイヤ等も見直して行くべき重要な課題です。単に給与が高い低いという数字の表面的な議論をするのではなく、サービスレベルや生産性など、更に勤務やダイヤなどとの関連も含め検討して行かなければならないと思います。確かに1時間に25本のバスがあるのは便利で有り難いです。しかし、それを維持するためのコストを考えたときに本当にそのレベルが適切なサービスレベルなのかを検証すべきです。市バスが事業体として健全経営を実現して行くためには、サービスやダイヤや給与や勤務等々の細部の具体的な点に目を向けて行かなればならないと考えております。
○管理者
ありがとうございます。おっしゃるとおりで、その点が先ほど申し上げたように、一番悩んでいるところです。
A委員がおっしゃるように、路線ごとに現状に合わせて減便、増便ということはしなければいけないと思います。全体として見たときに、そこが高齢者無料乗車証についての悩ましいところです。
我々は事業者ですから、高齢者の福祉制度については、市の業務であって、バス事業者が実施しているものではないとすることが正しいのかもしれませんが、そのときに、交通部としてはどういう見方をするのかということを考えなければなりません。
この審議会の中でそういうことについて議論いただけると、これからさらに自信を持って事業に取り組めると思っておりますので、よろしくお願いします。
○C委員
資料3ですが、平成25年度の決算はまだ出ないのですか。
○事務局
平成25年度の決算については、公開されている情報はございません。
○C委員
審議会中に確定するようでしたら、また御連携をお願いします。
次に、この資料を見ますと、歳入と歳出、非常に厳しい状況が、22年度から顕著になってきていると思います。
特に、市税総額に対して扶助金の繰出金、これの比率を見てみますと、82.0、88.0、89.5というように、新たな政策を展開するためにお金をと投入するということが非常に難しい状況になってきているのではないかと感じます。
そういう中で、今回の審議会の答申も進めていかなければいけないという気持ちです。
また、A委員から指摘がありましたが、現実の制度を大幅に変更するなど、そういう話にはならない中で、非常に悩ましい表現がなされたままで終わっているのではないと思います。
以前の審議会でも、無料乗車証制度、不採算路線に行う補助金については、活発な意見が出た中で、集約として見てみますと、「超高齢社会の到来が予想される中、制度の見直しや負担のあり方について調査・研究し、関係部局との協議を進めます」という表現で終わっていて果たしてその後、関係部局とどういう協議がされたのかという結果が、この場には示されていません。実際、どういう協議をされたのか、また不採算路線についても、「補助対象とする路線の選定基準など、算定のあり方を関係部局と協議し、見直しを実施します」となっていますので、どこを見直したのかということがわかる資料も御提供いただけたらと思います。
最後に、上牧方面へ路線が延びましたが、これは、道鵜町の路線に含まれているのだと思います。道鵜町は赤字路線ですが、生活交通路線維持事業補助路線ではないのですね。
資料を見ますと、経常損益が昨年は「マイナス32,425,689」となっていますが、これは上牧方面へ路線が延長されたことでマイナスがどの程度増加したのか、わかる範囲で教えていただきたいと思います。
○事務局
まず、無料乗車制度に関する他部局との協議についてですが、前回の答申をいただいてから、関係部局とさまざまに協議をしてまいりました。
実際の利用人数の把握ということが、非常にネックとなりまして、この点をどう解消していくのか、乗車証のIC化で把握はできないかなど、いろいろ議論をして参りましたが、かなりの費用がかかるということがございまして、現在も議論については、継続中というところでございます。
次に、上牧方面への運行についてですが、上牧方面への運行は、道鵜線に含まれています。道鵜町線は、上牧方面に運行する以前は、1,000万円程度の黒字でしたが、上牧方面への運行後は、3,200万円ほど赤字という結果になっております。
○C委員
生活交通路線維持事業補助路線に位置づけられる基準のようなものはありますか。
次に、高齢者優遇措置については、全国、さまざまな手法で実施されているということが、この資料を見てよくわかります。このようにいろいろな手法がある中で、高槻市として理想的な手法はどれなのかということについて研究をさらに進めていく必要があるのではないかと思います。
最後に、実際の利用人数を把握するということでしたが、人数を把握して、どのように活用しようと考えているのですか。
○事務局
利用人数の把握につきましては、現在も運賃相当額の一部として市から負担金を受け取っておりますので、今後、どのような負担のあり方が適正かという議論が必要になってまいります。その際に、利用人数の把握ができていますと、それを基準に議論ができると考えております。
