令和5年度 第2回高槻市自動車運送事業審議会

会議の概要

会議の名称 高槻市自動車運送事業審議会
会議の開催日時 令和6年2月27日(火曜日)13時30分から15時30分
会議の開催場所 高槻市役所本館2階 全員協議会室
出席委員 10名
議題

1.市営バス事業の経営状況

2.市営バス経営戦略の進捗報告

3.その他
主な審議内容 別紙のとおり
資料名
  • 資料-1 令和5年度 第2回高槻市自動車運送事業審議会 議事次第
  • 資料-2 過去5箇年の収支推移表(R01~R05)
  • 資料-3 収支シミュレーション
  • 資料-4 市営バス経営戦略 進捗管理表
  • 資料-5 主要な具体的取組
  • 資料-6 個別戦略に対する指標
担当課 交通部 総務企画課

(別紙)

開会

<会長から挨拶・所感>

それでは、定刻となりましたので、ただいまから令和5年度第2回高槻市自動車運送事業審議会を開会いたします。本日は年度末の大変お忙しいところ、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。我らが高槻市営バスは、つい2日前、70周年を迎えたというところで大きな節目を迎えたわけです。今月号の市の広報誌でも取り上げていただきまして、市民の方々に多く見ていただけたんじゃないかと思っております。私も写真入りで登場しておりますので、改めましてご覧いただければ幸いです。

 

さて、令和元年度から始まった本審議会ですが、早いもので足掛け5年が経過をいたしました。本日ご出席の委員の皆様による審議会は、本日が最終回になる予定と伺っております。令和元年7月に「市営バスにおける事業経営のあり方について」、市長から諮問を受けまして、令和2年2月に答申書を取りまとめ、次の令和2年度には今後10年間の市営バス事業の経営方針を定めた「市営バス経営戦略」が策定されました。しかし、この間の最も大きな出来事は、令和2年1月に国内で最初に感染が確認された新型コロナウイルスであり、いわゆるコロナ禍が私たちの生活に大きな影響を与えたことは、記憶に新しいところです。最近になってようやく、コロナ禍以前の生活を取り戻しつつありますが、一方で、物価高騰や気候の変動などにより、コロナ禍からの回復を見据えた日本経済の先行きも株価ばかりが先走っているようで、今なお不透明な状況であろうかと思います。

 

こういった中、高槻市営バスにおかれましては、様々な経営努力によって徐々に収支を改善され、コロナ禍からの需要の回復も相まって、令和5年度は黒字決算の見込みであると伺っています。もっとも、今後のバス車両の大量更新や新たな投資の必要性などから、来年度以降、経営状況も厳しくなり、これが続くということも伺っております。こうした様々な議論を交わして策定されました市営バス経営戦略ですが、概ね計画の3年目が終わろうとしている中で、安全運行に係る取組やバス停などの利便性向上、市の政策と連携した様々な取組、そして人材育成基本方針及び資産管理計画に基づく取組など、経営戦略に位置付けている様々な具体的な取組を鋭意、進めているとも伺っています。

 

また、来年度以降、総務省からの通達も踏まえて、現行の経営戦略の改定にも着手されると伺っております。こうしたことを受けまして、本日の審議会ではまず令和5年度の決算見込みや今後の収支予測について報告いただき、その後、経営戦略の取組結果と今後の展望についても説明をいただく予定です。委員の皆様におかれましては、忌憚のないご意見をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

会議の公開と傍聴希望の確認について

<傍聴希望の確認>

(事務局から傍聴希望の確認がなされた。)

(3名入場)

 

<配布資料の確認>

(事務局より資料の確認がなされた。)

1.市営バス事業の経営状況市営バス事業

事務局

(1)令和5年度の決算見込み

(2)収支シミュレーション

(事務局から資料2及び資料3に基づき、説明がなされた。)

 

会長

それでは質疑に入りたいと思います。本件に関しましてご意見ご質問等ございましたら、ご発言よろしくお願いいたします。

 

A委員

EVバスの導入計画ですが、令和7年度からということで、その前提となるCO2の削減目標ですが、2030年までの国が定めた制度に沿った形で、市あるいは事業者として目標を定めたものなのでしょうか。

 

事務局

環境目標に関することについては、今回のこの収支シミュレーションに入っていません。あくまでも令和7年度にまずは2台ほど試験的に導入し、その後に本格導入すると仮定した試算を示しています。今後、本格的にEVバス等を導入することになれば、環境的な配慮を考えた上での目標台数を設定する必要があるのではないかと考えます。そういったことで、徐々にですが人件費が減っていっているといった計算になっています。

