2021.11.02
バスの車両は年々進化していますが、大きく変わったことのひとつに「昔に比べて乗降時の段差が減って乗りやすくなった」ことがあげられます。段差の少ないバス車両が運行されることで、足腰が弱い人に限らず、誰もが使いやすく便利になりました。 これは、子育て中の保護者にとっても嬉しいことです。ベビーカーでバスに乗り降りしやすくなりました。さらに、ベビーカーを折りたたまずにバスが利用できるようになったことも嬉しいことです。
私も、娘が赤ちゃんの時は「念のために」と、あれこれを詰めて重たくなったリュックを背負いながら他の荷物を持ち、ベビーカーで移動していたことを思い出します。わが家は車がないので、バスの段差が少なくなりベビーカーを折りたたまずにバスに乗車できるようになったこと、本当に助かりました。

段差の少ないバス車両になってから、ベビーカーでバスに乗る人も多く見かけるようになりましたが、一方で「ベビーカーでバスが利用できることは知っているけれども、どうやって利用したらいいのか」不安に思う保護者もいらっしゃるでしょう。
そこで、今回はベビーカーでバスに乗るときのポイントをご紹介します。
1.ベビーカーで乗車できるバス
バスの前や乗車口近くにベビーカーマークがあります。このマークがベビーカーで乗車できるバスの目印です。高槻市バスはほとんどのバスが対応しています。

2.ベビーカーでバスに乗る
(1)バス乗車時にベビーカーを折りたたまずに乗車することを乗務員に伝えます(大きな声を出しにくい時はバス入口横のインターホンも活用してください)
(2)バス入口の先にベビーカー固定場所があります (ベビーカーマークが目印です)
(3)ベビーカーの向きは「バスの進行方向と反対にして」ベビーカーを固定します
ベビーカーをバスの進行方向の反対にしない人を見かけますが、これは大変危険です。バスの進行方向にベビーカーを設置すると、急停車の際、赤ちゃんが飛び出す恐れがあります。ここが最大のポイントです。
(4)乗務員がマジックベルトでベビーカーを固定します
3.バスから降りるとき
マジックベルトは保護者が外して、運賃を支払うときに乗務員に返します
バスから降りるとき「ベビーカーはバスの進行方向とは反対で移動」しましょう。ベビーカーから先に降りようとすると、段差で赤ちゃんがベビーカーから飛び出す恐れや、バスの横を歩く人とぶつかる可能性もあります。バスから降りるときは、「保護者から先に降りる」ことで安全にベビーカーを降ろすことができます。
高槻市バスのベビーカーでのバス利用方法はこちらのサイトを参考にしてください。

「車内で赤ちゃんが泣くかもしれない」これが、保護者にとっての最大の不安かもしれません。進行方向と反対にベビーカーを設置することで保護者の顔が見えるので、赤ちゃんは泣くことが少なくなります。少なくとも私の経験では、娘が泣くことはほとんどありませんでした。
余談ですが、私が記憶に残るバス車内で娘が大泣きした経験が2回あります。1度目は近くにいた子ども連れの女性が、赤ちゃんが泣き止むテクニックとしていくつか試してくれました。2度目は周りにいた女子中学生があやしてくれました。いずれも結果的に泣き止み、あの時の方々に感謝する次第です。
もし泣いてしまっても、赤ちゃんは泣くことで意思表示をしているので、周りの人たちも温かい目で見守っていただける社会になりつつあると感じます。私も赤ちゃんが大泣きして困っている人が近くにいたときは、その時のことを思い出しながら、種々の変顔を披露してサポートしています。
高槻市バスでは毎年1回、子ども保健センターで開催している離乳食教室の終了後にベビーカー利用者へのバスの乗り方教室を実施しています(2021年度は未定)。乗り方教室で体験すると、頭ではわかっているけれども、それでもモヤモヤしていた不安が飛んで、自信をもってベビーカーでバスに乗車できますよ。
プロフィール

井上 学(いのうえ まなぶ)
立命館大学衣笠総合研究機構 アート・リサーチセンター客員協力研究員 公共交通アドバイザー
専門は交通地理学、近畿圏内で地域公共交通会議や地域公共交通計画等の委員を務めている。高槻市営バスの審議会委員やアドバイザーを歴任し、2019年からは高槻市自動車運送事業審議会委員を務めている。