次に、生活交通路線維持事業補助路線についてですが、資料9-2に高槻市生活交通路線維持事業補助金交付要綱というものがございまして、その中の第3条の3の(1)と(2)のところに、「山間部3路線及び営業係数が130以上かつ平均乗車密度が18人未満かつ運行損失3,000万円以上の路線の運行補助額について、75%について市から補助金を与えていく」という基準に基づいています。
○C委員
それでは、今後、道鵜町の路線はどうなりますか。
○事務局
平成26年度の補助金の見込みでは、道鵜線についても、生活交通路線維持事業補助路線に該当すると考えております。
○D委員
無料乗車証制度は、補助金として6億円という金額が市から交通部に繰り入れられているということでしたが、実際、平成10年から補助金の金額がかわっていませんが、平成10年と比べて、もちろん高齢者の数自体も増えていますし、実際の利用者も増えていると思います。交通部としては、現状からすると6億円という金額は、妥当な金額だとお考えなのでしょうか。
○事務局
今のお話としましては、金額が足りる、足りないという問題ではなく、制度そのものをどのようにしていくかという問題だと思っています。
現状では、不採算地域の補助金や高齢者乗車証の負担金を含めて、事業として成り立っています。そして、市役所から阪急高槻まで利用される人たちがいるおかげで、実は一般のお客様に対するダイヤの維持もできているというところがあります。
ただ、今の状態が良いものなのか、今の高齢者無料制度が良いものなのかという議論はあると思います。つまり、私たちの事業が長く続いていくためには、現状がどうなのかということを考える必要があると思っていますので、そのような点について、皆さん御議論いただく中で、ぜひ御意見を出していただけたらと思っています。
○D委員
なぜ、そのような質問をさせていただいたかといいますと、この資料4-1の(2)のところに、「高齢者等の無料化補助金額が平成10年度以降固定されていることが課題となる」という、固定されていることが課題とありますので、6億円という金額が、もしかしたら多過ぎたり、少な過ぎたりするというようなことを考えていらっしゃるのではないかなと思い質問しました。
実際にどれぐらい乗車されているかというシミュレーションして、それに基づいて補助金額が決められるべきではないのかと思います。もしその計算をして赤字になるということでしたら、実質、6億円のおかげで市営バスの事業が成り立っているのではないかと思います。
○事務局
6億円があるから成り立っているのではないかという点についてですが、6億円を無料乗車証利用人数で割りますと、一人当たりの単価が、100円から150円ぐらいの間だったと思います。
それが、例えば無料乗車証制度がなくなり、220円いただくことになりますと、利用者がかなり減るだろうと考えております。
○D委員
ありがとうございます。いろいろ考えることが多いので、整理してから後ほど質問があればさせていただきたいと思います。
○事務局
固定していることが課題と記載していますのは、どのぐらい利用されているのかわからない中で、6億円が固定している。これは、金額の多寡というよりも制度として金額の根拠が明確でないということです。
もともと導入したときの経緯が福祉政策としてであったのか、当時市バスの経営状況がかなり悪かったと聞いていますので、そのときの支援策としてであったのか、そこが性格上はっきりしないままこの制度が発足したような経過がございます。それが、今もってまだ整理しきれていないというのが現状だと思います。
これは、市の業務になると思っていますが、これを福祉施策としてどのようにしていくのか。健康維持のために外へ出歩いていただくというところから、今まで通り全ての70歳以上の方に、乗車証を送付するのか、また希望する人に送付するのかなど、その福祉施策の意義、どのように運営するか整理されないと、この施策を受ける交通部としてもどのように利用者数を見ていけばいいか、非常に悩ましいところです。そういったことも含めて、課題だと捉えております。
○D委員
例えば、資料7で他の公営交通事業者と見比べてみましても、高槻市は、高齢者からするとありがたい制度をとっています。それを思うと、高槻市は、非常に福祉を充実させていこうとしている市であるという性格が強いと思います。実際、福祉施策をこのまま進めていくのか、それは高槻市として今後決めていくべきではないかと思いました。
○事務局
このまま今の福祉政策を続けていくのかについては、おっしゃるとおり、市の施策としてどこまで考えていくのか協議は必要だと考えています。
○E委員
もし、福祉施策として高齢者無料乗車証の制度があるとすれば、バスに限って補助を与えるということにはならないと思います。前回の審議会でも同じような議論が出たかもしれませんが、75、76歳以上の高齢者にとっては、そもそもバスが乗りやすい移動手段ではなくなっているかもしれません。例えば、それはタクシーであるかもしれません。そういったことを含めると、全体でもっと考えていかなければいけないことだと思います。