 

B委員

資料2と資料3をまたいでの質問になりますが、運賃改定を実施しないということになると、次世代バスを導入すると累計赤字が10年間で9億から10億程度ということになります。現状、余剰金が28億円程度ということになりますので、この10億円マイナスということについて、経営環境としてどういう評価をされているのか。その点をお聞かせいただきたいのと、余剰金が18億~19億ぐらいになりますので、それが危ない水準という評価であれば、運賃改定という選択肢があるのかどうか、財務面から現時点の見解をお聞かせいただけたらと思います。

 

事務局

先ほど資料の説明でもありましたとおり、現時点で「10円上げる」あるいは「20円上げる」といった具体的な予定は持っていません。多くの新規投資を行って仮に10億円の赤字が出ても、まだ未処分利益剰余金が今年度末時点で28億円程度あり、どの程度お金を持っておく必要があるのかということも慎重に考える必要があります。

 

さらに、これから電気バスを何台も導入していく必要があるのか、あるいは、導入できるのかといった問題も阪急バスさんも同じような状況だと思いますが、試験的に導入して、様子を見ながらまた、需要の戻り具合を見ながらということを想定している段階です。

 

副会長

これから、電気バスに限らず運賃箱の更新もありますし、まずGTFSのリアルタイム対応とかが当たり前になってくると思うので、これまで以上の投資は掛かるだろうなという気持ちで、今回のようなものを作成いただければと思います。また、人事院勧告で8%ぐらいの人件費の上昇が言われていますので、今後、人件費は上がっていくという前提で予測していただいています。とにかく、「結構お金が掛かるよね。」と。京都市の場合、運賃は値上げしないで「国に援助を求めていく」という方向で動いていますが、援助を求めても「数年ぐらいのカンフル剤」になる程度だろうと思いますので、運賃値上げはなるべくされた方がよいと思います

 

今後、危なくなってから運賃値上げといっても2年ぐらいかかりますので、少し早めの心づもりだけはしていただければと思います。「電気バスがこれからどうなるのか。」というのは全く見えないのですが、トレンドとしては、ワンステップバスとかノンステップバスが出たころの感覚を思い出していただければと思います。あの頃も「ワンステやノンステに全車がなるの?」みたいな感じだったのですが、今、なっていますよね、という感じで、次世代型のものが普及していくだろうという傾向は変わらないと思いますので、「何かしらの投資は必要だろう。」というご判断をいただければと思います。

 

会長

何かこの点事務局からございますか。

 

事務局

運賃改定に時間がかかるというのは、私どもも各所でヒアリングしており、十分認識しているところです。ただし、国の動向としましては、運賃改定がしやすいようなルールに、順次変更されていますので、決断すればできるだけ早く動けるよう、準備は進めておくような考えをもっております。

 

次世代車両に関してはまだまだ見えないところがありますが、地球環境への影響という話もありましたが、その辺りも見据えながら、計画的に導入を検討していこうという考えを持っています。

 

会長

運賃改定については、利用者の方に結構なインパクトがあるわけで、そのことも含めて国土交通省の方でも審査が進められると思うのですが、一方で、投資効果として波及したりとか、運転士の賃金体系が改まって給料に反映されたり、全員の給料に反映されるまでは、結構、年単位で時間が掛かるというのが現状であろうと思います。

 

そのあたりも含めて、様々なシミュレーションが必要になってきますので、お手数とは思いますが、こういった形で、詳細な資料を毎回提供していただければ非常にありがたいと思っています。それでは、議題の2、市営バス経営戦略の進捗報告に移りたいと思いますので、事務局から資料のご説明をお願います。

2.市営バス経営戦略の進捗報告

事務局

(1)令和5年度の取組結果

(2)令和6年度の取組予定 

(事務局から資料4及び資料5に基づき、前半部分の説明がなされた。)

 

会長

それでは質疑に入って参ります。ここまでのご説明につきまして、ご意見ご質問等ありましたら、ご発言よろしくお願いします。

 

B委員

資料5の14ページに起因する話になります。路線をJR摂津富田駅を拠点に整理されたということになると思いますが、JR摂津富田駅は非常にターミナルが複雑といいますか、3つに分かれたターミナルとなっています。こうして整理することによって、JR摂津富田駅にバスが停まることが多くなるのではないか思うのですが、交通の混乱とかターミナルの混乱とかがないのかというところがまず一点です。

 

もう1点は、資料では「JR富田駅」となっていますが、以前、鉄道の駅名とバス停名をできるだけ統一していこうという話があると聞いていましたが、その辺りがどういう検討になっているのかということを教えていただきたいと思います。

 

事務局

1点目の富田バス停の「おりば」のことについてですが、市営バスのホームページにもアップをしていますが、同じく4月1日から、JR富田駅の「のりば」も変更します。第四中学校の裏手に1番のりばと2番のりばがありましたが、その1番・2番がなくなります。駅ロータリーの西側にパチンコ屋がありますが、そこに1番のりばを移設します。また、2番のりばは既存の3番・4番のりばのところにのりばの機能を拡充します。第四中学校のバス停がなくなりますので、JR富田駅で降りられた方が、一旦、横断歩道を渡って第四中学校まで行かなくとも歩道でバスターミナルまで歩いていただける、そのような動線を考えています。

 

2点目のバス停名と鉄道駅の名前が違っている件ですが、市営バスでは、JR富田駅と例えば阪急高槻市駅も実は阪急高槻駅となっています。この解消については問題意識として持っていますが、それなりのお金が必要となります。バス停本体や路線図、音声案内、あるいは周辺のお店等でも案内されているなど、非常に影響が大きいため、タイミングを見計らっているという状況です。それと、国道線の改修につきましては、以前、この審議会でも意見をいただいていましたが、鉄道並行路線がいかがなものかというご意見もあるなど、資料の14ページの図の通り、いろいろな路線が富田駅を経由して高槻まで行っていたため、ダイヤが錯綜していましたが、富田駅で乗り換えていただくという不便をおかけしますが、そういったことを解消し、更に、市営バスのダイヤ効率化にも繋がるといったような内容となっています。

 

C委員

資料5の12ページに関する質問になりますが、基本戦略が「快適で質の高いサービスの提供」で、個別戦略が「利便性の向上」となっていて、この山間3路線については過去のODデータから、非常に少ない乗客で長い路線を走っているということで、あまり効率的ではないというところから、このようなデマンド交通に変えていくということになっているかと思います。つまり、効率性の部分で問題があるということになりますが、それにプラスして「住民の足の確保」というところがあるかと思います。「利便性の向上」となっていますが、どうしても乗り換えポイントがここでは発生するということになっており、現在、意見交換を自治会関係者としているという中で、どういった意見があるかということをお聞かせください。

 

事務局

現状、私どもと市の交通政策部署が一緒に住民に説明しております。その中では、特に樫田地域では地勢の特性として、「中畑」「二料」「杉生」という集落があり、その間の「横移動」が今の市営バスではできないということで、デマンド交通を導入すればそれができるようになるというメリットを感じていただいているのかなと思います。ただし、乗り換えあるいは、デマンド交通は予約が必要だというところで、高齢者の方を中心に「逆に不便になるのではないか」といった意見もある状況です。ですので、川久保・萩谷・樫田の各地域ともに、完全に「これでいこう」という意見が固まっておりませんので、引き続き、意見交換や調整しているところです。

 

C委員

もう1点ですが、資料5の16ページ「かるがもパス」について、およそ1年間実施されていますが、「こうのとりパス」についてはアンケート調査を実施されていて、どういった利用状況になっているか、その後の利用状況についても把握できていて非常に良いと思います。これに対して「かるがもパス」は1年間実施してみて、どういった変化があったのか。また、どういった意見が得られているのかとかいうところをお聞かせいただければと思います。

 

事務局

「かるがもパス」のアンケートですが、まず「こうのとりパス」でアンケートを実施し、引き続き「かるがもパス」の運用を開始しましたので、アンケートを2回やるのもご負担を掛けるという意味で、この年末に一つのアンケートに集約しました。現在、アンケート結果を集計しているところですので、この審議会で報告させていただきたいと考えているところです。「こうのとりパス」「かるがもパス」ともに子ども保健課というところで交付申請していただいていますが、担当者から聞いている範囲ですが、「かるがもパス」の更なる適用期間の延長や、「こうのとりパス」の時と同様、「ベビーカーでバスに乗りやすいような工夫をして欲しい」というようなご意見がある状況です。

 

C委員

利用者からの要望を踏まえて、交付する場所は増やしたことによって数値としても出ていますし、ニーズ調査というのが大事なのかなと感じています。

 