そのときには、実数というのは、どの程度高齢者の方が今の市営バスに乗っていらっしゃるのかというのを路線ごとに把握した上で、もしそれが少ないようであれば、そこは見直す、またはバスという形態ではなくて、別の形態で移動の補助というものを検討していくということが大事だと思います。
また、確かに無料であれば乗ってくれる。それはいいことだと思いますが、そもそも価値のあるサービスであれば、その見合う対価を支払ってもらうことが当然だと思っています。価値があると思っているから、運賃を払っていただいているわけです。無料だから乗るという考え方は、違和感があって、それは、そもそも価値がないと思っているのではないかと思われても仕方がないと思います。
また、アクティブシニアの方が、無料であったら乗りますという気持ちで、たくさん乗っていただいていますが、それを全体の効果として見たときに、どれほどのメリットが客観的数値としてあるのかを示す必要があります。健康が促進される、医療費が削減される、いろいろあるかと思います。でも、それらを数値で示さないと、無料であるということが丼勘定のように思えてしまうので、そこにきちんとした説明がなされる必要があります。何よりも、やはり実数はきちんと把握すべきではないかと思います。
○A委員
私も、高齢者無料乗車証制度の利用者の実数が把握出来れば良いと思います。なぜかと言えば、負担金の多寡を論ずるためではなく、バス事業と市の福祉政策とを分けて考えるために必要だと思うからです。福祉政策は市が判断し、バス事業者はバス事業の経営をどうして行くかに特化する必要があると思います。高齢者無料乗車証の利用者の実数が把握できれば、仮にこの制度が無い場合の収支の推計が出来ると思います。有料であっても何割程度の高齢者が年間にどれほどバスを利用するかを推定することで収支の推計が出来ると思います。福祉施策等を除いた本来のバス事業そのものの収支を前提にして経営を考えることが重要で、その上で、福祉施策や他の施策があればそれに伴う負担金等を加えて経営を考えると言うことだと思います。高齢者無料乗車証の問題を議論する以上その利用者実数の把握は必要だと思います。
○B委員
資料8-1で教えていただきたい点があります。年間乗車人員の右側にある、内訳に入っている「ウチ無料化」というのは、どういう意味ですか。
○事務局
この「ウチ無料化」というところは、乗客実態調査に基づいて、乗車されたうち、その路線に無料乗車証を利用された方の比率です。実数値ではなく、按分したものです。
○B委員
これが、今、把握できる高齢者の利用の数だろうという前提で、高齢者無料乗車制度の負担金である6億円をこの人数で割ると、1人当たり約141円になります。本来220円もらうところが141円になっているということが今の実態だとわかります。
また、各路線の無料乗車証の利用者の割合と営業係数と一日当たりの運行本数の関係性を見ていくと、おおよそ高齢者の利用の低いところが黒字になる傾向が強いということがわかります。また、一日当たりの運行本数が多ければ多いほど収益性はよくなっているということもわかります。つまり、一定のサービス水準を維持しないと、お客さんが減少するということがわかります。
先ほど、バス事業が持続可能なものにするにはどうしたらいいかというお話がありましたが、これは高槻市がどれだけ長く栄えるかということと同じだと思います。栄えるというのは、これから超高齢化になって、また人口が減少していく中で、少しでも人口が増えるような町にできるかどうかということだと思います。
そのためには、何か早急に対策を講じなければいけません。また、高齢者無料乗車制度や赤字路線の補助政策は、高度経済成長期の発想で実施された施策です。これから、人口が増えて税収が増えるから、高齢者をみんなで支えようという前提で取り組んだものでしょう。ところが、現状は、もう若者が高齢者を支えきれなくなっています。
第1次ベビーブームから考えると、私たちの世代の人口は、その約半分になっていて、今の大学生たちが私たちの半分になっています。その大学生が今後どうなるかというと、さらに半分に減ります。そうなりますと、もう誰も(高齢者を)支えてくれる人がいなくなるのに、無料で利用させてほしいというのは、無理になるだろうと思います。現在利用されている方々は、継続して利用できるかもしれませんが、私たちの世代は無理だろうと想定しています。
では、どうすべきかといいますと、人口を増やすしかないと思います。人口を増やしてくれる人たちに町に住んでもらい、その人たちに税金を納めてもらって高齢者を支えていくしかないと思います。もしくは、高槻市外から観光などで高槻市に遊びにくる人たちにバスに乗ってもらうしかありません。でも、それは安定性がありませんので、私は人口をふやす政策を考えていかなければならないと思います。そこで、人口を増やすということを実際に施策として実行する場合に今ある6億円をどこに振り分けるということが重要になってきます。