D委員

資料1ページの「安全対策の強化」についてですが、阪急バスさんの指導運転士研修に市営バス教習担当者が参加し、教習を見学及び体験とあるのですが、これを持ち帰って、どのような形で市営バスの教習担当者が運転士の指導に反映しているのでしょうか。受けるだけで終わっているのか、それともこういった効果があった、というものがあれば教えてください。

 

事務局

市営バスの教習担当者が阪急バスの方に伺いましたが、現段階では「受けたのみ」となっています。市営バスでは「人材育成基本方針」というものを定めており、その中でも大きな方針として、研修制度の体系化を図っていきたいと考えています。その一環として、まずは私どもの教習担当者が民間企業の先進的な研修を受けさせていただいて、どういうものがあるのかという視点で、教習担当者の知識を深める場として参加させていただきました。今後は、研修の体系化ということで、阪急バスでは指導運転士研修という形になっていますが、我々としても「班長・副班長制度」がありますので、そういったものに研修をさせるとか、今後フィードバックをしていきたいと考えています。今回は、そこにいくまでの情報収集という形で捉えています。

 

会長

この点はA委員のお勤め先の阪急バスさんに対して、多大なご協力をいただいていると思いますので、もし何か補足があればお願いします。

 

A委員

私どもとしても、なかなか「一喜一憂」であり、広く「展開していく」ということに対して非常に苦労していますので、引き続き、市営バスと連携し、逆に教えていただけたらと思っていますので、よろしくお願いします。

 

E委員

デマンド交通の件ですが、災害時の緊急避難ではどのように考えておられるのでしょうか。市の避難計画もありますので、それと兼ねられると思うのですが、お聞かせいただきたい。それから梶原線ですが、現在、西国街道が通行止めになっていますので、これが解除された場合に路線変更は継続されるのかどうかをお聞かせください。

 

事務局

1点目の山間3路線のデマンド交通における災害対応についてですが、現状でも路線バスが、避難所まで住民の方を輸送するという災害対応を行っていますが、デマンド交通導入後も恐らく同じような形で、デマンド車両を使った避難という形になろうかと思います。ただし、現状、そこまで議論の方が深まっておりませんので、今後の課題ではあるのですが、引き続き、その辺りも視野に入れながら調整を進めていきたいと考えているところです。

 

2点目の梶原線の件ですが、令和9年度中に新名神が開通すると聞いておりますが、それ以降、バイパスの方に移した路線についてはこのままとなる予定です。これは地域住民の方がそのようにご希望されていまして、我々としてもそれに沿う形でいこうと考えております。ただし、「梶原東」のバス停は、新名神の側道沿いに移設するような計画を持っております。

 

会長

山間路線の沿線についてですが、ハザードマップ等で、災害を想定しているものがあるのでしょうか。

 

事務局

手元に具体的な資料はありませんが、3地域ともに「土砂災害危険地域等」に指定されていると思います。そのため、大雨が降った場合等、特に避難が頻発する地域でもありますので、災害対応にもこのデマンド交通を使っていく必要があろうかと考えております。

 

会長

山間地域の地区ですから、ありうる話だと思います。どうもありがとうございます。他いかがでしょうか。

 

副会長

デマンド交通の導入は、今後も地域といろいろな調整が必要ですが、「地域間移動って本当にあるのか?」というような、1人、2人の個人的な移動を「公共交通機関が担うべきかどうか」というところは哲学を持っていただきたいのです。公共交通とは「みんなで移動するところを乗り合わせて、事業がまとめられるからこそ成立するもの」であって、「個人で移動したい」というものに関して、それは「公共ではない」というふうに私は考えます。「たとえ1人であっても、移動需要というものは平等だから」というので、支えるというのも公共の考え方ですので、自治体によってまちまちであってもよいと思います。ただし、その時に「言われたから」とか「声が大きかったのでやむなく」みたいなことだけは避けていただきたい。

 

それと同時に、利用者に対して「受益者がしっかり負担するのですよ」ということは、市民に広く知っていただきたいなと思います。公共交通は派生需要ですから、1円でも安くしたいという気持ちはわかります。なので、アンケートをとれば、確実に「永遠に100円で乗りたい」という気持ちが出るのは当然なのです。それは仕方ないのですが、「受益と負担というものがしっかりあるのです」ということや、「なぜあなたが割引されているのか」ということはしっかり考えていただきたいのです。これは高齢者に対してもそうです。高齢だから100円というのはおかしいと思います。本来であれば「所得に応じて、支援していく」のがよくあるあり方なのです。「所得」ではなく「年齢」とかその「社会」「家庭環境」というもので考えるのであれば、それなりの哲学を持って、お伝えした上で納得してご利用いただかないと、安い方向にいってしまいます。そういう意味では、今回やられているアンケート調査は大変貴重なことですので、手間が掛かりますが継続いただきたい。「かるがもパス」や「こうのとりパス」、また「Uシリーズ」のカードに関しては、「安いお値段でご利用いただけると引き換えにアンケートにちゃんと答えていただくこと」を条件にしていただきたいと思います。4か月健診でパスを受け取って、その後「こうのとりパスはどうでしたか」ということをやって、「かるがもパス」に移動して、もう1回「かるがもパスはどうですか」というのをやってみる。同じ属人、同じ人の経年変化を追っていかないと見えてきません。これらはそもそも「妊娠して大変な時にバスに乗るのはしんどい」と思ってしまう方々に、「意外と妊娠中でも車より公共交通が便利だったのね」、「子どもが生まれてもバスって乗れるね」と思ってもらえることが目標です。

 

なので、今回のような、そもそもバスに乗っていなかった方が、こうのとりパスやかるがもパスをきっかけに、2割ぐらいはバスに移行したというのが、かなり大きいと思います。40何年ハンドルを握っていて、高齢者のパスがもらえたからといっても、そうそう移行するものではないのです。早めに公共交通へのシフトが求められている中で、「今回の取組が非常に効果的だった」というふうに分析できますので、これからもぜひ、継続していただきたい。そのためには、今回掲げられているようなDXの取組は、本当に力を入れていただきたいと思います。DXからはもう逃げられませんし、やらざるを得ません。やったら効果は絶対出ますので、そういう専門の部署並びに、専門的な人材の育成が求められると思います。データサイエンスもそうなのですが、あとGISですね。そういった人材育成と、あとは高槻市自体の問題ですが、そういうのを使うときにネットに接続できるような環境にしないといけないと思います。イラストレーターとかフォトショップとかアークGISとかは、常にインターネットを介して接続しなければならないソフトですので。行政ネットワーク環境のセキュリティの都合上、外部と接触できないというのはありますが、だからといってエクセルで路線図を作り続けるというのは、もはやナンセンスの世界です。なので、より良いものをやっていくには、皆様で声を上げて、「ネットにちゃんと接続したソフトで分析できるようにしてください」というのは、ぜひ議会の方々にもご理解いただいて、広めていっていただければと思います。

 

事務局

山間路線でのデマンド交通の導入ですが、各個人の意見は様々で、本当に色々な意見があるということを感じているところです。これから地域公共交通というのは非常に難しいと感じているところですが、いわゆる受益者負担という考え方だけではなく、市の大きな方針にもなりますが、「福祉交通というとらえ方もある」と思います。その辺りの大きな方針に沿って、高槻市も「地域交通の支え方」を考えていく必要があるのかなというふうに考えているところです。次に、「DX化」の推進ですが、高槻市の方でも色々とDXに関しては進めているところで、来年度もそれ相当の予算を計上すると聞いておりますので、交通部としても、身の丈にあったと言いますか、DX化することによって仕事が増えていたんでは本末転倒になりますので、「効率的なDX化」というのを睨みながら、検討を進めていきたいと考えます。また、これについても阪急バスさんと意見交換できればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 

会長

それでは一旦、資料5、6の後半部分の説明を事務局にお願いして、改めて議論して参りたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

事務局

(事務局から資料5と資料6に基づき、説明がなされた。)

 

会長

ただいまの内容につきましてご意見ご質問等ございましたらお願いいたします。

 

F委員

資料5の23ページ、「運転士の確保」というところで、2024年問題が言われていますが、この4月にダイヤ改正されるということで、おそらく対応はできていると思いますが、「前の日の仕事が遅く終わって、次の日の朝、早く出勤しないといけない」というような勤務体系があると思いますが、「11時間の休息」が確保できないということで、予備の人員が増えると思いますが、そのようなことは想定されているのでしょうか。予備の人員が必要ということであれば、採用人数をもっと増やさなければいけないという問題もあると思いますし、あるいは、通常の運行をするのに人が足りないという状況があるのかということをお聞きしたいと思います。

 