例えば15歳までは医療費を無料にしてもいいと思いますし、保育園を充実させるなどでもいいと思います。今、子育て世代は、本当に金がかかります。近年では、共働きの家庭が多く、そんな中で、子供を産んでどう支えていくか考えると、まず、働くために保育園に(子どもを)預けようとします。でも預ける保育園がない。私立はお金がかかります。だったら子どもは1人で十分だというのが現状です。
このようなネックを取り除いていかなければ、人口が増えないと思います。人口が増えないということは、バスの利用者が減っていって、将来、バスがなくなってしまうということも考えられます。今、若い人たちに乗ってもらうような施策をすべきだと思います。
そういう意味では、今、実施されている子供たちが夏休みに親御さんとバスに乗ると無料になるという「子ども無料キャンペーン」は、とてもいいと思います。子どものうちにバスに習慣をつけて、大人になったときも、通勤・通学で利用してもらい、そこからさらに先まで考えていくことが必要だと思います。
特に、高槻は急激にこれから高齢化が始まります。先ほど御提示したこの10年のデータでは、少し赤くなっているだけでしたが、これから先の10年は、このままですともっと真っ赤になります。高齢者無料乗車制度は、近い将来に破綻する可能性がありますので、今のうちから検討が必要だと思います。
前回の審議会では、超高齢化社会がそろそろ到来しますという時代だったのですが、今はそれが到来している状況なので、早急に若い人を増やすべきだと思います。
今、無料乗車証を利用している人にとっては、それがなくなってしまうというのは、いやなことだと思います。しかしながら、今申し上げたように昔と今では、状況が違います。今の時代に合わせたシステムを考えていくべきだと思います。
○事務局
今、いろいろなお話をいただいて、おっしゃるとおりだと思う部分が多分にありました。ありがとうございました。
○会長
一般会計に関する議論になりますと、いろいろな予算費目と絡んでまいりますし、複数の部局にもかかわってまいります。
資料7にありましたとおり、大阪市がまさに明後日から有料化になるということです。
こういう中で、6億円というものが多いのか少ないのかという点は、交通部の立場からしますと、高齢者の対象の人も増えているわけですし、もらえるものならもらいたいというのが正直なところかもしれません。
ただ、そうは言っていられない状況で、まずはデータをきちんととるというところが議論の出発点になるのではないかと感じております。
○A委員
この審議会の性格ですが、市長から諮問いただいたのは、バスの今後の事業経営のあり方についてです。今、議論となっている高齢者無料乗車証の問題はひとえに市の政策そのもので基本的にはバス事業とは別次元の問題です。しかし、この審議会での各委員からの色々な意見を何らかの形にまとめて審議会の中ではこのよう意見もあったというように出して行けば良いと思います。これまでは、これは市の政策の問題なのでそちらで検討されたいというところで終わっている答申もあるように思います。高齢者無料乗車証がバスの経営と密接に関係している現状からも、もう少し踏み込んだ意見が出来ないかどうか検討したら良いと思います。
○会長
それは、議論の内容が充実したものになっていますので、答申案にもきちんと盛り込んでいく必要があると考えております。
それでは、そろそろ時間が参りましたので、本来でしたら、生活交通路線維持事業について議論する予定でしたが、これは次回、継続で審議をさせていただきたいと思いますが、事務局はそれでよろしいでしょうか。
○事務局
はい、結構です。
○会長
そうしますと、本日の議論を踏まえて、また高齢者無料乗車証の話も出るかとは思いますが、これは重要なテーマでございますので、改めて議論をしたいと思います。
本日の資料はまた次回もお持ちいただき、場合によっては、先ほどの決算等、新しいデータとか情報が入りましたら、事務局に追加をしていただきたいと思います。
次回の日程等、審議内容等につきまして、事務局から御説明があればお願いいたします。
○事務局
では、事務局から、開催日程等の事務連絡をさせていただきます。
次回、第4回は、8月29日金曜日の午前10時から2時間程度で予定しております。本日と同様、こちらの全員協議会室で開催を予定しております。
また、開催日が近づきましたら、開催通知をお送りいたします。
次回の審議内容といたしましては、今回の続きである公共負担の明かり方について、生活交通路線維持事業、まちづくりと連携した市営バスのあり方、新たなサービスの検討等について御議論をいただければと考えております。
以上、次回の日程と審議内容についての事務局からの提案でございます。よろしくお願いいたします。
○会長
それでは、暑い中、朝早くから長時間御議論いただきまして、ありがとうございました。次回以降もよろしくお願いいたします