事務局

予備の人員だけでなく、全ての人員に係ることですが、市営バスの状況としましては、「通常の拘束時間」として見るのか、「残業」として見るのかということで違いがあると思います。市営バスに関しましては、路線やダイヤを守るために、運転士の残業ありきとなっているところがあります。2024年問題を迎えるに当たって、以前から「正規の勤務時間では賄えない」、既にもう時間外で対応しているところがあります。もう一つ、今回休息時間が1時間延長されるわけですが、運転士は変則勤務のシフト制になっていますので、現段階でも、10時間休息があるもの、11時間休息があるもの、多様な形となっています。その中にギリギリ「8時間休息」という勤務があると、それが9時間休息になるため、「次の日の朝早くに運転することができない」ということが発生してきます。既に運転士の時間外勤務でダイヤを賄っていますので、先日、市営バスのホームページにもあげましたが、特に最終便を少し繰り上げるという対応を行う予定となっています。

 

F委員

例えば病気ですね。「昼からの勤務ですが、出勤できない」というようなことがあると、朝、運転した人が「昼の便も運転しなければならない」というようなことが起こると思うのです。そうすると、前の日に残業した運転士の次の日も「早く出勤しないといけない」であったり、自分の勤務としては別にあるが「遅い勤務もしなければならない」というようなことで、運行管理者の方がすごくややこしくなるということはないのでしょうか。

 

事務局

現状でもそのような取り扱いといいますか、それを差配するのが運行管理の仕事であり、そのような対応は現段階でもリアルタイムで行っています。運転士の体調不良であったり、急に運転士が抜けたとか、その時に「そこを埋めるための調整」ということをするのが営業所の運行管理となります。「2024年問題」で「休息期間が8時間から9時間に延びる」、言い換えてみれば、「労働時間が1時間減る」ことになり、市営バス全体で見てみたときには、やはり大きい数字になってきます。

 

B委員

車両台帳の登録やバス停台帳の登録など、いろいろな台帳整理や資産管理であるとか、そういったところに取り組んでいることは、非常によい取り組みだと思います。決算上もアセットマネジメントをやっていく上でも非常によい取り組みだと思いますので、ぜひ有効に続けていっていただきたいなと思います。こういった資産管理とか棚卸管理ということになると、私自身が多くの会社を見てきて思うことですが、最初に立派なものを作りましたというのはよいのですが、どうしても定期的に見直すとか、定期的に活用するとか、時点管理が疎かになっている会社が非常に多くあります。日常の業務に追われていて、どうしても定期的な管理が後回しになってしまうという傾向が担当者レベルではあり得ると思いますので、ぜひ、ガバナンスといいますか、会社としてそういったところを推進できるような後押しをお願いしたいと思います。

 

2点目は運転士の確保についてです。離職率を減らすための工夫やダイヤの工夫など、色々と取り組んでいるのは非常に良いところではありますが、資料2ページの座学の写真を見ていて感じたのですが、男性の方ばかりなんですね。例えば、女性の方の参画や採用とか、多種多様な働き方とか、色々なバックグラウンドを持っておられる方を採用することで、運転士が入ってきやすくなったり、そういったことも一つの考え方かと思います。間口を広げていくというか、その辺りについて、どのような見解なのかをお聞かせいただきたいと思います。

 

事務局

1点目の各種台帳のデータベース化後の更新作業ですが、交通部も他の会社と同じようなことにならないよう、適切に更新していかなければならないと思います。それをうまくやる方法として、現場で実際に作業する人間に更新させるのもありですが、DX化の推進の中で、例えばデータベースを専門に扱う担当者を作って、それが更新してまた情報展開していくみたいなやり方もあるのではないかと考えているところです。それと、女性乗務員の採用についてですが、以前、毛海先生の研究室の学生さんが交通部に来られ、「女性乗務員を増やす研究」をされているというお話がありましたので、何か成果があれば説明いただければと思います。それと、今は性差別的な採用はできませんので、女性を採用したいと言っても、男性の応募が多いため、現状ではそういう状況になっているのかなと感じています。

 

資料の写真を見て、男性の運転士が非常に多いということですが、現状、交通部には女性の運転士が全部で3名います。各営業所には、更衣室、トイレなどももちろん別に設置しており、女性の方の応募があって採用をすることがあれば、普通に働いていただける環境作りに努めています。それからもう一つ、資料の24ページの今後の展望であるように、令和6年度以降、他事業者でも事例が増えている大型2種免許未取得者を対象とした採用活動なども検証しながら、間口を広げて採用活動をしていきたいと思います。

 

事務局

女性運転士自体の数についてですが、運転士そのもの、2種免許の所持者が少なくなっていましてかつ、高齢化してきている中で、全体の運転士の1%あるかどうかぐらいの数しかず女性運転士がいません。募集してもなかなか女性の運転士が来ていただけないところがあります。他の公営バス企業等のホームページを見ていますと、女性運転士のために更衣室やシャワールームを設けたなどの記事がありましたが、市営バスでは過去にバスの添乗員さん、いわゆるガイドさんが居られた時の名残で、幸いにも女性専用の更衣室やシャワールームがありますので、そういったところで募集の時に苦労はなかったかなと思います。女性を採用した後にも、3名の女性運転士がいますので、積極的に採用したり活躍の場があればよいのではないかと考えています。

 

会長

この点、C委員から補足があればお願いします。

 

C委員

コロナ禍の中での学生のグループワークだったのですが、色々と協力いただきましてありがとうございました。学生は女性のグループで研究を進めていて、学生主体の研究として任せていたところではあります。女性のドライバーをどう増やすかという課題に対しての解決が、どちらかというと女性だけでなく、全体的にバスの運転士を増やすにはどうしたらよいのかという方向へ進んでいったという感じです。その中でも少し、キャリア教育の方向に進んでいきまして、キャリア教育のところが重要じゃないかという方向へ進んでいきました。そのため、短期的な視点での課題解決ということにはなりませんでした。そういったところの体験から自分の職業とどうやって関連させるのがいいのかというような結論となりました。特に、男子に比べて女性の方が、将来の進路や職業の関心というのが、中学校時点において強いのではないかというようなことがあり、中学校や高校での体験が将来の進路選択に影響を与えているのではないかとか、そういった研究成果としてのまとめ方になりました。

 

B委員

女性運転士の割合を何%にするべきだとか増やすべきだとか、そういうわけではなく、そういったところを志す方が居られるのであれば、受け入れる環境があるのかとか、設備も含めて質問させていただきましたので、いろいろとご配慮いただいているということが理解できました。

 

E委員

高槻市の広報誌2月号にバスのことが大きくでていましたが、その中で、市営バスの国道線が整理されるということです。私は川西町に住んでいますので、確かに10分の間に3台のバスが来るような時間帯があったり、空いたりするようなことがあって、それが整理されるというのは適当なことだと思います。ただし、お年寄りが利用されているときに、何故こんなに変わったんだろうとか、かなり変わると思いますので、時刻表に少しコメントを入れたり、あるいは広報誌でお知らせするとか、そういう丁寧さがあるとありがたいのではないかなと思います。

 

それから、運転士の研修で参考にしていただきたいと思う事例がいくつかありまして、バスを降りた人が道路でこけたときに、運転士さんがバスを降りて、お客さんと一緒に助けておられたとかという事例があります。それと、車椅子を道路に降ろすときに、お客さまのお手伝いしながらやっとバスを発車したとか、そういう事例もありました。それから、私がバスに乗っていて経験したのですが、国道171号を走行していた自転車に運転士さんがクラクションを鳴らされたのです。確かに危なかったのだろうと思いますが、クラクションを鳴らすのはどうかなという印象ですので、研修でそういうことを活かしていただければと思います。

 

事務局

1点目の、JR富田のバス停の変更ですとか、国道線の件に関しましては、市営バスのホームページや広報誌、バス車内にもポスターを貼るなどして周知しています。また、バス停にもポスターを掲示して、広く周知を図っているところです。

 

2点目の乗務員の教習につきましては、引き続き、丁寧に対応していくしかないのかなと思っていますので、厳しい意見等ありましたら今後ともよろしくお願いします。

 

副会長

これから乗務員の確保はかなり厳しくなっていきますので、導入を検討というよりも、早急に大型2種免許取得制度の導入は進めていかないといけないと思います。なぜかというと、市営バスの応募者が39人も来ているのはかなり多い人数ですが、どこから来ているのかなと考えると、いろいろな問題が出てくるだろうと思います。人口の母数が減っている中で、さらに若い人たちが減っていて、その中でも車の運転が好きという人が本当に減ってきているのです。ということは、これから運転したいねという、ましてや大型2種免許を取って頑張るという人はもっと減ってくるので、早いうちに、支援制度を導入されることがおすすめだと考えます。その時に、どうしたら若い人が来てくれるのかというと、ドライバーさんたちの仕事の見える化がされてないので新規の方が来ないのです。給与とか処遇改善で効果があるのは、他の会社から来る場合で、新規には来てもらえないのです。

 

私の大学の受講生を見ても、先ほどの話と一緒です。キャリア教育ができているかどうかで、将来、自分がどんな仕事をしたいとか、その時困難があったらどうやって乗り越えようかという想像ができるので、例えば、教員などの志望者がいるのです。ところが、子どものうちからバスに乗ってない子どもたちが、どうやってバスのドライバーさんの仕事が想像できるかというと、本当に想像できないのです。なので、仕事の内容をもっと発信していくということがとても大事なことなのです。この前、近畿運輸局の京都支局で「バスドラフェス」という、各バス社局が合同でドライバーさんたちの本音が聞けるイベントがありました。それを見ていると、結構、安心するところもありますので、これは事務職の方についてもそうだし、整備士さんについても仕事の見える化を今後、していかないと、募集は厳しくなるので、ぜひ発信していただきたいと思います。

 

少し長期的になるのですが、さきほど話があった中学生の女性が、その時期にキャリアを考えるということでしたが、以前、なぜあなたは京都の大学を受験したのかという調査で、一番相関があったのが、中学生のときに修学旅行に来た女性だったのです。恐らく、それはかなり正しいデータだと思いますので、早いうちに中学生の職業体験メニューの中に、交通部が入っていただいて、数人でもいいので、職場体験のことを受け入れると効果あるのではないかなと思います。参考までに、今年度、宇治田原町の方のバス会社が、2人の中学生を受入れました。ただし、いきなりバスを運転するわけにはいかないので、乗車利用促進の取り組みのチラシ配りとかもやる中で、バスドライバーさんのお仕事が初めて見えたという声も聞こえましたので、参考にしていただければと思います。

 

会長

大阪の商店街で、修学旅行生を対象に職業体験をしてもらって、それから何年かたった大学進学のときに、大阪の大学を選んだという話も商店街の関係の方から聞いた覚えがあります。この人材の問題は、実は私が所属する大学業界でもかなり人手不足の状況になってきていますし、キャリア教育というのも20年ぐらい前からでしょうか、大学教育の中で色々と言われてきているところであります。今は小学校からそういうことをやっている学校も多いと聞いております。これだけ色々な業界で人手不足が起こっている。人口減少より先にこれだけ深刻化しているということで、こういった考え方がもっと浸透して、具体的に組み立てていかなければいけないというのは、どこの業界も同じようです。共通の課題として、こういった場で議論していければと考えております。

 

それでは、時間も終わりに近づいて参りましたので、最後に委員の皆様、あるいは事務局の方から何かあるでしょうか。

3.その他

事務局

それでは、来年度の予定について簡単に説明させていただきたいと思います。令和6年度は、経営戦略の計画期間として4年目となり、会議の冒頭で会長の方からご説明いただいたとおり、総務省の方からも、経営戦略の策定を5年以内に適切な改定を行う旨の通達が発出されていることに加えまして、コロナ禍ですとか物価高騰等、現行の経営戦略策定時から市営バス事業を取り巻く社会環境が大きく変化していることなどを踏まえ、経営戦略の改定作業に着手する予定としております。また、令和元年度より、ここに居られるメンバーで審議いただいている本審議会ですが、委員委嘱期間が満了することになりますので、新たに委員委嘱させていただいた上で、本審議会で継続審議していただきたいと考えております。

 

最後になりましたが、5年の長きにわたりまして、本審議会にご出席また、様々なご提言やご意見をいただき、誠にありがとうございました。

 

会長

それでは以上をもちまして、令和5年度第2回高槻市自動車運送事業審議会を閉会とさせていただきたいと思います。どうも皆様ありがとうございました。お疲れ様でした。

配布資料

【資料-1】令和5年度 第2回高槻市自動車運送事業審議会 議事次第[PDF:132KB]

【資料-2】過去5箇年の収支推移表(R01~R05)[PDF:175KB]

【資料-3】収支シミュレーション[PDF:1.33MB]

【資料-4】市営バス経営戦略 進捗管理表[PDF:360KB]

【資料-5】主要な具体的取組[PDF:4.31MB]

【資料-6】個別戦略に対する指標[PDF:606KB]

お問い合わせ

高槻市 交通部 総務企画課
住所:〒569-0823 大阪府高槻市芝生町四丁目3-1
TEL:072-677-3507
FAX:072-677-3516

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